「生活賃金」とは何か?支払うことが企業と労働者にもたらすメリット

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  • 生活賃金は、労働者の基本的なニーズをすべて満たし、緊急時に備えるためのある程度の自由に使える収入も得られる水準であるべきです。

  • 多くの経営者は、生活賃金の支払いが収益に悪影響を及ぼすのではないかと懸念を示しています。

  • しかし、生活賃金の支払いは企業と従業員の双方にメリットをもたらすことが示されており、雇用主は対応する必要があります。

今では私たちの多くが気候危機と、有害な排出をなくし、地球の気温上昇を食い止めるために企業、政府、個人が等しく緊急に取り組む必要性をよく理解しています。しかし、社会危機の拡大を食い止めるためにも、同じように緊急の行動が必要だということは、まだ広く認識されていません。

気候変動と同様、世界の社会的不均衡を是正し、破局を避けるには、的を絞った一連の具体的な行動が必要です。社会的不平等に対処するために私たちが取れる最も有力な行動の一つは、生活賃金の普及を促すことです。

生活賃金は基本的なニーズを超えて満たすべき

生活賃金(生活所得とも呼ばれる)とは、労働者とその家族がまともな生活水準を送るのに十分な、標準的な労働週に対して地域で支払われる報酬です。基本的なニーズをすべて満たすとともに、自由に使える収入をある程度確保し、予期せぬ出来事に備えられる水準であるべきです。

生活賃金は、政府が定める最低賃金を上回ることが多く、そのため多くの経営者が収益への悪影響を懸念しています。しかし、こうした懸念の根拠となる考え方には誤りがあり、率直に言えば、将来を見据える企業にとっては近視眼的です。

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労働者を実質的に貧困状態に置く賃金を企業が支払うことは、もはや許されません。貧困水準の賃金を資本主義の不幸な副産物として片付け続けることもできません。

世界中の企業が責任を引き受け、対応すべき時です。というのも、ここには朗報があります。労働者が少なくとも生活賃金を得れば、誰もが恩恵を受けるのです。

生活賃金は競争優位性をもたらす

消費者は、自らにとって重要な課題で率先して取り組む姿勢を示す倫理的なブランドや企業をますます求めています。ブランドがそうした期待に応えていないとわかれば、消費者は購買行動を通じて意思を示します。

サプライチェーンにおける社会的な取り組みが厳しく問われるなか、生活賃金は評判の向上に大きく貢献します。さらに、ブランドイメージや顧客ロイヤルティ以外にも、生活賃金の導入を、対処すべきコストではなく成功への投資と捉えられる理由がいくつもあります。

労働者をワーキングプアから抜け出させることは、とりわけ新興国や発展途上国で消費市場を拡大し、消費支出を増やし、さらなる需要を喚起して、経済的な機会を広げます。

最近のカナダの調査では、最低賃金が1%上昇すると、小売売上高が0.5%増加することが明らかになりました。さらに、生活賃金は従業員の仕事への意欲と生産性を高め、離職率を下げることで、採用や研修にかかる関連コストを削減します。

生活賃金を導入する企業は、労使関係の改善によって事業の混乱が減るというメリットも得られます。PayPalはその一例で、全従業員に「まともな賃金」を支払う決定が近年の成長の大きな要因になったとしています。

より広い視点では、生活賃金はバリューチェーンの安定性、パフォーマンス、レジリエンスを強化することもできます。多くの企業が、サプライヤーのパフォーマンスと労働者の処遇に直接的な相関関係があると指摘しているのも不思議ではありません。

したがって、責任ある調達慣行と、サプライヤーとの長期的な関係への投資が極めて重要です。

ステークホルダーとの対話が果たす重要な役割

もちろん、この世界的に重要な課題に対処する責任は、ビジネス界だけにあるわけではありません。法定最低賃金が少なくとも生活賃金に相当するよう、政府が政策改革や市場インセンティブを導入することが強く求められています。

最も所得の低い人々の賃金を引き上げることは、政府が経済を即座に刺激するために活用できる有効な財政手段です。賃金の上昇により、生活費の上昇に賃金水準を追いつかせることで、政府は社会保障の負担を雇用主と分かち合うこともできます。

投資家も、企業に説明責任を果たさせるうえで重要な役割を担います。環境・社会・ガバナンス(ESG)の評価基準の中核に生活賃金を据えることで、企業がステークホルダーへの社会的影響を定量化するための測定可能な手段を提供し、その過程で強力な働きかけを行うことができます。

善意を行動に移す

ユニリーバでは、2020年に直接雇用する従業員への生活賃金の支払いを実現しました。その後、2021年には新たな目標を掲げ、ユニリーバに商品やサービスを直接提供するすべての人が、2030年までに少なくとも生活賃金または生活所得を得られるようにすることを目指しています。

この実現に向け、業界の専門家、サプライヤー、政府、市民社会と連携し、変革に働きかけるとともに、経験とネットワークを結集して社会的公正の取り組みを加速させています。業界や管轄区域を越えてパートナーと協力することで、影響を広げ、意義ある行動を起こすことができます。

この分野における世界的な取り組みを前進させる方法の一つとして、信頼できる組織と協力し、生活賃金と生活所得に関するデータを集めた、独立性と透明性を備えた世界的なデータベースの構築を検討しています。これにより、一貫性と信頼性を高め、世界各地のデータをより広く網羅することを目指します。

また、サプライヤーに生活賃金/生活所得の実現を約束するよう呼びかけ、取り組みを支援しています。約束したサプライヤーには、私たち自身の生活賃金目標を達成するために用いているプロセスの知見や詳細を共有し、実績のある生活賃金関連のツール、専門家、リソースを紹介します。

当社のブランドも取り組みに加わっています。たとえばベン&ジェリーズは、フェアトレードと連携して生活所得アクセラレーターを立ち上げました。農家の生活所得を促進する取り組みを前進させるために設立された、独自の基金です。

生活賃金:企業の成功の鍵

生活賃金を支払う重要性をめぐる議論の高まりは、サプライチェーンの混乱やコスト上昇、そしてそれらの課題がもたらすさまざまな影響に直面する企業にとって、時宜を得ないものだという意見もあるでしょう。

世界経済フォーラムは、職場の平等をどのように推進しているのでしょうか?

「仕事の未来レポート」2023年版によると、調査対象企業の75%が、今後5年間にAI、ビッグデータ、クラウド技術を導入する見込みです。

新経済・社会センターは、リーダーたちが新技術の導入や有効性、そして労働者がそれらを活用する準備状況について知見を共有する場を提供しています。私たちは、成長、雇用、スキル、公平性、リスクに関する知見や対話の創出に取り組んでいます。

私たちの取り組みについて詳しくはこちら:

  • ジェンダー平等:2006年以降、毎年101の経済圏におけるジェンダー平等の現状と進展を測定し、意思決定者がジェンダー格差を縮小するために最も有効な政策を特定できるよう支援しています。チリでは、ジェンダー平等アクセラレーターの設立を支援し、72万8,000人の女性に恩恵をもたらしました。参加企業ではジェンダー格差が37%縮小しました。

  • リスキリング革命:パートナーとともに、350を超える組織と協力し、世界の労働者がキャリアを将来に備えられるよう支援しています。2030年までに10億人に、より良い教育、スキル、経済的機会を提供することを目指しています。

  • 障害者包摂:Valuable500とともに、障害者包摂の推進に取り組むCEOの世界最大のネットワークと連携し、障害者包摂の格差解消を目指しています。加盟企業は、デジタルアクセシビリティのベストプラクティスの導入を拡大し、多様性、公平性、包摂性の戦略に障害者を含めることで、前進を続けています。

  • 人種的公正:私たちは、55の組織からなる世界的な連合と連携しています。13の業界にまたがる参加組織は、社会で十分に代表されていない人種的・民族的背景を持つ専門職の人々にとって、公平で公正な職場づくりに取り組んでいます。

当センターの取り組みについて詳しく知りたい方、または参加をご希望の方は、お問い合わせください。

しかし、証拠が示すのは別の事実です。最も支援を必要とする人々の所得を増やして社会的不平等を減らすことは、長期的に企業を守り、成長させるための重要かつ有力な方法です。

これまでの見方を改める時です。生活賃金は企業にとってコストではなく、企業の成功に測定可能で具体的な形で貢献するものです。

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