目的と実践:資本市場が持続可能な未来をいかに創造できるか

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  • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックから学ぶべき教訓があります。相互の信頼、協力、そして社会のレジリエンスへの投資が必要だということです。

  • こうした教訓を行動に移すには、力強いリーダーシップが必要です。

  • 資本市場は、世界がネットゼロ目標を達成するうえで極めて重要な役割を果たします。

ダボスで開催される世界経済フォーラムにはさまざまな意味がありますが、2年間にわたる新型コロナウイルス感染症による中断を経て、今年の会合には特別な意義があります。過去数年間に広範な混乱をもたらした後、世界が徐々に平常を取り戻しつつあることを示しているのです。

自由に移動し、私たちが望む個人的なつながりを築ける人が増えている一方で、私たちが今身を置く新しい世界は、パンデミック前の「平常」とは明らかに異なります。

今年の会合では、こうした変化を間違いなく取り上げるでしょう。そして、自分たちがどのように成長したのか、何を学んだのか、経験をどう生かせば、より良く持続可能な未来を築けるのかを問いかけます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックから得た3つの教訓

パンデミックから、私たちは主に3つの教訓を得ました。

1)相互の信頼は、個人、地域社会、企業、国、政府の間で、私たちが望む変化を実現するために不可欠です。

2)パンデミックや気候変動の始まりといった世界的課題への取り組みには、つながり、団結、パートナーシップ、協力、そして社会全体の取り組みが必要です。

3)社会や経済に求められるレジリエンスは、今行う投資と、今築く制度にかかっています。

団結と投資について言えば、COP26のような会合で世界が気候変動への取り組みの必要性を共有し、世界中の投資家がネットカーボン移行の資金調達に動く速さに、私は勇気づけられています。ESGファンドだけでも5,962億ドル増加しました(2021年)。

気候変動と闘うには、今も世界に抜本的な変革が必要であり、それを急がなければなりません。世界経済フォーラムの「2022年グローバル・リスク認識調査」によると、これまでの気候変動緩和策が効果を上げると考えるリスク管理の専門家は、世界全体でわずか2%です。

教訓を目的に結びつける

では、企業や組織として、学んだ教訓をどのようにさらに生かし、ステークホルダーをつなぎ、鼓舞し、私たちが望む進歩を促せるでしょうか。

それはリーダーシップから始まります。社会はリーダーに、信頼される模範となり、気候変動対策の速度を主導し定め、受け入れられるコーポレートガバナンスの基準を決定し、多様性から脱炭素化まで、実行可能な計画を策定することを期待しています。

信頼を築き、リーダーシップを発揮し、変革を促すには、明確な目的の表明が出発点となります。HKEXの目的は、すべての人々の繁栄のために、市場と市場が支える地域社会をつなぎ、促進し、発展させることです。

しかし、言葉だけでは不十分であり、世界は目的を実践に移すことを求めています。グラスゴー金融同盟(ネットゼロ)への参加は、その好例です。GFANZは、ネットゼロ経済への移行を加速するという共通の目的のもと、450の主要金融機関が結集した世界的な連合です。

ネットゼロを誓約し、低炭素でレジリエントな未来に向けた事業計画を策定し、それを実行します。こうすることで、次世代の持続可能性と繁栄を確かなものにすることを約束します。

私たちをはじめ、世界中の資本市場の運営者や規制当局は、その影響力と及ぶ範囲が非常に大きいからこそ、さらに前進できますし、そうしなければなりません。機会を創出するために、目的を実践に移す必要があります。

第一に、ESG分野の機会と資本を結びつける、持続可能な金融エコシステムを構築する必要があります。グリーンボンドなど、持続可能、グリーン、社会的な幅広い投資商品について、情報、アクセス、透明性を提供するプラットフォームを整備すれば、投資家と発行体をつなぐ有効な経路となります。これにより、ネットカーボン移行の資金調達に資本を振り向けることができます。

第二に、資本市場は、強力なESG情報開示を提唱し導入することで、ESGへの認識を高め、規制を強化し、責任あるコーポレートガバナンスの高い基準を促進する役割を担わなければなりません。また、進化するESG要件や、ESGの視点を事業戦略に組み込む方法について、発行体を教育するうえでも主導的な役割を果たせます。HKEXが新たに導入した規則は、2021年に発表された、取締役会を単一性別で構成することを終わらせるためのもので、規制当局がコーポレートガバナンスの高い基準を促進できることを示す好例です。

投資の世界で企業のESG実績への要求が高まるなか、資本市場の規制当局が情報開示に関して適用する基準は、グリーンウォッシングをなくし、投資家が投資目標に合うESGの機会を見極めるために必要な透明性を提供できます。それによって、ネットゼロ移行を進める資本を供給することも可能になります。

第三に、持続可能性を言葉だけでなく実践し、新たな考え方や業務の進め方を促すことで、規制当局や市場参加者である私たちは、ESG情報開示と報告の模範を示せます。職場でジェンダー、家族、LGBTQ+をめぐる多様性と包摂を促進すること、社内のウェルネス・ワークショップや社外活動を通じて従業員の健康を支えること、社会変革を促す意義ある慈善活動によって地域社会を活性化することなどが挙げられます。HKEX財団を通じた取り組みと幅広いCSR活動により、香港でこれらの分野を率いていることを誇りに思います。

資本市場とともに持続可能な未来を創る

私たちは、国、企業、個人の一人ひとりが気候変動の解決に貢献できると確信しています。また、この喫緊の課題において、資本市場が変革を促す重要な担い手となれると考えています。

国境を越える重要なインフラであり、つなぎ手であり、プラットフォームである資本市場には、模範を示す責任があります。企業や経済のより持続可能な慣行への移行に影響を与え、投資家がその変化に資金を提供できるよう備え、力を発揮できるよう支援する責任です。

明確な目的と実行可能な計画のもと、私たちは地域社会で引き続き重要な役割を果たし、世界の持続可能性への歩みを支えていくことを楽しみにしています。誰もが豊かに生きられる未来を、ともに創りましょう。

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