発展途上国におけるクリーンエネルギー移行の投資課題を解くには

Wind turbines in Biedesheim, Germany. The share of clean energy like wind in total investment needs to rise to around two-thirds by 2030.
Wind turbines in Biedesheim, Germany. The share of clean energy like wind in total investment needs to rise to around two-thirds by 2030.Image: Karsten Würth
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  • 排出削減目標の前倒し達成に向け、エネルギー総投資に占めるクリーンエネルギーの割合を2030年までに3分の2に引き上げる必要がある。

  • 必要な取り組みは3分野にわたる。既存インフラの移行管理、規制枠組みの改善、新たな資金調達手法である。

  • 発展途上国の投資課題を解決するには、政府、企業、金融機関がそれぞれ、プロジェクトの開発と資金の提供に役割を果たす必要がある。

エネルギーと気候の未来は、新興国および発展途上国の意思決定にますます左右されるようになっている。これらの地域は現在、世界の二酸化炭素排出量の約3分の2を占めており、そのうち3分の1は中国、残る3分の1はその他の市場で発生している。エネルギーシステムの変革に向けた行動が不十分であれば、将来の排出量増加の最大の要因となるだろう。

現在の投資水準は、こうした変革に必要な規模と速度に見合う資金を賄うには、概して不十分である。世界全体では資本は潤沢にあるものの、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、危機以前から存在していた資金調達コストと利用可能性の不均衡が悪化している。世界のエネルギー設備投資は2020年に18%減少する見通しである一方、リスクの高まりにより、中国を除く発展途上国のエネルギー投資はほぼ4分の1減少すると予想される。

いかなる道筋をたどるにせよ、将来のエネルギーシステムには大幅に多くの資本が必要となる。国際エネルギー機関(IEA)の「持続可能な開発シナリオ」が掲げる前倒しの排出削減目標を達成するには、クリーン電力、送電網、需要側の分野を大幅に拡大するとともに、総投資に占めるクリーンエネルギーの割合を2030年までに約3分の2へ引き上げる必要がある。この投資のほぼ60%は発展途上国で行われる必要がある。これらの国では財政・金融政策の選択肢が限られており、資本集約度の高い資産への移行に対応するため、負債による資金調達の比重も高まる。

シナリオ別・経済圏別・資金調達手段別の年間平均エネルギー投資額

危機はエネルギーシステムに長期的な爪痕を残し、投資動員に新たな課題をもたらすと予想される一方、新興地域は、より包摂的で強靱かつ持続可能な社会を築くことで「より良い復興」を目指すことができる。こうした変革は、何百万人もの人々をエネルギー貧困から救い出すことから、雇用創出と発展を促進することまで、社会経済に大きな恩恵をもたらす可能性がある。

進展の鍵は、持続可能な資金の供給源を最も必要とされる分野に結び付け、企業や資産の要件に沿わせることにある。クリーンエネルギープロジェクトへの投資動員に成功する発展途上国が増えており、こうした市場の大きな潜在力と魅力の高まりを示している。例えば、インドとブラジルは、再生可能電力への投資を呼び込んできた確かな実績を築いている。インドネシアは電力への普遍的なアクセスの実現に向けて大きく前進し、中国は輸送の電動化を先導する立場に躍り出た。こうした事例から、発展途上国で幅広く投資を呼び込むための適切な環境を整える政策、金融手段、官民連携のあり方を学ぶことができる。

この記事では、クリーンエネルギー移行への投資を加速するために取り組みが必要な3つの分野に焦点を当てる。

1. クリーンエネルギーに関する規制枠組みと政策の改善

クリーンエネルギー関連投資の70%超は民間資金によるものになると見込まれるが、政府もプロジェクトの融資適格性を高め、リスクを管理し、投資が活発化する環境を整えるうえで重要な役割を担う。各国は、ネットゼロの公約を含む、長期的で野心的なクリーンエネルギー戦略を採用し、化石燃料消費への補助金を段階的に廃止して公平な競争環境を整えることで、投資家の関心と信頼を高められる。

こうした計画は、再生可能エネルギーや低炭素燃料の普及を加速し、エネルギー効率を高める明確で安定した政策に支えられることで、最も効果を発揮する。また、システム統合とアクセス目標を支えるため、送電網インフラや分散型ソリューションに関する規制枠組みを強化することも必要だ。これらの取り組みに、競争を促す入札など、対象を絞った公的融資や報酬制度を組み合わせれば、投資家の意欲を高めることができる。

2. 新しく革新的な資金調達手法の促進

マクロ経済リスクの高まりと、厚みのある資本市場の欠如により、発展途上国のクリーンエネルギープロジェクトは、先進国と比べて資本コストが高くなっている。クリーンエネルギーやインフラへの投資は国境を越えて行われるため、投資家は複数の規制や通貨に対応しなければならず、さらなる課題が生じる。

投資を支えるため、エネルギー政策と資金調達ソリューションをより緊密に連携させる余地がある。官民連携を一層活用すれば、革新的な金融ソリューションの構築、発掘、複製の支援や、国境を越える資本投資の流れを改善するモデルの策定が可能になる。開発銀行やその他の公的金融機関は、融資可能なプロジェクトの仕組みを支えるうえで不可欠であり、とりわけブレンデッド・ファイナンスの活用や現地の能力構築への注力が重要となる。持続可能な金融や移行金融の手段をより広く活用すれば、クリーンエネルギーへの投資機会をさらに明確に示せる。機関投資家や慈善団体など、新たな資金源もますます重要な役割を果たすだろう。

3. 既存産業とインフラの移行管理

持続可能な開発目標を達成するため、発展途上国は炭素集約型・エネルギー集約型の分野における移行も管理する必要がある。化石燃料を使う発電所や産業プラントを含む既存のエネルギーインフラをこれまでどおり使い続ければ、今後数十年にわたって排出が固定化されることになる。こうした分野は社会経済や雇用に大きな影響を及ぼす。とりわけ、パンデミックに起因する経済的困難に直面する今、その影響は重要だ。大きな変数の一つは、国家と民間の担い手が果たす役割である。近年、国有企業は発展途上国への投資の半分超を担い、こうした既存産業の活動においても重要な部分を占めている。

政策立案者、企業、投資家は、炭素回収、クリーン水素、老朽化・非効率なインフラの転用や廃止など、幅広い解決策に資金を投じる方法を検討する必要がある。また、炭素集約型産業で働く人々の公正な移行を支える金融・経済的なアプローチも必要だ。

要するに、発展途上国の投資課題に対処するための条件整備、プロジェクトの開発、必要な資本の提供において、政府、企業、金融界は皆それぞれの役割を果たす必要がある。この課題がもたらす機会を踏まえ、国際エネルギー機関は世界経済フォーラムおよび世界銀行と協力し、クリーンエネルギー移行への資金調達を加速するための具体的かつ実践的な提言を示す特別報告書を作成している。また、この根本的な課題に対処するため、官民および国際的な連携を促すことを目指している。

詳しくは、次のダボス・アジェンダセッション「クリーンエネルギー移行の加速」(選択肢1、選択肢2)をご覧ください。

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