気候変動との闘いで原子力を受け入れるべき5つの理由

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  • COP28では、化石燃料からの移行を進め、2050年までに炭素排出量の実質ゼロを達成する必要性が世界で認識された。

  • その実現に原子力は不可欠だ。原子力発電所は炭素を排出せず、ほぼあらゆる他の選択肢より安全で、約1世紀にわたり手頃な価格のエネルギーを供給する。

  • 原子力が世界にとってこれほど重要な理由と、その恩恵を最大限に生かすために投資の障壁をどう乗り越えるかを見ていこう。

1カ月余り前、COP28議長は、2050年までに炭素排出量の実質ゼロを目指して化石燃料から移行するという世界的合意を採択した。

会議の開催国はアラブ首長国連邦だった。過去5年間、再生可能エネルギーと原子力への投資を通じて、UAEはエネルギーミックスにおける1人当たりのクリーンエネルギーを、他のどの国よりも多く増やした。

同国のバラカ原子力発電所は2021年に商業運転を開始した。首長国の電力網の4分の1を脱炭素化する見込みだ。

世界的にも、原子力はネットゼロへの移行で重要な役割を果たしている。原子力への懸念は、事実に基づく理解へと徐々に変わりつつある。今年、COPで合意された文書が、低排出技術の一つとして原子力への投資を初めて支持した。

原子力の主な特長の一つはエネルギー密度の高さだ。指ぬきほどの大きさのウラン燃料ペレットは、石油のほぼ3バレル、天然ガスの350立方メートル超、そして約石炭の0.5トンに相当するエネルギーを生み出す。

原子力を無視できない5つの理由

世界全体で原子炉運転実績が2万炉年に達する原子力には、5つの明確な利点がある。

1. 原子力は、ライフサイクル全体で炭素排出量が最も少なく、他の発電方法より必要な資材と土地が少ない。たとえば、エネルギーを同じ量だけ生産する場合、太陽光発電には資材が17倍以上必要で、土地も46倍必要となる。

2. 地殻や海洋に含まれるウランは、金やプラチナなどの希少金属より豊富だ。現在、経済的に採掘可能とみなされるウラン資源を使い切るまでには、およそ100~150年かかる。

3. 原子力発電は天候に左右されない。米国の発電所など、適切に運転されている原子力発電所は、変動型の低炭素電源に比べ、少なくとも2~3倍高い信頼性で、運転年数も2~3倍に及ぶ。必要なときにより多く、不要なときには少なく供給する、風力・太陽光を支える柔軟なベースロード電源として、原子力発電所は石炭を代替し、再生可能エネルギーの導入を可能にする。

4. 原子力発電所は毎年、世界の低炭素電力の4分の1を生産している。化石燃料が大気中に放出する有害な汚染物質によって命を縮める人々を減らし、多くの命を救っている。原子力の安全性は太陽光とほぼ同等だ。石炭、ガス、石油よりはるかに安全で、他のほぼすべての代替エネルギー源よりも安全である。

5. 使用済み燃料が高い放射能を持ち、熱を発するのは事実だ。しかし、比較的少量であり、極めて慎重に管理・規制されている。原子力発電は効率が非常に高いため、これまでに生じた使用済み燃料の総量は、理論上、オリンピックサイズのプール42個に収まる。現在、使用済み燃料はプールや乾式貯蔵施設で慎重に保管されるか、再処理されている。フィンランドやスウェーデンなどでは、使用済み燃料を処分する深地層処分場の設置が間近に迫っている。フランスでも、使用済み燃料の再処理で生じる高レベル廃棄物の深地層処分場の整備が進んでいる。

原子力は最も安全でクリーンな電源の一つであり、環境への負荷も最小限に抑えられる。そして最終的には、発電所の運転期間全体で見れば、利用可能なエネルギー源の中でも最も安価なものの一つである。

原子力には多くの利点がある一方、乗り越えるべき課題もある。チェルノブイリと福島第一原子力発電所の事故は、不信感と投資不足の影を長く残した。原子力発電所の建設には多額の初期費用がかかり、予算超過や長期の遅延によって、新設への支持を得ることが難しくなっている。

この原子炉は核廃棄物を燃料として利用している。
この原子炉は核廃棄物を燃料として利用している。
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原子力への投資を促す3つの手段

現在の投資水準を3倍にし、ネットゼロ達成に役立つ原子力発電能力を構築するには、主に3つの手段を講じる必要がある。

手段1:原子力を、信頼性が高く、拡張可能で、安全かつ非常に手頃な低炭素エネルギー源として正当に評価しなければならない。投資優遇策でも、そのように扱う必要がある。今日のエネルギー市場は、1970年代や1980年代の市場とは異なる。政府が今も資金調達の多くを担う市場であっても、原子力には民間投資が必要だ。政府は初期の巨額な資本コストに伴うリスクを引き受ける必要がある。しかし、それだけでは足りない。長期的に確実な収益と投資を促す環境を整え、民間資金を呼び込む必要がある。そのためには国内外で公平な競争環境を整え、多くの主要な国際金融機関や開発銀行による原子力投資を妨げている政策を見直すことも必要だ。

手段2:政府と市民は再び原子力に目を向けている。原子力産業は、このまたとない機会と課題に応え、予定どおり、予算内でプロジェクトを完遂する必要がある。同時に、産業標準化を一段と進め、設計段階で安全性、核セキュリティ、保障措置をより適切に組み込まなければならない。

手段3:規制当局は、高い安全水準を維持しながら、必要な発電能力の3倍増を可能にすることで、この好機に応える必要がある。そのためには組織内の能力を高めることも含まれる。規制当局にまだ経験のない次世代の革新的な原子炉の許認可に対応できる体制も整えなければならない。

原子力は国境を越えて取り組む分野だ。したがって、これらすべての取り組みには国際協力と連携が欠かせない。世界の原子力分野の中心的存在であるIAEAは、原子力調和・標準化イニシアチブを通じて規制当局と産業界を結び付け、安全性と核セキュリティの向上を促進し、小型モジュール炉の迅速な導入を可能にしていく。

原子力は並外れた資産であり、気候変動を抑えるには、その潜在力を最大限に引き出す必要がある。原子力を風力や太陽光と対立させる見方は誤りだ。事実を広く伝え、指導者が必要な手段を講じ、世界の気候目標の達成を可能にする時が来ている。

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