産業データが生産性、イノベーション、持続可能性を解き放つ

74 zettabytes of industrial data was created and stored last year
74 zettabytes of industrial data was created and stored last yearImage: Tungnguyen0905 / Pixabay
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  • 産業界では、ますます膨大な量のデータが生成・保存されている。

  • こうした情報を適切に活用すれば、企業の生産性、イノベーション、持続可能性を大きく高められる。ただし、注意すべき落とし穴もある。

  • デジタル革命を最大限に活用してきた組織の事例をいくつか紹介する。

産業データはおよそ2年ごとに倍増している。2021年、産業界はデータを生成、取得、複製、消費し、その量は74ゼタバイトに達した。2023年には130ゼタバイトに増えると推定されている。この急増は問題を生んでいる。膨大なデータも、それだけでは役に立たないからだ。

企業に価値をもたらす知見を引き出すには、データを整理、構造化、分析する必要がある。平均的なデータサイエンティストは、勤務時間の最大60%を知見の創出ではなく、データの収集、クレンジング、集約に費やしている。

データ収集にこれほど時間がかかるなか、データを効果的に扱える企業が、生産性、イノベーション、持続可能性の面で競争優位を得るのは当然だ。データを効果的に活用する企業では、その結果として生産性が倍増すると私たちは推定している。

生産性と成長がかかっている以上、データを収集、整理、管理、分析できるデジタルソリューションが、世界経済の基盤になりつつあることは明らかだ。意思決定者が容易に活用できるよう、データを収集し、文脈づける必要がある。そのためには、特定の産業用途向けに構築された分析と人工知能(AI)を用い、データの意味を読み解いて、事業運営全体を貫く一貫性のあるデジタルスレッドへとつなぐ。こうして得られた知見を使えば、パターンや異常を見つけ、AIを活用して事業モデル全体を事後対応型から先回り型の意思決定へと転換できる。効率性を高め、持続可能性を推進することにもつながる。

次のような組織がヴェオリア、SCGケミカルズ、コモンウェルス・フュージョン・システムズは、エッジコンピューティングや産業用モノのインターネット(IIoT)からクラウドまで、複数のシステムにまたがるハイブリッドアーキテクチャを採用している。これにより、モビリティ、拡張性、コスト効率を高めている 。グローバルな接続性が高まることで、これらの企業は膨大なデータを迅速かつ容易に処理できる。

低コストのセンサー、IIoTデバイス、従来型の産業システムを、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)やハイブリッドクラウドのアーキテクチャを用いて円滑に結びつけることで、人間と機械の対話や、モノ同士の接続が急速に広がる。これが産業の持続可能な未来であり、より高度な人間の知能を取り入れ、パンデミックによって加速した第5次産業時代の幕開けでもある。

2035年までに、産業データは2,142ゼタバイトに増加すると推定されている。Image: Statista

データで未来の産業を可視化する

産業企業が成長と持続可能性の目標を達成するために、まず共通して取り組むべきことは、データを収集し、基準値を定め、経時的に進捗を追跡するための産業情報インフラを構築することだ。測定とモニタリングのプロセスは一見簡単そうに思える。しかし、現代の産業運営は複雑であり、拠点間で食い違うデータセットが生じたり、情報がすぐに古くなったりしやすいため、多くの場合、難しく時間のかかる作業となる。

業績を把握・改善し、脱炭素化を進めることに真剣に取り組む企業にとって、産業情報を統合するプラットフォームは、これまで以上に欠かせないものとなっている。実際、デジタルツールを使って、より踏み込んだイノベーションを推進する企業もある。

世界的な自動車メーカーのトヨタは、8つの工場にまたがる統合エネルギー監視・管理システムを構築し、エネルギー消費量の集計と検証にかかる時間を数時間から数秒に短縮した。また、トヨタの経営陣に直感的な傾向分析とスマートなレポート機能を提供し、炭素効率の最適化を容易にするとともに、迅速な是正措置を取らなければ炭素への悪影響につながりかねない操業上の異常をすばやく特定できるようにした。これによりトヨタのチームは、世界各地の工場で2050年までにネットゼロを達成するという会社の公約に向けた進捗を、リアルタイムで把握し、測定できるようになった。

統合情報を活用し、再生可能エネルギーの可能性を引き出す

政府の政策による支援の強化と、COP26の前および開催中に発表された、より野心的なクリーンエネルギー目標を受けて、国際エネルギー機関(IEA)は現在、再生可能エネルギーが2026年までの世界の発電容量の増加分のほぼ95%を占めると予測している。その半分以上を太陽光発電(PV)だけで賄う見込みだ。ここでも、セクターに特化したデータ中心の運用モデルが、再生可能電力の導入加速と規模拡大に大きな役割を果たす。

好例は、米国の電力会社ドミニオン・エナジーだ。同社はネットワークの円滑な運用を目指してデータ中心のアプローチを取り、電力網のパフォーマンスに関するデータを統合する産業情報管理システムを導入して、顧客へのエネルギー供給を最適化できるようにした。同社は3つの目標を達成した。第一に、系統を最適化するため、エネルギー源と電力の流れに関する正確で信頼できるデータを自社のエンジニアに提供した。第二に、大量のデータを単一のインターフェースに統合した。チームにとって予想外だったのは第三の目標である。電力最適化の効果に加え、同社のパフォーマンスデータそのものが顧客にとって価値を持つことが分かったのだ。顧客はこのデータによって、再生可能エネルギーを調達・利用していることを示すデータの追跡記録をもとに、ネットゼロへの公約をリアルタイムで検証できる。この効果により、ドミニオンは新たな収益源を開拓し、電力網のさらなる脱炭素化への道を切り開いている。

新たな機会をつかむための新たな考え方

新しい世界で成功するには、新たにデジタル中心の考え方を取り入れることが重要だ。企業がデータ中心の運用へと軸足を移し、プロセスを簡素化し、無駄な作業を減らして価値を生み、持続可能性を推進するにつれて、俊敏性とレジリエンスが高まる。

これがデジタルトランスフォーメーションの可能性であり、事例が示すように、多くの企業がすでにこの革新的なアプローチを取り入れている。

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