人種的不平等に取り組むために注力すべき5つの分野

A business woman sits in a meeting room looking across to another employee
McKinsey research suggests coalitions are key.Image: Unsplash/Christina @ wocintechchat.com
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  • COVID-19は米国の黒人コミュニティに深刻な打撃を与えており、黒人の死亡率は白人の少なくとも2倍に上る。

  • パンデミックの経済的影響も、黒人に不均衡な打撃を与えている。

  • 不平等に対処するため、マッキンゼーは複数セクターにまたがる連携の拡大を呼びかけている。その成否は5つの要素に左右される。

公共、民間、社会の各セクターの組織が何十年にもわたり取り組んできたにもかかわらず、人種的不公正は拡大してきた。足並みをそろえた協調的な取り組みで、この流れを変えられるだろうか。

2020年は喪失の年となった。まず、世界各地で、そして特に米国で、多くの命が失われた。失われた命の中には、黒人の命が不均衡に多く含まれている。2020年には、ジョージ・フロイド、ブレオナ・テイラーをはじめ、数え切れない人々が警察の手で殺害され、さらにCOVID-19により4万6,000人を超える黒人の人々が亡くなった。American Public Media Research Labによると、新型コロナウイルス感染症による黒人の死亡率は白人の少なくとも2倍である。この格差は深刻だ。もし黒人のCOVID-19死亡率が白人と同じだったなら、今日、黒人の人々は2万2,000人以上多く生きていたはずである。

パンデミックによる経済的負担も、黒人労働者や黒人経営者により重くのしかかっている。10月時点で、黒人の失業率は約11%で、白人の6%を上回っていた。2 ニューヨーク連邦準備銀行は、40%を超える米国の黒人経営企業が、2020年2月から4月の間に廃業したと報告している。白人経営企業では約17%だった。この3カ月間で、黒人経営者の数は驚くべきことに44万人減少した。3 損失はさらに拡大する可能性が高い。9月には、黒人経営者のほぼ半数が、連邦政府の支援がなければ事業を続けられるのはあと6カ月ほどだと答えた。

今年の出来事は、長年にわたる不平等を象徴しており、その根底には構造的差別の長い歴史がある。連邦準備制度によると、典型的な黒人世帯の資産は、白人世帯の8分の1にすぎない。人種間の資産格差は、黒人世帯にも米国経済にも深刻な影響を及ぼす。私たちの以前の調査では、この格差によって米国経済のGDPが毎年1兆~1兆5,000億ドル失われることが明らかになった。

こうした状況にもかかわらず、そして一部はこうした状況ゆえに、2020年は不平等に根本から対処する機会、転換点となる可能性を秘めた年でもある。ジョージ・フロイド殺害後に世界中で起きた抗議活動は、不平等に対する広範な認識と、それを変えようとする意志を示した。Fortune 1000企業はこれに応え、人種的公正に向けた取り組みに660億ドルを拠出すると約束した。しかし、実質的で構造的な変化をもたらすには、この機運をどう生かせばよいのだろうか。

マッキンゼーも、この問いへの答えを持ち合わせているわけではない。しかし、ここ数カ月、人種的公正の促進を目指す組織のリーダーや、かつては解決困難と思われた同様の問題に取り組む組織のリーダーたちと話を重ねてきた。私たちの調査は、人種的公正に取り組む組織が、他の団体や運動と多くの課題を共有していることを示している。また、この複雑な問題に広範かつ恒久的な変化をもたらす最も有望な方法は、公共、民間、社会の各セクターの関係者を結集した集団的な取り組みであることも明らかになった。こうしたアプローチは、人種的公正に取り組む組織や黒人コミュニティの経験と専門知識を生かし、その大きな強みと能力をさらに高めることができる。

本稿では、なぜ単一のセクターだけではこの問題を解決できないと考えるのかを説明する。公共、民間、社会の各セクターの組織が幅広く連携し、成功するために必要な5つの要素を示す。また、マッキンゼー黒人経済的モビリティ研究所の設立を発表する。同研究所は、調査を加速し、人々や組織を結び付け、人種的公正と包摂的成長を促進するためのツールや資産を開発することを目指す。それにより、国の未来と世界中の黒人の人々の暮らしを守る。

果たすべき約束

ジョージ・フロイドが警察によって殺害された事件は、黒人の人々が置かれている状況に世界の注目を集めた。60カ国以上の人々と、米国全土の2,000を超える都市や町の人々が街頭に出て、ブラック・ライブズ・マター運動への支持を表明した。5 民間および社会セクターの組織は迅速に対応し、多くが人種的公正の推進を約束した。5月25日から10月末までに、Fortune 1000企業の約3分の1が人種的公正について公に声明を発表した(図表1)。そのうち93%が社内または社外への取り組みを続けて表明し、57%は人種的公正の取り組みに拠出する金額を公表し、総額660億ドルを約束した(図表2)。社外向けの資金拠出の5分の3超は、複数年にわたることを明示している。

ジョージ・フロイドの死を受け、企業が行動を起こした。Image: McKinsey&Company
企業は数十億ドルの拠出を約束した。Image: McKinsey&Company

しかし、こうした声明や約束、取り組みが相次ぐ中で、私たちは過去数十年の出来事と教訓を振り返っている。公共、民間、社会の各セクターで努力と成果があったにもかかわらず、黒人の人々は今も著しい経済的不平等に直面している。米国の人種間の資産格差は、近年も解消されていないだけでなく、2003年から2018年にかけて年平均成長率(CAGR)3%で拡大した。実際、最近のある研究によると、1950年以降、米国の黒人世帯と白人世帯の間で、所得や資産の平等に向けた進展はなかった。

公共、民間、社会の各セクターは人種的不公正に対処するため有意義な取り組みを行ってきたが、証拠が示すのは、人種間格差がセクターをまたいで生み出され、強化され、拡大されているということだ。黒人の人々は民間セクターで構造的な不利益に直面しており、市場主導の解決策はそのニーズを十分に満たさず、現実にも即していない。同様に、政策改革には大きな効果があり得る一方、政府の介入だけでは人種的不公正に対処できない。特に、公共セクターの手段や解決策を黒人の人々が等しく利用できるわけではない。市民社会組織も、単独ではこうした隔たりを埋められない。要するに、単一セクターによる解決策では、黒人の前進を妨げる障壁に十分対処できない。

何十年にもわたる失敗や不備により、黒人コミュニティではこうした取り組みに対する不信が広がり、それがさらに課題を深刻化させている。過去が示すとおり、個々の組織による約束だけでは、人種間格差に対処するために必要な実質的でシステム全体に及ぶ変化を促すには不十分かもしれない。

連携を成功させる5つの要素

最も有望なのは、複数のセクターにまたがる連携である。6 こうした連携は、若年層の失業やLGBTQ+の人々に対する差別など、同じように複雑な課題への対処で成果を上げ、または大きな進展を遂げてきた。人種的公正を推進する組織が直面する課題の多くは、他の構造的問題に取り組む組織も共有している。実際、私たちの対話から、成功する連携の基盤となりやすい5つの要素が浮かび上がった。

私たちの調査によると、この5つの要素を備えた連携は、現在進行中の人種的公正への取り組みの効果を高め、世間の注目が集まる今の時期を越えて持続させる助けとなる。これらの要素がすべてを網羅しているわけではないが、現場で活動するリーダーたちとの幅広い対話から導き出された。新たなアプローチには、そうしたリーダーの専門知識、洞察、実体験を反映させるべきである。彼らは直面する課題を理解し、認識するとともに、成果や機会が数多くあることも見いだしている。

1. 明確な共通の使命を掲げる

人種的不平等は、住居、政治、金融、労働、刑事司法など、社会のほぼあらゆる分野に存在する。そのため、組織が大きく永続的な影響をもたらす明確な使命にうまく集中するのは難しい場合がある。有色人種の経済的包摂を推進する財団のインパクト投資部門責任者は、助成機関、非営利団体、民間企業が互いに話をすれ違わせるのをやめさせることが、最大の課題だと指摘した。

成功する連携は、明確な使命に取り組むことを約束し、その使命を中心に結束している。Freedom to Marryは、2001年から2016年まで米国で活動したキャンペーンで、同性カップルの結婚を実現するという明確な目標のもと、支持者を結集した。米国で婚姻の平等が実現する14年前の2001年には、創設者のエバン・ウルフソンが運動のリーダー、支持者、協力者に対し、その目標に集中するよう促した。「望むものをすべて得られないまま話し合いの場を去ることはあるかもしれない。しかし、自分で自分の交渉力を損なうような交渉を始めてはいけない。」7

ウルフソンによれば、LGBTQ+の組織は「どんなことについても100%意見が一致したことはなかった」。しかし、目標を絞ったFreedom to Marryキャンペーンが進むにつれ、より多くの運動団体や活動家に加え、新たな支持者や協力者もその戦略に応じ、婚姻の実現という目標を受け入れた。ウルフソンは活動家としての信条の一つとして、こう説明した。「全員がそろう必要はない。戦略を実現するのに十分な人数、支持者、資源、合意、勢いがあればよい。つまり、臨界量が必要なのだ。」

2. 中核組織を通じて調整し、協働する

人種的公正の実現に取り組む組織のリーダーたちとの多くの対話で、調整と協働をよりよく進める方法が求められた。コニー・エバンズは、米国の十分な支援を受けていない起業家に資金やサービスを提供するため、1,700を超える会員・パートナー組織と連携する、数十年の歴史を持つAssociation for Enterprise Opportunity(AEO)の会長兼CEOである。黒人の経済発展を推進する組織が直面する課題について話し合う中で、エバンズは協働の不足が繰り返し現れる問題だと述べた。「分断が物事の進行を遅らせます」と彼女は語った。「各組織が、より足並みのそろった戦略を支えるうえでの自らの役割を認識できるよう、合意された方針が必要です。」

経済的な安定、安心、機会の向上を進める非営利団体Prosperity Nowの会長兼CEO、ゲイリー・カニンガムは、全国的な調整の不足が地域組織の効果を制限していると指摘した。「地域のエコシステムを支える全国的な仲介組織がありません。そのため、資金、技術支援、人材、職員、資源の面で、各エコシステムは利用者と同じ問題に苦しんでいます。」

成功する連携は、中核となる仕組みに支えられていることが多い。中核グループが定期的に関係者を招集し、合意形成と行動の調整を行う。データを収集し、知見を広め、拡大すべきプログラムを見定める。また全体の進捗を追跡し、成果を公表する。

たとえば、世界経済フォーラム(WEF)は企業、政府、市民社会のリーダーと連携し、幅広い産業、地域、構造的な課題に取り組んでいる。WEFの業界別・地域別アクショングループ、COVIDアクション・プラットフォーム、その他のマルチステークホルダー・グループは、企業や組織が協力して現在の危機に対応できるよう支援している。

Reboot Representation連合は、連携が個々の組織の活動を支え、その影響を広げる例でもある。Reboot Representationは、テクノロジー分野で十分に代表されていない有色人種の女性について、人種とジェンダーによる格差の解消を目指している。同連合のCEO、ドワナ・フランクリン=デイヴィスは、連合が「テクノロジー企業が投資や社内の多様性・包摂の取り組みについて学び、成長し、情報を共有できる安全な場を提供している」と語った。彼女は、連合が単独の企業よりも多くの助成先を支援し、「集団の力が大きな利点になる」と指摘した。また、加盟企業に対し、多様性と包摂への投資や取り組みに関するデータを、人種とジェンダーの両方で細分化して収集・共有するよう求めるなど、説明責任の促進にも取り組んでいる。

黒人の技術者でもあるフランクリン=デイヴィスは、自身の実体験が連合のリーダーとしての活動を強めていると考えている。彼女はこう説明した。「私たちが実現しようとしていることを、私はまさに自分自身で経験してきました。」

3. 十分かつ適切な資金を確保する

黒人が主導する、または黒人に焦点を当てた組織は、不均衡に資金不足に陥っている。オークランドを拠点とする非営利団体Black Girls CODEの創設者、キンバリー・ブライアントは、黒人の少女たちがプログラミングなどの技術スキルを学ぶ機会を得られるよう活動している。彼女によると、同程度の白人主導の非営利団体よりも、資金確保に苦労している。「同じパートナー候補の中から資金を得ようとしても、相手が受け取る額はしばしば大幅に多いのです。」さらに、ブライアントが得る資金の多くは使途が制限された助成金であり、リーダー人材や活動の影響を追跡するツールなど、最も必要だと考えるものへの投資が難しくなっている。「資金提供組織の中に、有色人種の女性が意思決定権を持つ立場でいる必要があります」と彼女は述べた。

人種的不公正に取り組む連携は、継続的な資金源の確保を目指さなければならない。ただし、言うほど簡単ではない。ある関係者が指摘したように、長い偏見の歴史があるため、黒人主導の組織が慈善団体から支援を得るのは特に難しい。「資金提供者は他のコミュニティを支援したいと言いますが、一貫して自分たちに似た人々に資金を提供してきました。」

ブライアントにならい、関係者は資金の使途を自ら決められる柔軟性を求め続けるべきである。たとえば、革新やリスクを取ることに使う資金と、実施や組織づくりに使う資金の配分を決めることだ。大勢の資金提供者が資源を持ち寄り、配分の決定を有能なリーダーに委ねると、連携は成功しやすい。たとえば、全米アジア系米国人商工会議所教育財団(USPAACC)は、加盟企業、財団、個人寄付者からの拠出を集め、地域活動に資金を提供している。

4. 説明責任を確保する

多くの人種的公正に取り組む組織には、データや説明責任の基準が不足している。私たちが話を聞いた関係者の大半は、組織レベルの主要業績評価指標(KPI)を、より広範な経済指標と結び付けられていない。

これは難しい課題である。米国の人種的・経済的公正の推進に取り組む非営利団体PolicyLinkの研究担当副代表、サラ・トルハフトは、地域のデータは不可欠だが、「資産などの重要な公正指標については、非常に多くの資源を要する個別調査を行わなければ、入手が不可能な場合もあります」と語った。

成功する連携には、取り組みの産出物と成果に関するデータを収集、分析、共有する仕組みがある。こうした仕組みは、影響をどう測定・報告するか、成果への貢献をどう分かち合うかについて、合意された原則に基づいている。人種的公正の関係者は、すでにこうした仕組みの開発と強化に取り組んでいる。PolicyLinkは南カリフォルニア大学のEquity Research Instituteと協力し、地域のパートナー、コミュニティのリーダー、政策立案者とデータを共有するオンライン資源「National Equity Atlas」を構築した。

マッキンゼーが設立した、世界規模で雇用を支援する非営利団体Generationは、データが進展を促す例を示している。Generationは幅広いデータを集め、卒業生と応募者に関する700万件を超えるデータポイントを収集してきた。同団体のプログラム修了後3カ月以内の就職率は86%で、卒業生の収入は以前の3~4倍になる。GenerationのCEO、モナ・モーシュドはこう説明した。「学習者、プログラム、影響について収集するデータは、方針を調整し、プログラムを継続的に改善するのに役立ちます。」

5. 幅広い関係者から支持を得て、維持する

人種的公正に取り組む組織は、実証済みの行動計画があっても、成長を制限する偏った政策、構造、力学、慣行といった制度的障壁に直面することが多い。ある関係者はこう指摘した。「政策とアドボカシーをすべて適切に進めたとしても、取り組みのあらゆる段階に制度的人種差別の底流があります。」

成功する連携は、直接影響を受ける人々にとどまらず、組織や個人から幅広い支持を得て、その積極的な関与を促す。

長い歴史を持つ公民権団体は、すでにそうした支持の構築に取り組んできた。その例は、他の人種的公正団体の働きかけにも参考になるだろう。たとえば、National Urban Leagueと全米黒人地位向上協会(NAACP)は、全国および地域のリーダー、政策立案者、企業パートナーとの協働を通じて、過去1世紀にわたり有意義な進展を促してきた。

すでに述べたように、人種的公正の実現に取り組む組織だけがこうした障壁に直面しているわけではない。これらは、他の団体や運動も共有する集団行動の課題である(上記で取り上げたものを含む)。8 こうした課題を乗り越える連携は、人種的公正に向けた進展を加速させ、セクター横断で取り組む関係者の活動を強化できる。

マッキンゼーがこの重要な取り組みを支援する方法

5つすべての要素を備えた人種的公正の連携を築くのは容易ではない。本稿は、マッキンゼーがその方法について決定的な答えを持っていると示唆するものでもない。しかし、そうした連携を支援する役割を果たすことを約束している。そのため、マッキンゼー黒人経済的モビリティ研究所を設立する。

マッキンゼー黒人経済的モビリティ研究所は、さまざまな方法で人種的公正を求める運動を支援する。私たちの使命は、詳細な調査の提供、関係者の招集、調査結果の現場への還元を通じて、民間、公共、社会の各セクターのリーダーが連携して行動し、黒人の経済発展を加速できるよう支援することだ。意思決定の指針となり、進捗を測定し、優先課題や機会を特定するための事実基盤づくりに貢献する。人種的公正の推進に関心を共有しながらも、互いの強みを生かす方法を見いだせないかもしれないリーダーたちを招集するため、民間、公共、社会の各セクターで築いてきた深いつながりを生かす。また、この調査とつながりが、現実の影響をもたらす実践的なツール、資産、能力につながるよう努める。

今は極めて重要な時期である。米国企業は、人種的公正の問題にかつてないほど注目している。人種的公正に向けた前例のない資源と関心の投入が効果的に活用され、確かな影響を生み、社会に高い投資収益をもたらし、個人とコミュニティに真の進歩をもたらすようにすることが不可欠だ。

公正は、私たちの会社と、私たちが支援する組織の中核に据えられるべきだ。この目標の達成に向けて、私たちにはまだ取り組むべきことがあると謙虚に認める。今日、世界中の黒人の人々とコミュニティの再生につながる仕組みをつくるため、資源を投入することを約束する。これがより公正な未来への一歩となることを願っている。また、私たちが協働する企業やより広範なコミュニティが、今の世代と次の世代のために、人種的公正と包摂的成長を推進する活動に加わることを願っている。

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