ダボス2023:危機に直面するコミュニティを支えるアートの力――その方法とは

This image shows a group of refugees working on Artolution art
Having a hand in art helps refugees healImage: Photo Artolution
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  • 紛争や気候変動の影響で、世界中で何百万人もの人々が故郷を追われています。

  • 紛争、暴力、避難を経験すると、身体と精神の健康に長期的な問題が生じます。

  • アート界のリーダーたちは、故郷を追われた人々の人生を変える力、情熱、スキルを備えています。

過去最多の1億人が、紛争や気候変動の影響から逃れるため、世界各地で故郷を追われています。そのうち3,250万人が難民であり、その多くは18歳未満です。移住や避難は、人道危機の性質が変化していることを反映しています。紛争、暴力、避難を経験すると、長期的な影響が残り、成人への円滑な移行が妨げられます。芸術プログラムに参加するための資源や基盤を持たない、故郷を追われた子ども、若者、大人の人生を変える力、情熱、スキルをアート界のリーダーたちは備えています。

レジリエンスの色彩

レジリエンスの色彩は、4大陸にわたる難民キャンプや避難民コミュニティで、難民の指導アーティストのチームが難民とともにキャンバスに壁画を描く初のプロジェクトです。参加したのは、次の場所です。バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ、ヨルダンのアズラック・シリア難民キャンプ、ウガンダのビディビディ南スーダン難民居住地、 ベネズエラ難民と国内避難民のコミュニティ(コロンビア)。

Artolutionのチームは難民に絵の具を使い、どこから来たのか、どのように今いる場所にたどり着いたのか、そして将来の夢を描いてもらいました。これらの物語を、避難という共通の語りの中に織り込み、今日の世界的な避難・移住危機を目に見える形にしました。創造性と協働への参加を通じて世界的な移住危機に向き合うことで、難民コミュニティ間、そして世界の人々との異文化対話の場が生まれます。

完成した作品はダボスに集められ、世界的な避難に直面しても失われないレジリエンスをたたえる一枚のタペストリーとなりました。それぞれの部分は、制作したコミュニティを表す実物の作品です。

ディルダル・ベグムImage: Artolution

この作品に込められた物語は、一人ひとりの人生から生まれています。ディルダル・ベグムは、故郷を追われ、無国籍となったビルマ出身のロヒンギャの女性です。家と村は焼かれ、家族は殺され、夫が拷問されて連行されるのを目の当たりにした後、特別な支援を必要とする2人の兄弟、祖母、母とともにミャンマーを逃れました。一家は竹のいかだを編み、ナフ川を渡る危険な旅を生き延び、バングラデシュにある世界最大の難民キャンプにたどり着きました。ディルダルはショックによる失語で6カ月間話せませんでしたが、Artolutionと絵を描き始めたとき、初めて言葉を発しました。自分が生きているとさえ感じられなかったと語る一方、みんなでアートを作ることで、他の人々が世界に伝えたいことを何でも言えるよう、その沈黙を破る機会を生かす責任を感じていると話しました。

4年後、ディルダルはArtolutionの主任指導アーティスト・トレーナーの一人です。ロヒンギャの子どもや若者を対象に、地域に根ざした公共アートと教育プログラムを主導し、生計を立てて家族を養っています。彼女はArtolutionの指導アーティストや地域の子どもたちとともに、「レジリエンスの色彩」プログラムを率いました。彼女はこう語っています。 「今ではアートの魔法がわかります。これを私から奪える人は、もう誰もいません。」

世界に自分の存在を示したいという彼女の強い思いは、この作品を作ったすべての難民を象徴しています。それは、協働によるアート制作が持つ解放の可能性を示す宣言です。故郷を追われた人々の思いや感情、大切にすることを明確にし、世界の最も注目される場へと届ける力です。

サミール・アル・ガファリーImage: Artolution

サミール・アル・ガファリーは、内戦が勃発した際、妻と子どもたちとともにシリア西部のダラアを逃れ、隣国ヨルダンに避難しました。逃走中に首と背中を撃たれましたが、幸運にも命を取り留め、国境を越えることができました。サミールは、「レジリエンスの色彩」の作品について、こう語りました。「なぜ私たちは他の人たちと同じように扱われないのでしょう。人間として見てほしいだけです……それでも、私たちはまだ生きている。だから毎日が昨日より良いのです。」逆境のただ中にあっても、この思いは存在します。それは、アズラック・シリア難民キャンプでArtolutionの主任指導アーティストとして彼が率いた作品に込められた、核となる力です。

サミールとシリア人指導アーティストからなるArtolutionチームは、「レジリエンスの色彩」の一章を制作するにあたり、特別な支援を必要とする女の子たちと取り組むことを選びました。シリアの作品は、生き延びることは単なる選択ではなく、自分たちは人間だと宣言するための原動力であると訴えます。そして、子どもたちには、過去の世代が抱えた問題を癒やし、未来の世代へとつなぐ未来を生きる権利があると伝えています。

ギフト・モーゼスImage: Artolution

アート制作と映像撮影は、ギフト・モーゼスがずっと夢見ていたことでした。彼は南スーダンの村を逃れました。そこでは残虐な民族紛争によって村が破壊され、子どもたちが兵士として徴用されていました。徒歩でウガンダのビディビディ難民居住地にたどり着いたとき、そこはアフリカ最大の難民居住地であり、彼の精神状態は大きく損なわれ、心身に受けたショックも深刻でした。それでも、映画制作者、アーティストになりたいという夢は、過去の恐怖を乗り越えました。Artolutionと活動する中で、ギフトは夢を実現し、自分が目撃した出来事を語り、地域の人々の人生に影響を与えたいという強い思いを満たしました。彼は「過去から受け取った希望の記憶」という発想を作品に加えました。それは遠くに灯る一本のろうそくの中に宿っています。家を再建する希望、そして故郷を追われたすべての人々が共有する新しい人生への切望を象徴する、印象的なモチーフです。

ヨレイディマールImage: Artolution

コロンビアでは、ベネズエラ難民の子どもたちの多くが、避難によって家族と離れ離れになり、暴力を伴う苦痛な社会的・感情的トラウマを経験しました。プロジェクトに参加した少女の一人、ヨレイディマールは、貧困と暴力のためベネズエラで暮らし続けられず、兄と離れ離れになった苦しみを語りました。彼女と家族は深い恥の意識を抱き、彼女はつらい状況からなぜ逃れなければならなかったのかを話すことに後ろめたさを感じていました。

自分の物語を絵にすることで、ヨレイディマールは内面のトラウマを表に出す道を見いだしました。創作を通じた表現によって、現実に根ざした行動へと物語を変えることができました。「レジリエンスの色彩」プロジェクトには、故郷を追われた多くのベネズエラ難民と国内避難民となったコロンビア人が参加しました。過去の紛争や課題を語り合う場を設け、記憶を、自分たちが信じられる未来へとつなげました。

最も普遍的なメッセージの一つ は、想像力が、未来に向けて共に考え、行動しようとする共通の思いを育むことです。どちらのコミュニティの子どもたちも、魔法のような想像上の未来を作りたいと願っていました。これは、未来を可能性に満ちたものとして捉え、遊びながら考え続ける機会を持つことが、子どもたちに普遍的に必要であることを示しています。

カナダの「経済的流動性促進プログラム」は、熟練した難民の雇用をどのように確保しているのか
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未来を描く

この4つの物語は、強制移住という森に世界中で何百万もの色鮮やかな葉を茂らせる、複雑に絡み合った生きた木の、その一部にすぎません。この木は、世界的な移住危機を表す4つの作品を通じて形になっています。物語は、緊急事態の後に生まれる思いを拡大して見せるレンズです。創造の瞬間を捉え、ダボスへ、そしてその先へと運ばれ、他者の世界をのぞく窓を開きます。

これらの作品は、故郷を追われたコミュニティの社会的、感情的、共同体的、経済的、身体的な健康のニーズに対処する際、何を考慮すべきかを示しています。最も大きな影響を受けた人々を人間として理解するには、彼らの意見を根本から尊重する必要があります。「レジリエンスの色彩」のキャンバスに絵を描いた何百人もの参加者の物語に耳を傾けることで、アートを触媒として活用し、必要な対話の種をまく機会が得られます。

資源配分、資金提供、寄付者の優先順位の見直しにあたり、「レジリエンスの色彩」を出発点として、アートと文化を通じた教育、メンタルヘルス、レジリエンスの構築をめぐる世界的な議論を形づくることができます。芸術的な視点の転換は、アートが成し遂げる最高のことです。その力は、今日に至るまで、芸術史上のあらゆる運動を通じて示されてきました。

「レジリエンスの色彩」の物語が幾重にも重なり合うことで、意義深く協働的な語りを通じて光がもたらされます。このタペストリーの縦糸と横糸は、地域の知見に基づく、世界的な移住危機についての論評です。地政学的な分断を越えて協働することの新たな意味を、異なる難民アーティストたちが体現できることを伝える、心に迫る歴史的な論評でもあります。

全編を通じて、過去、現在、未来が重なり合う意味を探り、あらゆる文化が常にアートの題材としてきたこと、すなわち世界の意味を見いだす営みを振り返ります。このプロセスに込められた特有の意味は、難民、無国籍者、避難民の増加を受け、かつてないほど重要になっています。

ダボスで、難民アーティストや子どもたち、コミュニティの視点、物語、考えを示すこの作品を展示することは、世界中で故郷を追われたすべての人々へのメッセージです。一人ひとりの人間、つまり男性、女性、子どもたちの声が届いています。彼らの筆跡が、世界的な移住の未来をめぐる対話を形づくっています。このタペストリーに込められた何百もの声は、世界で最も重要な意思決定者たちに届いています。

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