世界のプラスチック生産量の半分は使い捨て用途向けであり、リサイクルのために回収されるプラスチック包装はわずか14%です。回収率が大幅に改善したとしても、それだけではプラスチックごみ危機を抑えるには不十分です。
リユースへの移行はまだ初期段階にありますが、使い捨てに代わる選択肢としてこれを推進しようとする官民の意欲は高まっています。リユースは、プラスチックごみのない世界を実現する鍵となるからです。
各国の政策は再利用可能な包装形態への移行を加速できますが、明確な目標と行動計画を策定するには、政府、企業、市民社会組織が協力しなければなりません。
廃棄物の大量発生は、地球、人々、経済に害を及ぼしています。現在、世界のプラスチック生産量の半分は使い捨て用途向けであり、リサイクルのために回収されるプラスチック包装はわずか14%です。リサイクル率が大幅に改善しても、プラスチックごみ危機を十分に抑えることはできません。消費財向けの再利用可能な包装は、何度も使えるように設計されており、プラスチックごみのない世界を実現する鍵となります。
消費におけるリユース型モデルへの体系的な移行を進めるべき理由は明白です。廃棄物削減の面では、プラスチック包装の10~20%を再利用すれば、海洋に流出する年間プラスチックごみの半分に相当する量を防ぐことができます。また、環境負荷の観点では、2050年までにプラスチック生産が世界のカーボンバジェットの最大13%を占める見込みです。リユースへの移行はまだ初期段階にありますが、使い捨てに代わる消費財向けの再利用可能な包装を推進しようとする官民の意欲は高まっています。
Future of Consumption Platformは、世界経済フォーラムにおいて、公平性があり、社会のウェルビーイングを促進し、地球を守る責任ある消費モデルを推進する一連の取り組みを促進しています。Consumers Beyond Wasteは主要な取り組みの一つであり、環境の持続可能性を重視した新たな消費パターンの形成を目指しています。同イニシアチブは、手頃で便利かつ持続可能な使い捨て代替策を提供するリユースモデルを消費者が利用できるようにする官民連携を推進し、そうした解決策の実証と拡大に取り組んできました。
ジョディ・ラッセル、ネスレ パッケージング&環境担当シニア・パブリック・アフェアーズ・マネージャー:「Consumers Beyond Wasteコミュニティの一員として、多様な関係者との協働を大切にしています。回収拠点、容器、デジタル標準、教育など、リユースシステムの主要な推進要因について考えを深めるには、多様な視点が欠かせません。」
リユースに関する政策と法整備の機運の高まり
各国の政策や法整備は、リユースシステムの加速を可能にするうえで大きな役割を果たせます。しかし、ほとんどの国でリユース政策はまだ初期段階にあり、政府の成熟度もさまざまです。多くの場合、政府はリユースを廃棄物削減戦略の不可欠な要素と認めているものの、具体的なリユース目標を設定していません。リユースに関する国の法律や政策を採用した国は少数にとどまります。
ここでは、欧州、南北アメリカ、アジア太平洋地域で最も先進的な政府に焦点を当てます。
フランスは、リユースに関する法整備において欧州で最も先進的な国です。2020年、同国はサーキュラーエコノミーへの移行を目指す包括的な廃棄物対策法を制定しました。一部の措置は世界初であり、G7加盟国であるフランスの立場を踏まえると、リユース政策の機運を高める可能性があります。特筆すべきは、この法律が2040年までに使い捨てプラスチック包装を段階的に廃止することを目指している点です。削減、リユース、リサイクルの目標は5年ごとに設定され、現行の政令では2025年までに使い捨てプラスチック包装を20%削減すると定めています。この半分はリユースによって達成する必要があり、リユースの目標は10%に相当します。
チリは、南北アメリカでリユースへの取り組みが最も進んでいます。チリ政府は2021年8月、飲食店による使い捨てプラスチック製品の提供を禁止する規制法案を提出しました。この法律は、小売業者に詰め替え可能なボトルの陳列、販売、回収を義務付け、飲料容器のリユースも促進しています。法整備に加え、チリは拡大生産者責任(EPR)などの金銭的インセンティブを活用し、リユースの普及を後押ししています。再利用可能な包装形態については、生産者はEPR費用を支払う必要がありません。
ブライアン・バウアー、Algramo サーキュラーエコノミー&アライアンス責任者(チリ):「公的政策は、プラスチックのバリューチェーン全体の主要な関係者が、リユースシステムの拡大に必要な投資を行えるようにする触媒として機能します。従来のリニア型包装システムは低コストで便利ですが、最終的には大量の廃棄物を生み、環境外部性を内部化できないことを忘れてはなりません。リユースモデルを拡大するには、フランスのようにスーパーマーケットに再利用可能な包装の商品販売を義務付ける政策や、リユースに金銭的な報奨を与えるEPR制度など、公的政策が必要です。」
オーストラリアは、アジア太平洋地域で独自の協働モデルを採用しています。オーストラリア包装協定機構(APCO)は非営利団体で、複数の政府レベルから支持を受けた、業界主導の包装目標の達成を担っています。オーストラリアの「2025年国家包装目標」は、使い捨てプラスチック包装を段階的に廃止し、2025年までにすべての包装を再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能にすることを目指しています。APCOは共同規制の役割を担い、政府や業界と連携して、循環型の包装設計、知見の共有、市場の拡大に取り組んでいます。
各国のリユースに関する法律や政策がまだ初期段階にあるなか、こうした先駆的な取り組みは、他国がリユース戦略を策定する際の参考となります。各政府にとって最適な政策介入は、リユース市場の成熟度によって異なります。政府が活用できる政策手段には、啓発キャンペーン、デポジット返還制度(DRS)やEPRなどのインセンティブ/ディスインセンティブ、法的拘束力のある目標を伴う規制や法律まで、さまざまなものがあります。
リユースシステムを拡大するための各国政策の今後
法整備と政策の初期段階における機運を高めるには、リユース・エコシステムを構成する4つの主要な担い手が必要です。すなわち、各国政府、自治体、非営利団体、企業です。
第一に、政府は互いに率直な対話を行い、各国のリユース政策の実施に関する重要な学びや知見を共有できます。公共部門のリーダーたちは似た課題に直面しています。知見を交換する共通の場があれば、最善の取り組みを広め、重複した取り組みを避け、同じ地理的地域にある国々の協力機会を生み出せます。
第二に、自治体や非営利団体が各国政府と連携し、リユース政策に取り組むことが重要です。都市は、各国の政策を地域または地方レベルで実施するうえで基本的な役割を担います。例えば、ReLondonは企業と協力してサプライチェーンの廃棄物を削減するとともに、家庭での使い捨てプラスチック消費に対処するための啓発活動を行っています。第三に、NGOはリユースシステムへの移行が急務であることを訴え続け、各国の政策形成を支援できます。
グラハム・フォーブス、グリーンピースUSA「Plastic Free Future」グローバル・プロジェクト・リード:「NGOとしての私たちの役割は、大手ブランドや政策立案者に働きかけ、詰め替えとリユースを大規模に進めるよう圧力をかけ続けることです。使い捨て包装のわずか20%を再利用可能な包装に置き換えるだけでも、事業機会として100億ドルの価値が生まれる可能性があります。環境面・社会面の影響を軽減できるだけでなく、雇用創出などの利点もあります。プラスチック危機と気候危機に対処するには、再利用可能な製品を支え、促進する経済をつくるため、システムを刷新する必要があります。」
最後に、各国政府は、民間部門に対し、長期的にどのような包装の変更や投資が必要かを示す明確な計画と目標を発表することが不可欠です。企業は、リユースの解決策に必要な仕組みをより深く理解するための実証の場となり、政策立案者を支援できます。リサイクルシステムで現在見られるような独自規格の乱立を防ぐには、インフラ標準について官民が連携することも必要です。
プラスチックごみのない世界に向けた動き
ほとんどの国で、リユースに関する政策や法整備はまだ初期段階にあります。現在、少数の国が国家リユース戦略を先駆けて進めており、他国政府のひな型となる可能性があります。公共部門の介入はサーキュラーエコノミーへの移行を大きく後押しします。Consumers Beyond Wasteイニシアチブは、各国政府による初期の機運を高めることに取り組んでいます。今リユースを取り入れる政策立案者は、プラスチックごみのない世界を目指す新たな世界的な動きの恩恵を最も受けやすい立場に立てるでしょう。
このテーマについてさらに詳しく知りたい方は、各国のリユース政策に関するこちらのブリーフィングペーパーをご覧ください。こちら。





