最近の調査によると、経営幹部の62%が気候変動について常にストレスを感じています。
気候変動の影響を緩和し、適応するための戦略は、企業が存続し繁栄するうえで鍵となります。
企業には、気候変動への懸念を行動に移す責任があります。
人類の歴史を左右する重要な局面を迎えています。世界的なエネルギー危機、ウクライナでの戦争、経済の不確実性の高まりに直面するなか、各国は温室効果ガス排出量の削減に苦慮しています。米国の異常気象、欧州の命を脅かす熱波、パキスタンの壊滅的な洪水は、今年のダボス会議を前に立ちはだかる最近の気候危機の一部です。
そして、その影響は当初考えられていたよりもはるかに広範囲に及ぶ可能性があります。
気候変動とビジネスリーダーのメンタルヘルス
デロイトの「2023年CxOサステナビリティレポート」は、気候変動がメンタルヘルスに及ぼす影響について、目を見張るような知見を明らかにしました。24カ国のCスイート幹部2,000人余りを対象とした同レポートによると、62%が気候変動について「常に」または「ほとんどの時間」ストレスを感じると認めました。調査対象者のうち、気候変動についてストレスを感じたことがないと答えたのはわずか5%でした。
明るい兆しは、ストレスの高まりにもかかわらず、こうしたビジネスリーダーたちが気候変動の影響への対応で正しい方向に進んでいるように見えることです。私たちの調査では、大多数(75%)が過去1年間にサステナビリティ投資を拡大しました。半数を超える回答者が、従業員の積極的な活動や規制環境の変化が、行動を促した大きな要因だったと答えています。
では、地域社会と私たちの幸福に及ぶ気候変動の最悪の影響を回避するために、ビジネスリーダーは今、何ができるでしょうか。
適応と緩和
まず、気候変動の緩和と適応の両方に向けた活動を、事業運営の中核に組み込むことから始められます。
現実には、緩和策によって気候が安定したとしても、私たちは気候変動の影響と共に生きていかなければなりません。だからこそ、気候変動の現在および将来の影響に合わせて調整するプロセスである適応策が極めて重要です。例えば、インフラを気候の影響に対してより強靭にすることが挙げられます。
多くのリーダーが、こうした取り組みのコストに正しく注目しています。しかし、緩和と適応は民間セクターにとって未開拓の機会でもあります。気候変動対策を怠った場合に世界経済が被る損失を考えてみてください。デロイトの試算によると、2070年までに178兆ドルに上り、食料や水の不足、雇用の喪失、健康や幸福の悪化といった、より大きな人的コストも生じます。一方、気候変動対策は現在価値で43兆ドルの利益をもたらす可能性があります。つまり、今行動すれば、経済の変革によって世界の成長を力強いものにし、気候変動の壊滅的な影響を抑えることにもつながります。
有意義な前進を遂げるには、民間セクターが適応戦略の策定と実施を支援しなければなりません。
デロイト グローバル 名誉CEO
有意義な前進を遂げるには、民間セクターが適応戦略の策定と実施を支援しなければなりません。それを実現するための知見、影響力、規模を私たちは備えています。まずは、より広範なエコシステムと連携し、低炭素経済への移行を促すソリューションを生み出すことが最善だと考えます。
気候変動の緩和と適応には、地域ごとのリスクを理解し、それらを管理する計画を策定する必要があります。今日すでに経験している影響に対応しながら、不確実な明日に備える体制を整えるということです。例えば、より暑く乾燥した、あるいは湿潤な環境に耐えられる作物を多様化すること、インフラがより激しい気象パターンに耐えられるようにすること、そして地域社会が海面上昇や洪水の増加によるリスクを軽減できるよう支援することが挙げられます。
世界経済フォーラムは気候危機にどう取り組んでいるのでしょうか。
模範を示す
先導役を担うべく、デロイトは2020年に「ワールドクライメート 戦略」を立ち上げ、組織内外で責任ある気候変動対策の選択を促しています。変化は内側から始まると私たちは認識しています。「ワールドクライメート」を通じ、デロイトは、科学的根拠に基づく1.5°C目標として、科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)の検証を受けた、短期(2030年)の温室効果ガス削減目標を掲げました。
また、気候変動の影響について社員を教育し、気候にプラスとなる選択ができるよう後押ししました。最後に、デロイトのクライアント、アライアンス、非営利団体、サプライヤーと協力し、システムおよび業務レベルで気候変動に取り組むための措置を講じました。これは正しいことをするだけではありません。私たちの事業にとって正しいことをすることでもありました。
気候危機をめぐってリーダーたちが抱く不安は警鐘であり、行動を起こすべき時は今です。ビジネス、政府、市民社会のあらゆる領域で、リーダーには、現代を決定づける課題に取り組む責任があります。
