包摂的な解決策と信頼できるリーダーへの需要を背景に、社会的企業は世界経済で存在感を高めています。
過去最多となる50人の社会イノベーターが、ダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会に参加します。
多様な声を通じて、社会的企業が格差、環境リスク、公衆衛生上のリスクに取り組む力を紹介します。
世界が新型コロナウイルス感染症による惨禍の先を見据え、気候変動、経済混乱、戦争がもたらす新たな社会の混乱に直面するなか、持続可能な開発アジェンダに向けた取り組みを強化し、人々の人生を一変させる社会の混乱を防ぐことが、かつてないほど急務となっています。
2022年が人類と地球の双方にとって極めて重要な年になることは明らかです。社会の最も脆弱な立場に置かれ、連鎖する複合危機に閉じ込められた人々を支える仕組みを築き、信頼を回復するには、社会のあらゆる関係者が取り組みを一段と強化する必要があります。こうした危機により、今年、さらに2億6,300万人が極度の貧困に陥るおそれがあります。
公平と正義の原則に基づいて活動する社会イノベーターは、従来の制度や市場が機能しなかった状況で、新たなアプローチや変革をもたらすサービスを提供し、このプロセスで重要な役割を果たします。長期的な社会目標を優先するため、環境の持続可能性、健康、教育、農村開発などの分野に根深く残る問題に取り組むことができます。
社会イノベーターがダボスにもたらす多様性
企業や公共部門のソーシャル・イントラプレナー、思想的リーダーなど、社会イノベーション分野の各地で活躍する変革型リーダーが、今年の世界経済フォーラム年次総会に過去最多の規模で参加します。今後の重要な時期に向けた世界的な政策議論に、多様な声が集まります。
合計50人の社会イノベーターが、シュワブ社会起業家財団の支援を受けてダボスに集います。参加者数は過去のどの年次総会と比べても2倍を超え、その貢献は会期中のプログラム全体に織り込まれるほか、世界のリーダーとの非公開対話や会合にも反映されます。
ダボスでの重点の変化は、社会的責任だけを意味するものではありません。「対応する能力」も表しています。つまり社会イノベーターは、包摂を推進し、環境に良い影響をもたらすために、企業、公共部門、社会部門を問わず、手元にあるあらゆる資源を活用しています。
社会イノベーターがもたらす視点と、活動する市民や地域社会との近さにより、社会的不平等への対応や環境生態系の保全という課題に、独自の機動力をもって取り組むことができます。
ジェンダー、人種、能力、経済階層を理由に障壁に直面する人々と協働する包摂的なガバナンスのアプローチは、多国籍企業や大規模な多国間組織の本部から生まれがちな「ヘリコプター視点」と際立った対照をなしています。
社会イノベーターが地域社会を支援
成果は明らかです。過去20年間に、合計7億2,200万人の暮らしが、400人を超える社会イノベーターからなるシュワブ財団のコミュニティの活動によって直接改善されました。このリーダーたちの活動は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの農村部や各都市、さらに欧州と北米の社会的に排除されたコミュニティの人々を支えてきました。
想像力と価値観に基づく企業が生み出す機会は多岐にわたります。アジアでの教育事業におけるAIの活用、アフリカの農家向けマイクロファイナンス、医療サービスへのアクセスと公平性を促進する新たな医療モデル、若者や市民が自らの未来を決め、変革の担い手となるための動員などが含まれます。
過去20年間に、400人を超える社会イノベーターからなるシュワブ財団のコミュニティの活動によって、合計7億2,200万人の暮らしが直接改善されました。
実証済みの解決策は次々と生まれています。シュワブ財団の最新の受賞者2人、すなわちKaro Sambhavのプランシュ・シンガル氏と、SAS Brasilのアドリアナ・マレット氏は、インドでの廃棄物リサイクルとブラジルでの遠隔医療という計画を通じて、社会イノベーターの構想力が及ぶ範囲を示しています。また、High Resolvesのロヤ・バガイ氏のように、現代的なツールを独創的な方法で活用する人々もいます。バガイ氏は、自身のプラットフォームであるVideos for Changeを通じて、社会課題に創造的に取り組み、世界に前向きな変化を起こしている若者たちの声を広げています。
連携が社会イノベーターの影響力を高める
今日、社会的企業は世界経済で存在感を高めています。世界各地で十分なサービスを受けられないコミュニティが直面する経済的・社会的課題が深刻化するなか、パンデミック中に社会的企業が提供するサービスへの依存が高まったことは、特筆すべき点です。欧州だけでも、社会的経済には280万の組織が含まれ、有給雇用を1,360万件以上生み出していると推定されています。国によっては、雇用全体の最大9.9%を占めています。
社会起業家はシステムの変革を促す触媒となり得ますが、これまで政府や大企業は、変革の担い手としての役割を十分に認識してきませんでした。適切な支援と資金があれば、さらに多くの成果を上げられるのは明らかです。
影響力を拡大する方法の一つは、連携と知識共有を促進するエコシステムを築くことです。
こうした取り組みの先駆けとして、パンデミック下の2020年4月に社会起業家のための新型コロナ対応アライアンスが発足しました。この連合は、社会的企業が、感染症の影響を最も強く受けた人々を支援する最前線の担い手として、しばしば重要な役割を果たしていた時期に形づくられました。
世界経済フォーラムは、社会イノベーションを推進するために何をしているのでしょうか。
大企業や多国間組織のパートナーと連携することで、アライアンスは世界各地の社会起業家の影響力を高めてきました。たとえば、大企業に「社会的な価値を生む調達を促し、社会的経済の可能性を引き出すために政府が活用できる政策手段やプログラムを紹介しています。
その結果、現在アライアンスには90を超える加盟者がおり、全体で世界各地の最大10万人の社会起業家を代表し、支援しています。
今後、アライアンスは新型コロナウイルス感染症にとどまらず、活動の重点を移して広げ、「グローバル社会起業家アライアンス」となる計画です。1世紀で最悪の健康危機が始まった時期に発足して以来培ってきた信頼、知見、連携を活かし、民間部門と公共部門のリーダーを巻き込み、社会イノベーションの運動を支えることで、すべての人にとって包摂的で持続可能な未来を実現します。
アライアンスに加わった多国籍企業のパートナーであるSAP、ユニリーバ、デロイト、マイクロソフトにとっても、社会起業家との連携を自社のESG 戦略に組み込む機会となります。
協働する人々の声に真摯に耳を傾けることで、社会イノベーターは、格差、排除、環境悪化という根深い問題に取り組む実効性のある代替策を提示し、その過程で厚い信頼を築いています。





