2022年、自然災害による被害額は10億ドルを超えました。
気候変動はすでに現実です。ネットゼロ目標を維持するには、炭素市場の導入を加速させなければなりません。
気候変動と闘うには、世界に抜本的な変革が必要です。そして、それは今すぐに必要です。
2022年、パキスタンの洪水、欧州の山火事、カリフォルニアの干ばつを目の当たりにしました。また、被害額がそれぞれ10億ドルを超える大規模な気象災害が合計29件発生しました。気候変動は明らかにすでに現実となり、進行し、私たち全員に影響を及ぼしています。そこで明るい材料となるのは、この世界的危機について議論するだけでなく、幅広い対策がようやく見られるようになったことです。
気候変動との闘いに世界が結集
地政学的な緊張が続くなか、気候変動はバリでのG20議題の最優先事項となり、中国と米国の新たな対話を促し、米国のインフレ抑制法や欧州連合(EU)の「Fit for 55」パッケージなど、世界各地でさまざまな新政策が生まれるきっかけとなりました。
COP27では、損失と損害への資金提供に関する画期的な合意が成立しました。これにより、気候変動への説明責任という重要課題が前面に押し出され、世界中のステークホルダーは、自らの活動が環境に与える影響を厳しく見直し、その対処方法を検討することになりました。
前進は心強いものの、道のりはまだ長い
気候変動への取り組みが企業部門において特に重要であることは言うまでもありません。2022年にネットゼロを誓約したMSCI ACWI指数構成企業は3,152社に上り、2021年の2,891社から増加するなど、最近の進展は心強いものです。一方、MSCIの調査によると、MSCI ACWI指数構成企業の54%にはネットゼロ目標がなく、上場企業の64%には脱炭素化目標がありません。
投資家が意思決定の最前面にESGの考慮事項を据えるなか、情報開示基準は厳格化し、企業の説明責任が強化されています。しかし、社会や投資家の要求に応えるには、今日の企業は脱炭素化を加速させ、取り組みの進捗をより明確に示す必要があります。
多くの企業にとって、脱炭素化は長い道のりとなり、必要な抜本的変革には時間がかかります。新技術の導入、環境管理能力の向上、事業活動やサプライチェーン全体にわたる幅広い排出量の完全な測定などが求められます。
カーボンクレジットが解決策となる可能性
企業が脱炭素化を進めるなか、カーボンクレジットが解決策となる可能性があります。
例えば、ボランタリー炭素市場では、企業は温室効果ガス(GHG)の排出を回避または除去するプロジェクトが創出したカーボンクレジットを購入し、自社の排出量を相殺または埋め合わせることができます。機能する炭素市場をつくることで、カーボンクレジットは、森林、再生可能エネルギー、温室効果ガス回収などのカーボンオフセット事業への投資促進にもつながります。
近年、炭素市場は急速に拡大しています。2005年以降、欧州で先駆けて導入され、現在は世界で利用されています。世界の主要市場における炭素市場のクレジットオークションは、2017年から2021年までに推定1,412億ドルを集めました。また、ボランタリー市場だけでも、2050年までに年間1,000億ドルを集めると予測されています。
しかし、特にアジアでは、より広範な導入を妨げる障壁があります。ボランタリー・カーボンクレジットの導入以降、さまざまな制度のもとで多種多様な基準が生まれ、クレジットのガバナンス、対象範囲と適格性、方法論には大きな違いがあります。
そのため、買い手は異なる基準の把握、価格の透明性の確保、高品質なカーボンクレジットの見極めに苦労することが少なくありません。売り手にとっては、資金へのアクセスが制限され、小規模なプロジェクト開発者の検証コストが上昇します。こうした障壁や信頼できる取引市場の不足は、カーボンニュートラルやネットゼロを誓約する企業から、炭素を削減・除去できる担い手への資金の流れを妨げるおそれがあります。
Core Climate ― 新たな炭素取引市場
こうした課題に対応し、香港、中国本土、そして世界の気候関連商品や機会に資金を結び付けるため、香港証券取引所(HKEX)は2022年10月28日、取引と決済の機能を備え、利用しやすいワンストップ型の国際ボランタリー炭素取引市場「Core Climate」を立ち上げました。
このプラットフォームのカーボンクレジットは透明性が確保されており、国際認証を受けた炭素プロジェクトに由来し、VERRAのVerified Carbon Standardなどの国際基準に基づいて発行されています。参加者はプラットフォーム上でボランタリー・カーボンクレジットを購入、売却、決済、保管、無効化できます。
中国なくして世界のネットゼロは実現できない
世界最大の温室効果ガス排出国である中国に近接する立地を生かし、Core Climateが、国際投資家による世界最大級の炭素市場の一つへのアクセスを促進するとともに、中国本土の企業や投資家を世界各地の高品質な炭素プロジェクトにつなぐ重要な国際ハブとなることを期待しています。
中国が2060年までのカーボンニュートラル達成を約束し、香港政府も2050年までの達成を誓約していることから、この地域ではグリーンファイナンスへの大きな需要と機会が生まれると見込んでいます。
私たちの取り組みは続く
Core Climateは、市場運営者として、企業の低炭素への移行に必要な資金を提供するため、持続可能で環境に配慮した投資商品からなるエコシステムを構築する取り組みの最新の一歩です。
さらに、規制当局として、ESGの実践と報告が日々の事業運営に完全に組み込まれるよう、ESGの情報開示とガバナンスに関する提言を続け、基準を定めています。
最後に、私たち自身も上場企業として、模範を示すことを目指しています。例えば、グラスゴー金融同盟ネットゼロ(GFANZ)への参加を通じて、ネットゼロを誓約し、低炭素の未来に向けた戦略の一環として事業計画を策定・実行することに取り組んでいます。
気候変動への取り組みを成功させられるかどうかは、明日ではなく、今の行動にかかっていると私たちは考えています。
気候変動対策の推進と速度の決定を社会がリーダーに求めるなか、私たちは変革の推進者、イノベーター、提唱者として役割を果たせることを誇りに思います。私たちは市場と、それが支える地域社会の発展に取り組んでいます。
最新の炭素関連イニシアチブを通じて、ネットゼロへの移行を加速するために必要な解決策を拡大する道筋を築いていると確信しています。すべての人に繁栄ある未来をもたらすため、ともに取り組みましょう。





