南アジアが強靱で持続可能な未来を築く機会をつかむには

Girls gesture after receiving a dose of Bharat Biotech's COVID-19 vaccine, Covaxin, during a vaccination drive for children aged 15-18 in Mumbai, India, January 3, 2022. REUTERS/Niharika Kulkarni
Here's how South Asia can unlock economic growth, drive development and strengthen the region's competitiveness.Image: REUTERS/Niharika Kulkarni
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  • 地域協力の強化は経済成長を促し、地域サプライチェーンは南アジアと世界に利益をもたらし得る。

  • 新たなサービス経済は南アジアの発展を促進し得るが、規制改革、デジタルインフラ、リスキリング・スキルアップが必要だ。

  • グリーンリカバリーは南アジアの長期的な競争力を強化し得るが、重要な改革が不可欠だ。

世界人口の4分の1が暮らす南アジアは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって深刻な影響を受けた。社会の周縁で暮らす人々の割合が非常に高いこと、社会保障の適用範囲が断片的であること、経済活動や雇用におけるインフォーマルな働き方が広く浸透していること、そして公衆衛生インフラに大きな格差があることから、その影響はとりわけ深刻だった。

南アジアでは、パンデミックにより2020年に6,200万~7,100万人、2021年に4,800万~5,900万人が新たに貧困に陥ったと推定されている。南アジアのすべての経済、特にモルディブにとって重要な産業である観光業も大きな打撃を受け、観光業や関連活動に生計を依存する数百万人の暮らしが脅かされた。南アジア経済の屋台骨であり、GDP、雇用、輸出に大きく貢献する中小企業も、パンデミックによって深刻な影響を受けた。

この危機は歴史的な不平等と脆弱性を際立たせ、貧困削減の成果を数年、あるいは数十年分後退させる可能性が高い。その結果、南アジア諸国が持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて進めてきた取り組みが損なわれかねない。

経済的な打撃が完全に癒えたとは言い難いものの、南アジアでは生産活動と輸出が力強く伸び、回復が続いている。復興が進む南アジアには、この危機を生かして、より公平で持続可能かつ強靱な社会を再構築する機会がある。復興への道筋や新たな成長戦略には、危機から得た教訓と、危機の間に生まれたイノベーションを反映させるべきだ。

地域協力の強化

進行中のさまざまな機会の中でも、地域協力の強化は、南アジアが独自の影響力を築くための基盤となる。地理的な近さ、構造面・文化面での共通性、共有された開発の優先課題、複数の地域協力の制度的枠組みという利点があるにもかかわらず、南アジアは経済統合が世界でも特に進んでいない地域の一つだ。貿易やサプライチェーンを改善し、インフラの共有や人材・資本資源の越境移動など、地域内の経済交流を深めることで、一体的な地域経済へと生まれ変わる機会がある。

国境を越える貿易や労働市場に歴史的に存在する不均衡に対処し、域内で共有する経済圏を投入資源、市場、消費に活用し、地域機関や協定を強化することで、既存の経済機会や、これまで活用されてこなかった機会を引き出せる可能性がある。世界のサプライチェーンの再編が進む中、地域サプライチェーンは大きな利益をもたらし得る。とりわけ、地域経済は協力して南アジア自由貿易地域(SAFTA)を全面的に実施しなければならない。経済統合を進めるために足並みをそろえて取り組めば、効率性を追求する産業再編を地域全体で促し、規模の経済、専門化、競争力の向上につなげられる。

新たなサービス経済

今日の危機のさなかに生まれる歴史的な機会は、古いパターンが再び定着すれば失われる。南アジアにとって、その機会の一つが新たなサービス経済の台頭となる可能性がある。

パンデミックの間、デジタル技術が中心的な役割を担うようになり、世界中でサービス経済が大きく後押しされた。サービスは直接的に、また他のセクターへの波及効果を通じて、輸出収入の増加、生産性の向上、雇用創出に重要な役割を果たす。5G、ロボット工学、3Dプリンティング、仮想現実などのデジタル技術により、サービスは地理的な近さに伴う制約を受けずに、より取引しやすく、拡張可能で、均質なものとなった。パンデミックはまた、南アジアの新たなデジタルプラットフォーム経済を象徴する域内の電子商取引セクターを押し上げた。

新たなサービス経済は南アジアの発展を促進し得る。しかし、こうした機会を十分に生かすには、制度・規制環境の改革、発展を支えるデジタルインフラの整備、適切なリスキリング・スキルアップが欠かせない。これらのセクターで求められる技術スキルの質を高める、市場志向の研修プログラムが重要となる。

グリーンリカバリーは長期的な競争力を強化し得る

南アジア諸国にはもう一つ、独自の機会がある。パンデミック後の経済計画の中心にグリーンリカバリーを据え、より緑豊かで持続可能な都市を築くことだ。グリーンリカバリーを追求すれば、環境面で強靱な未来の実現に貢献しながら、南アジアの長期的な経済競争力を強化できる。また、グリーンリカバリーの計画は、南アジア諸国内および各国間の新たな協力や官民連携を促すこともできる。

先ごろ開催されたCOP26サミットは、気候変動対策の緊急性に世界の注目を集めた。世界経済の脱炭素化と気候変動の影響軽減に必要な変革の緊急性と規模について合意が広がる中、現在の目標を世界が達成するには、南アジアの役割と貢献が不可欠となる。

南アジア諸国は、教訓やベストプラクティスの共有、共同での能力構築、地域的な排出削減戦略など、グリーントランジションにおける国境を越えた協力の機会を数多く生かすことができる。すでに複数の地域経済が、気候変動の影響の緩和と適応を主導している。

  • インドは先ごろ、国家水素ミッションの設立を発表した。インドの意欲的な5項目からなる「パンチャムリット」誓約は、2070年までのネットゼロ達成を目指すもので、グラスゴーでの最も重要な発表の一つとなった。

  • バングラデシュは気候変動対策に向けた世界初の国別投資計画を開始し、沿岸地域の強靱性構築を主導してきた。

  • パキスタンは、大規模な植林プログラムと、「10億本の樹木津波」や保護地域イニシアチブなどの自然を活用した取り組みにより、気候変動を引き起こす炭素排出量を9%削減するという画期的な成果を達成した。2030年までに、再生可能エネルギーの割合を60%に、電気自動車の割合を30%に引き上げ、輸入石炭を全面的に禁止することを目指している。

  • ネパールは、国の適応計画策定を目的とする緑の気候基金(GCF)の助成金を共同で受け取る最初の国となった。同国の地域主体の森林管理プログラムは、森林破壊を40%削減することに貢献してきた。

  • ブータンは世界で初めてカーボンネガティブを達成した国だ。

これらの3カ国がカーボンネガティブ認証を受けた理由
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今後、各国は、環境に配慮し、包摂的で強靱な新型コロナウイルス感染症からの復興策を、国家開発計画に組み込む具体的な機会を探る必要がある。国が決定する貢献(NDC)の実施を支える長期的な政策変更、国および地方の開発戦略を導く適応策の主流化、民間セクターの参加拡大は、南アジアが強固なグリーンリカバリーの方針を定める助けとなる。

しかし、南アジアがグリーンリカバリーと成長の未来を追求するには、クリーンエネルギーへのアクセス、グリーンインフラとグリーンファイナンス、化石燃料補助金の改革と価格設定、リスクを考慮した都市計画、持続可能なインフラと交通システム、地域コミュニティの参加など、重要な改革が欠かせない。互いに協力し支え合うことで、南アジア諸国は気候変動対策に関する世界の進展を後押しすると同時に、自らのグリーントランジションに向けた新たな投資やパートナーシップを実現できる。

南アジアには、短期的な公衆衛生上の課題に対処するだけでなく、新たな世界秩序における重要な力と影響力の軸となる貴重な機会がある。世界経済フォーラムはこの地域と連携し、すべての人にとってより良く、明るく、持続可能な未来を備えた新たな世界秩序の輪郭を形作る支援をする。

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