テクノロジーは課題を解決できる――ただし、資金調達を適切に行うことが条件だ

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  • デジタル技術は何十億人もの人々に恩恵をもたらすが、技術に適切な投資を行うことが不可欠だ。

  • パンデミックによって、計画外の再発明が何年にもわたって続いた。今、私たちには意図的な変革が必要だ。

  • 利用可能な技術は、それらに資金を投じる余力を上回っている。そのため、技術の戦略的な開発が鍵となる。

私たちは、人類史上最も急速で集中的な技術革新の時代を生きている。それによって、企業や政府が先行きの不透明な時代を乗り切るためのツールがもたらされている。デジタル技術は効率性を高め、重工業が排出量を最大20%削減することを可能にし、ネットゼロ目標の達成を後押しする。同じ技術は最終的に、何十億人もの人々に医療、教育、金融サービスを初めて利用する機会をもたらす。また、別の形では、こうした技術は中小企業が世界中の市場とつながるのを助け、スマートフォンを使える人なら誰でも起業できる環境を生み出す。だが、経済の逆風に直面する中、テクノロジーそのものに対する民間・公共部門の投資を適切なものにするには、どうすればよいのだろうか。

安価な信用供与が縮小し、予算や経済が圧迫され、資本配分の優先事項が競合する時代に、デジタル変革を軌道に乗せ続けるため、政府と企業は2023年にどのような戦略を立て、どのような決定を下す必要があるのだろうか。今後10年間、その成否を左右するのは、明確で十分な情報に基づいたテクノロジー投資戦略だ。

テクノロジー変革の波

テクノロジーの変革はすでに進行している。この記事を読んでいる人なら誰でも、おそらく第1の波を経験しているだろう。ポケットに入るコンピューターによって可能になったこの波は、買い物、学習、娯楽、旅行、さらには世界を移動する方法まで、あらゆるものを根本から捉え直すことを特徴としていた。

パンデミックによって加速し、私たちは今、ビジネスの世界を変革する大きな第2の波――あらゆる場所に存在し、つながり、知能を備えたモノによって可能になった波――で「後戻りできない地点」を越えている。変化するのは働き方だけではない。5G、AI、「サービスとしての」ビジネスモデルなどの技術が、製造、サプライチェーン、都市インフラ、エネルギー、モビリティを捉え直す動きを促している。2022年の世界のICT技術への支出は5兆8,200億ドルに達すると予想され、世界GDPの5%を初めて超える。成長に加え、こうした技術は効率性の向上、サプライチェーンの透明性確保、排出削減、循環型ビジネスモデルの推進にもつながり始めている。これらの機会やイノベーションを十分に実現するには、数年かかるだろう。

第3の技術の波も現れつつある。量子技術とバイオテクノロジーは、生体・非生体の素材を対象とする科学的発見の新時代を切り開き、社会を変革する可能性を秘めている。あらゆる技術分野で主導的な立場に立てる国はないため、各国政府はすでに、どの分野に力を注ぐかを決め始めている。将来のロードマップを明確にすることは、大規模投資の対象を決めようとする業界リーダーにとって極めて重要だ。

2023年、私たちは岐路に立っている。パンデミックによって、安価な信用供与、安定、成長に支えられた消費者向けイノベーションの10年を土台に、計画外の再発明が何年にもわたって続いた。今、私たちには意図的な変革が必要だ。投資可能な資金を上回るほど、多くの機会と技術が存在する。そのため、技術の戦略的な開発が極めて重要となる。政府や企業が今後12~24カ月に下す資金調達の決定が、この10年間の残りの期間における展望を左右する。

課題と機会

テクノロジーへの移行に決まった設計図はない。その結果、各セクターの投資の進め方には一貫性が欠けている。こうした状況は、変革が戦略や長期的な進展にどう影響するかを効果的に説明できていないという、全般的な問題につながっている。これを裏付けるように、デロイトの報告によると、パンデミック中にデジタル施策を加速させたCEOの85%が、その後、それを戦略に落とし込むことに苦慮している。

そのため、企業のデジタル分野のリーダーが必要な投資資金を得るのに苦労することも、意外ではない。組織にとって、テクノロジー変革への投資は通常のIT投資とは異なるからだ。定型的なプロジェクトは少なく、標準的な指標が常に当てはまるわけではない。また、プロジェクトを遂行するには、異なるスキル、プロセス、部門が必要になることも多い。さらに、プログラムが期待に応えられないこともあり、ある調査ではその割合は87%に上る。

社会全体の観点から、すべての人がインターネットを利用できる機会を確保するための費用は、7,000億~2兆ドルと推計されている。現状では、世界人口の95%がブロードバンドインフラの圏内に暮らしている一方で、27億人は依然としてオフラインのままだ。

世界経済フォーラムは、持続可能で包摂的なデジタル経済をどのように推進しているのか。

デジタル技術が実現を後押しする能力については直感的な理解があるものの、ICTを横断的な推進手段ではなく縦割りの分野と捉え、財政収入をもたらすものと考える狭い見方が、資金調達をしばしば妨げている。

重要なのは、戦略的かつ包括的な方法で移行を可能にするための枠組みが欠けていることだ。戦略的とは、企業や政府が何に投資するかだけでなく、何に投資しないかも確信を持って決定できることを指す。包括的とは、デジタル社会を実現するすべての要素を考慮し、適切な種類の資本やインセンティブを適切な投資に結びつける方法を理解していることを指す。

前向きな変化が進んでいる。顕在化しつつある大きな変化の一つは、テクノロジー変革が最終的には誰にとっても重要になるという認識だ。デジタルインフラはまだ投資戦略の優先事項に位置づけられていないものの、そこへの投資は増加しており、2021年には過去最高を記録した。調達されたインフラファンドの半分以上がデジタル分野に重点を置き、640億ドルを超える資金が集まった。重要な半導体技術部品のサプライチェーンと生産をめぐる課題を受け、特に米国と欧州では、各国や企業による生産能力への投資が2,000億ドルを超えた。一方、量子技術への世界全体の投資額は355億ドルに達した。

戦略的かつ長期的な視点

世界の自動車セクターは、デジタル変革への最大級の投資主体の一つとなっており、セクターの電動化がその最も分かりやすい例だ。この点で、ABBの経験は、戦略的に考えることの利点を示している。同社は2021年、eモビリティ事業を独立した事業体とし、調達した資本を買収や投資に充てる計画を発表した。投資の重点は、バッテリーや充電技術の開発におけるパートナーシップに置かれた。また、充電ハードウェアにとどまらずソフトウェアやサービスへと事業を広げ、市場全体を拡大する長期目標を掲げている。これは、収益と社会的責任の双方に資する形でテクノロジーを革新し、導入するという、業界全体の動きを反映している。

未来の知的で包摂的なデジタル経済を支えるために必要なデジタルインフラを考えるには、企業の役員会と政府の中枢の双方に包括的なアプローチが求められる。通信・コンピューティングインフラから部品、セキュリティのニーズ、デジタル化に対応できる人材や起業家エコシステムの育成まで、デジタルの未来への備えはチーム全体で取り組む課題だ。

パンデミック中に見られたような技術の向上や変革は、副次的な影響ではなく、市場を動かす力へと急速になりつつあることを理解する必要がある。しかし、投資戦略がなければ、テクノロジー変革は本来可能なほど迅速かつ着実には進まない。

この記事はもともと新浪に掲載された。

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