地球は宇宙からどのように見えるのか?「まるで巨大な宇宙船のよう」―宇宙飛行士マティアス・マウラーがRadio Davosで語る

space - Matthias Maurer on board the International Space Station
Matthias Maurer spoke at the Davos Agenda from the International Space Station.Image: NASA
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  • 宇宙飛行士マティアス・マウラーが宇宙から生中継で「ダボス・アジェンダ」のセッションに参加しました。

  • ウイルスの伝播、骨と筋肉の健康、AIなどの分野を研究しています。

  • 宇宙から地球を眺めたことで、地球を守ることへの思いがさらに強くなりました。

宇宙にいるのはどんな感じなのでしょうか?国際宇宙ステーションで90分ごとに地球を一周する宇宙飛行士たちは、どんなことをしているのでしょうか?

宇宙飛行士マティアス・マウラーは、地球上空250マイルのISSから生中継で、世界経済フォーラムの「ダボス・アジェンダ」イベントのセッションに参加し、興味深い話を聞かせてくれました。

セッションの全編はこちらでご覧いただけます。

宇宙から生中継

これは、欧州宇宙機関(ESA)のヨーゼフ・アシュバッハー事務局長の紹介で行われた、マティアスとニューヨーク・タイムズ紙副編集長レベッカ・ブルーメンスタインのインタビュー記録です。

ヨーゼフ・アシュバッハー: 宇宙ステーションは現在、太平洋上のどこかにあります。ラテンアメリカに向かう途中のあたりで、次に通過する陸地がラテンアメリカです。今、何か音が聞こえました。ヒューストンとつながっていると思います。

マティアス・マウラー: ヨーゼフ、ダボスにいる欧州宇宙機関の事務局長、こちらにはっきりと聞こえています。宇宙ステーションにいる宇宙飛行士、マティアス・マウラーです。こちらの声は聞こえますか?

ヨーゼフ・アシュバッハー: とてもよく聞こえます。こんにちは、マティアス。調子はどうですか?今どこにいて、何をしていたのですか?

マティアス・マウラー: はい、元気です。今朝は実際、多くの貨物関連作業に携わっていました。地球に送り返す輸送船に荷物を積み込んだのです。実は「貨物」というのは適切な言葉ではないと思います。「収穫物」を積んだ輸送船と言うべきですね。科学実験の成果が詰まっているからです。ここ数週間、数か月、懸命に取り組んできました。そして今、この収穫物を地球に持ち帰り、科学者たちに、宇宙で生み出した試料をすべて分析してもらい、人類のための科学と知識につなげてもらいます。貨物の作業の後には運動もしました。だから今、さっぱりしていて元気そうに見えるのでしょう。濡れタオルでシャワーを浴びたところです。

ヨーゼフ・アシュバッハー: 素晴らしいですね、マティアス。ご存じのとおり、世界経済フォーラムのバーチャル宇宙セッションでつながっています。それでは、ニューヨーク・タイムズ紙のニューヨーク・タイムズ副編集長、レベッカ・ブルーメンスタインに引き継ぎたいと思います。レベッカ、お願いします。

レベッカ・ブルーメンスタイン: ありがとう、ヨーゼフ。こんにちは、マティアス。お会いできてとてもうれしいです。

マティアス・マウラー: こんにちは、レベッカ。宇宙からお話しする機会をいただけて、本当にうれしいです。とても重要なテーマについて、充実した対話ができればと思います。

レベッカ・ブルーメンスタイン: 「こんにちは」「こんばんは」「おやすみなさい」のどれがいいか、私たちも相談していたんです。地球を90分で一周するので、まさにリアルタイムの通話ですね。

まず、国際宇宙ステーションに滞在して以来、地球に対する見方がどう変わったのか、ぜひ聞かせてください。

マティアス・マウラー: そのとおりです。私たちは90分ごとに地球を一周し、1日に16周します。時刻は英国時間、つまりグリニッジ標準時に合わせて働いています。

以前、地球を一周する旅をしたことがあります。それはずっと私の大きな夢でした。世界を見たことで人生が変わり、地球や地球上の人々とどう向き合うべきかについて、さまざまな考えを持つようになりました。

しかし今、宇宙にいて、特に今朝、運動をしながら窓の外を見ると、下方を地球が滑るように通り過ぎていくのが見えました。ラテンアメリカ、南アメリカが通り過ぎていき、数分後、10分もたたないうちにアフリカ上空にいました。そのとき、500年前にクリストファー・コロンブスが、ちょうど反対方向にこの航路をたどったことを思い出しました。

彼にとって、それは本当に過酷な冒険でした。3隻の船と乗組員がいて、この難題を成し遂げるために全員が懸命に働かなければなりませんでした。そして今、私は宇宙から下を眺めています。宇宙から見る地球は、私には巨大な宇宙船のようです。この地球という宇宙船の乗組員は、当時のクリストファー・コロンブスの船の乗組員のようなものだと思います。気候変動のような今日の課題に立ち向かうには、皆で力を合わせる必要があります。宇宙に来て、以前にも増して地球を愛するようになりました。

レベッカ・ブルーメンスタイン: あなたの仕事は環境にどう役立っていますか?宇宙に少し注目しすぎて、地球への関心が足りないと言う人たちに、どんなことを伝えますか?

マティアス・マウラー: 宇宙だけで気候変動を解決することはできませんが、宇宙は間違いなく非常に重要な要素です。私はそこに3つの異なる側面があると考えています。

たとえば、個人の側面があります。一人ひとりが貢献する必要があり、宇宙は大きな動機になります。子どもたちと話すとき、宇宙から見えるものを説明すれば、子どもたちの意欲を高められます。

技術面もあります。CO2排出を減らし、機械や輸送をより効率的にするために、技術を改善する必要があります。宇宙ステーションでは、こうした新しい革新的な素材を生み出すための研究を数多く行っています。

そして政治の側面もあります。皆さんは今日、政治の場でこうした問題を議論されていると思います。政治の意思決定者にはデータが必要です。そのデータは衛星から得られますし、宇宙で行っている科学研究からも得られます。

たとえば、私たちは皆さんに提供する衛星データを使って地球を観測していますが、探査の準備も進めています。宇宙探査では、火星のような別の惑星も調べます。火星にはかつて大気と大量の水がありましたが、今では水がなくなっています。つまり、そこで極端な気候変動が起きたのは明らかです。宇宙は多くの知見をもたらし、その情報を意思決定者に届けることで、適切な判断を支援できます。

レベッカ・ブルーメンスタイン: パネルにはアル・ゴア副大統領が参加しています。ゴア氏は国際宇宙ステーションの実現に大きな役割を果たしました。最先端の研究についてお話しいただけますか?先ほど貨物の作業について触れられましたが、今週あるいは今月、宇宙で取り組む目標は何ですか?

マティアス・マウラー: 宇宙で働き始めて6か月になります。私が参加する実験は100から150件になると思います。分野は幅広く、たとえば生命科学の実験が数多くあります。宇宙の微小重力環境にいる人間の体には大きな変化が起き、筋肉や骨が衰えて弱くなることは、皆さんご存じでしょう。地球上よりもずっと速く進みます。実際、骨量の減少は地上の最大30倍の速さで起こります。そのため宇宙飛行士は、こうした病気にどう対処するかを、非常に管理された環境で迅速に研究できる、いわばモルモットのような存在です。研究を急速に進められます。

栄養や薬、運動によって対処できます。私が参加している興味深い実験の一つは「マイトーム」と呼ばれるものです。この実験では、体の複数の筋肉の強さを測定できます。その情報を科学者に送り返し、対抗策を処方してもらいます。たとえば、弱い電気刺激を与えるスーツを着用しています。これはリハビリテーションにも応用されています。こうした研究成果は、筋肉や骨に問題を抱える高齢者が、より長く健康で元気に過ごすのに役立ちます。入院した場合も、より早く退院できるようになるかもしれません。

宇宙では、宇宙放射線の影響で細菌や微生物の変異率が高まります。科学者たちは、この管理された環境で、新しい表面素材がどのような振る舞いをするのか、多くを学ぶことができます。

パンデミック、たとえば新型コロナウイルスのパンデミックに関連する興味深い実験も行っています。病気の伝播が非常に重要な課題であることは、皆さんもご存じでしょう。宇宙に持ち込んだ新しい金属や合金の表面を加工し、細菌を死滅させる素材を用意しました。宇宙では宇宙放射線の影響で細菌や微生物の変異率が高まります。科学者たちは、この管理された環境で新しい表面素材がどのような振る舞いをするのか、多くを学ぶことができます。分析した結果を日常生活に応用できればと期待しています。たとえば、病院では誰もが触れる表面があります。感染者から次の健康な人へ微生物をうつし、感染させる可能性のある表面です。この連鎖を止め、断ち切ることができます。とても重要なことです。

さらに、CIMONがあります。人工知能を搭載しています。地球からさらに遠くへ飛行するようになれば、ヒューストンの管制チームや、ミュンヘンの欧州管制チームが、私の肩越しに見守り、小さなミスをしたときや質問があるときに助けてくれるわけではありません。そのため、人工知能は宇宙探査にとても重要です。地上でも、あらゆる輸送や宇宙輸送の管理の効率を高めるうえで非常に重要です。

CO2削減に関連する実験もあります。コンクリートの硬化に関する研究です。コンクリートは一見すると非常に古くからある素材で、私たちの周囲の至るところにありますが、通常、宇宙にはありません。コンクリートの製造では大量のCO2が発生します。この工程をより深く理解して改善できれば、CO2排出を大幅に削減できます。

私はこの装置に体を固定して走ります。装置が一定の力で私を押しつける仕組みです。その力は火星の重力にほぼ相当します。ですから、宇宙ステーションでいつも火星ジョギングをしています。

レベッカ・ブルーメンスタイン: とても忙しそうですね。宇宙旅行についての考えをぜひ聞かせてください。より多くの人が今あなたの体験していることを経験するのは、よいことだと思いますか?それから、宇宙ではどんな運動をしているのかも知りたいです。

マティアス・マウラー: ここでは運動としてサッカーをするわけではありませんが、器具が3種類あります。一つはランニングマシンのようなものです。走るのですが、実際には装置に体を固定し、一定の力で押しつけられています。ここでかかる力は火星の重力にほぼ相当します。宇宙ステーションでいつも火星ジョギングをしているわけです。

自転車もあります。座らずに浮いているので、サドルのない自転車です。脚を引いたり押したりして運動します。有酸素運動のためです。

さらに、体に「骨や筋肉が必要だ」と思わせる運動も必要です。そこでウエイトトレーニングをします。微小重力環境では重りを持ち上げることはできませんが、地上でのウエイトトレーニングと同じ効果が得られるよう、圧力に逆らって押します。これは非常に重要です。この新しい装置を導入してから、宇宙飛行士の健康状態は大きく改善しました。もう一つの質問は何でしたっけ?

レベッカ・ブルーメンスタイン: 宇宙旅行についてですが、より多くの人が、あなたが毎日見ているように地球を眺める体験をするのはよいことだと思いますか?

マティアス・マウラー: 宇宙旅行は、明らかに両刃の剣のようなものです。良い面もあります。宇宙へ行く人が増えれば、地球に戻ってきて「地球を大切にし、排出を減らさなければならない」と語る大使が増えることを期待できます。

宇宙から見えるもの、そして胸が痛むものを食い止める必要もあります。燃え続ける熱帯雨林や、溶けていく氷河などです。こうした現象は宇宙から見えます。先週ブラジルで起きた洪水も、ここから観測できました。はっきりと目に見えます。宇宙で数日を過ごすだけでも、誰もが地球を守る熱心な大使になり、未来に向けて地球を保護するようになると思います。

一方で、ここへ飛んでくる人が増えるほど、ロケットの打ち上げも増えます。そうすると廃棄物や宇宙ごみが生まれます。これは非常に重要な問題です。地球では、どの国にも属さない公海や海洋をあまりにも長い間、顧みてきませんでした。そこに石油やごみを捨てるべきではありません。最終的に食物連鎖に入り込むことを、私たちは学ばなければなりませんでした。

今、同じことが宇宙でも起きています。宇宙へ飛行するようになって、すでに50年から60年がたちます。宇宙へ機体を打ち上げるたびに宇宙ごみが残り、それが積み重なっていることが分かってきました。最終的には、積極的に宇宙を清掃するか、地上と同じようにごみが多すぎて人々が困る問題に直面することになります。実際、安全上の問題になります。

宇宙をきれいに保ち、将来も誰もが利用できるようにするための対策が必要です。宇宙にアクセスできなくなった世界で暮らしたい人はいないでしょう。私たちの経済や日常生活は、宇宙にあるあらゆるものに大きく依存しています。

宇宙飛行にはリスクがあります。しかし、適切な対策を講じれば、危険だとは言えません。

レベッカ・ブルーメンスタイン: 新しい衛星や、今お話しになった宇宙ごみが増えるなか、国際宇宙ステーションで地球を周回することは危険になっているのでしょうか?先ほどヨーゼフが、最近、実際に避難しなければならない事態があったと言っていました。

マティアス・マウラー: 宇宙ごみの問題は以前からあります。過去のロケット打ち上げで発生したものもありますし、自然由来の宇宙ごみもあります。宇宙から大気圏に入ってくる物体もあり、私たちの軌道を通過します。宇宙飛行にはリスクがあります。しかし、適切な対策を講じれば、危険だとは言えません。

国際宇宙ステーションでは、地上管制チームが飛行中の周辺領域や空間を常に測定しています。物体が近づいてくれば対策を取ります。対策の一つは、通常エンジンを噴射して宇宙ステーションの高度を少し上げる、デブリ回避機動です。物体を避けるため、減速して軌道を少し下げることもあります。物体の接近を直前に知らされた場合は、避難しなければなりません。宇宙船に退避し、何かが起きた場合に備えて各モジュール間のハッチをすべて閉めます。

これまではすべて順調で、飛行管制官は状況を非常によく把握していると思います。しかし、ロケットの打ち上げが増え、宇宙へ運ぶ物体が増えるほど、規則、厳格な規則が必要になります。たとえば、操縦可能な2機の衛星が衝突しそうになった場合、誰が回避機動を行うのかを決める必要があります。回避のために軌道をずらせば、誰もがエネルギーを消費し、運用寿命が短くなります。つまり、直接的な経済的影響もあります。

欧州宇宙機関(ESA)は非常に有利な立場にあり、ESAには宇宙状況認識プログラムに取り組む専門家がいます。しかし、これはESA事務局長のヨーゼフ・アシュバッハーもすでに言及したか、改めて問題提起することになるでしょう。皆に影響する問題だからです。ESAやNASAだけではなく、宇宙で活動するすべての人に関わります。

レベッカ・ブルーメンスタイン: 協力について多くお話しされました。最後に、地球上の誰もが宇宙を有益に利用するための共通ルールについて、世界中から参加している人々に向けて、どのように協力を実現できるとお考えか聞かせてください。

マティアス・マウラー: 宇宙に目を向けると、国際宇宙ステーションは本当に示唆に富んでいます。この計画を始めたのは21年前で、それ以来ずっと人々がここで暮らしています。多くの国の人々が、異なる言語や文化を持ち寄りながら、うまくやっています。皆で協力し、一つのチームとして働いています。この協力と成功を、さらに多くの計画へ、特に気候変動対策のような非常に重要な計画へ広げられたらと思います。国際宇宙ステーションで成し遂げたことを見てください、そして他の課題でも一歩前進しましょう、と人々に呼びかけられると思います。

レベッカ・ブルーメンスタイン: 最後に、気候変動は地球にとって非常に差し迫った問題です。火災や洪水についても触れられましたが、宇宙から、実際に自分の目で気候変動の影響を確認できると感じますか?

地球に傷跡があるのが見えます……かつて、宇宙飛行士たちが美しく損なわれていない熱帯雨林を見ていた場所です。

マティアス・マウラー: 地球を周回するとき、1日に16回ほど、非常に乾燥した地域の上空を通ります。人々が資源を採掘するために地中深く掘り進めた跡が、地球の傷跡として見えます。私たちは積極的に地球の姿を変えています。木々を伐採し、熱帯雨林を焼き払っています。炎も見えますし、かつての世代の宇宙飛行士たちが美しく損なわれていない熱帯雨林を見ていた場所に、広大な農地が広がっているのも見えます。氷河もますます小さくなっています。ただ、長期的に見る必要があるので、この点では衛星写真のほうがはるかに優れています。私の宇宙滞在は6か月で、観察期間としては少し短すぎるでしょう。洪水の被害地域も見えます。

私たち宇宙飛行士は、こうしたことを人々に伝える役割を担えます。データも一つの手段ですが、伝える大使がいることも別の手段です。また、気候変動対策に役立つことを期待して、技術の開発にも貢献しています。

たとえば、月や火星の探査を準備しています。その探査には新しい技術が必要です。たとえば、水の循環のような閉ループの仕組みが必要です。宇宙ステーションでは水をすべてリサイクルしていて、私の記憶では回収率はおよそ91~92%です。しかし、探査を成功させるには98%まで高める必要があります。宇宙で利用・開発するこうした技術を地上に応用し、地上で清潔な水を生み出し、より効率的な閉ループシステムを実現できることを期待しています。これは非常に重要な側面だと思います。また、エネルギー関連の技術も重要です。宇宙ステーションのエネルギー利用をご覧になったと思います。太陽エネルギーは過去に宇宙用途向けに大きく発展し、今では地上の気候変動対策を一変させる技術になっています。

レベッカ・ブルーメンスタイン: お時間をいただき、本当にありがとうございました。お話を伺って多くのことを学びました。宇宙でのご活躍をお祈りしています。とても意義深く重要な仕事をされていますね。どうぞお元気で。

マティアス・マウラー: この非常に重要な仕事についてお話しする機会をいただき、本当にありがとうございました。気候変動という非常に重要な課題について、これからも議論を続けてください。私たち全員が貢献する必要があります。皆さんの重要な仕事がうまくいくことを願っています。

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