「環境レジリエンス」を示さなければ、都市は不動産投資を呼び込めない

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  • 商業不動産市場は、2020年に7,500億米ドルに達すると予想されています。

  • 投資家は、環境レジリエンスのある立地をますます求めています。

  • イノベーションの実績を持つ中規模都市も、投資対象となっています。

政治的不確実性の継続と世界経済減速への懸念の高まりにより、2019年は波乱の多い年となりました。それでも、世界の直接商業不動産に対する投資家の旺盛な需要は続き、取引額は予想で 7,500億米ドルに達し、2017年および2018年の過去最高水準にあと一歩及ばない規模となりました。

とはいえ、現在の不動産サイクルが10年目に入るなか、投資家はますます慎重になっており、世界中のファンドに眠る過去最高水準に近い規模の投資可能資本を投資することに苦慮しています。

不確実性を緩和するため、投資家は都市化、人口動態、テクノロジーといった構造的変化に対応する防御的戦略を展開しており、経済や地政学的な混乱に対してレジリエンスがあると見なされる立地や分野により重点を置いています。また、イノベーションと人材が豊富な都市や、産業・物流、そして近年投資の割合が高まっている「ライビング(居住)」分野にも注目しています。

経済および地政学的レジリエンスに加え、環境レジリエンスは、気候リスクの拡大を理解しようとする投資家が増えるなか、2020年の投資意思決定においてますます重要な要素となるでしょう。

世界経済フォーラムは、第四次産業革命に対して何に取り組んでいるのでしょうか。

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投資ヒエラルキーの変化

2019年の不動産投資で上位30都市は、順位に一部変動はあるものの、主要都市の顔ぶれは例年と大きく変わりません。既存の「ゲートウェイ」都市が引き続きランキングの上位を占めています。ニューヨークは現在、世界で最も活発な市場となっており、同市の不動産の基礎的条件は、テクノロジーやクリエイティブ産業へと経済の多角化が進むなかで引き続き恩恵を受けています。

この地域では過去最高水準の投資が続いていることから、2019年の上位30都市にアジア太平洋地域の10市場が含まれているのも驚くことではありません。これは2009年以来の最多数です。投資家がより遠くへ目を向けるなか、上海、北京、シンガポールはいずれも今年過去最高水準の投資を集めており、125億米ドルを超えるの外国人投資がこれら3都市に流入しています(2019年の投資額はいずれも第1四半期から第3四半期までの数値です)。

欧州では、ベルリンも海外からの関心を集めており、2019年には50億米ドルを超える対内資本を集めました。これは全体投資の64%を占め、上位30都市の中で最も高い割合です。しかし、欧州地域で依然として最も多くの海外投資家の関心を集めているのはロンドンです。ブレグジットをめぐる不確実性の影響で、前年から越境投資が半減したにもかかわらず、ロンドンは依然として世界で2番目に大きな越境資本の投資先であり、ブレグジットの解決が見えれば、さらに多くの投資家が戻ると予想されています。

資本の出所も順位構造に影響を与えており、例えば韓国投資家の活動が増加したことで、パリとソウルが2位と3位に浮上しています。

直接商業不動産投資における上位30都市Image: JLL

投資家は長期的な成長を求めて、ゲートウェイ都市の外に目を向けています

「ゲートウェイ」都市以外では、投資家はより強い成長の見通しを求めて、成熟し透明性の高い市場の二次都市へますます目を向けています。イノベーションの実績や堅調な人口動態の傾向を持つ中規模都市は、世界の投資で占める割合を拡大しています。米国のオースティン、デンバー、ナッシュビル、欧州のベルリン、リスボン、ウィーン、日本の大阪や福岡などの都市では、近年いずれも海外投資家の関心が大きく高まっています。

これらの都市は、高度な資格を持つ人材とイノベーション・エコシステムを兼ね備えた地域に拠点を置く企業が増えていることで恩恵を受けています。これは、労働市場が逼迫し、ますます割高になっている「ゲートウェイ」都市の外での動きです。例えばオースティンとナッシュビルは、大規模な企業の移転を受けており、ベルリンは欧州でも最も高水準のハイテク雇用を有しています。

投資家はこうした企業の動きに追随しており、リスクを緩和し将来のレジリエンスを見極める手段として、人材の要素やイノベーションの潜在力をますます考慮に入れています。

イノベーションの世界的リーダーも、資本から取り残されているわけではありません。米国のテックハブであるシリコンバレー、サンフランシスコ、ボストン、シアトルは、いずれも今年、投資額が二桁の伸びを記録しました。

しかし、力強い市場の動向や経済成長が、投資を保証するわけではありません。

中国とインドの一部都市は投資家の関心を一層集めていますが、新興市場の多くの都市は、機関投資家からの持続的な需要を生み出すことに苦戦しています。

堅調な成長の勢いがあるにもかかわらず、バンコクやクアラルンプールといった確立された市場や、モスクワ、サンパウロ、台北といった新興都市は、いずれも2019年の投資額が今年代初めと比べて大幅に減少しています。

多くの新興都市は、透明性が比較的低いことや、環境破壊や生活の質を含む急速な成長に伴う問題によって足かせを受けています。これらの課題は、より多くの必要不可欠な資本を呼び込めるようになる前に、解決されなければなりません。

レジリエンスの追求の継続

2020年に入るにあたり、機関投資家による不動産への資産配分が引き続き増加するなか、世界の投資額は高水準で推移すると予想されています。高い評価額や資産をめぐる激しい競争があるものの、同セクターは他の主要な資産クラスと比べて依然として魅力的です。ただし投資家は引き続き慎重な姿勢を保ち、「レジリエンス」の概念が見出せるセクターや市場を求めていくでしょう。

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