すべての人にとって持続可能な未来を企業が築く方法

Shipping containers are seen at a port in Lianyungang, Jiangsu province, China September 8, 2018. REUTERS/Stringer ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY. CHINA OUT. - RC1C716DC870
Global supply chains have been in the spotlight since lockdown closed borders.Image: REUTERS/Stringer
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  • テクノロジーは、サプライチェーンのカーボンフットプリント削減に役立つ。

  • 社会イノベーション分野のスタートアップを支援するうえで、民間セクターは極めて大きな役割を担っている。

  • 持続可能な事業・金融モデルとサプライチェーンは、市場ショックに耐えるための鍵となる。

新型コロナウイルスのパンデミックは、私たち全員にとって暗く困難な時期となった。物理的な移動や交流、商取引の速度が落ちるなか、地域社会も人々も企業も、経済的・社会的な打撃を受けている。

それでも私は、いま大きな好機のただ中にあり、永続的で前向きな影響をもたらす形で世界を再建できると考えている。なぜか。パンデミックによって、企業には良心があり、より大きな善のために行動する意思と能力があることが示されたからだ。

いまこそ、その流れをさらに進め、民間セクターが私たちの時代のもう一つの喫緊の課題、すなわち持続可能性を優先し、次世代のために地球を守る必要性に取り組めるようにしよう。

世界経済フォーラムのバーチャル開催となる持続可能な開発インパクト・サミットに集うにあたり、議題には都市のモビリティ、重工業の脱炭素化、航空・観光の未来など、話し合うべきことが数多くある。

すべての人にとって、より持続可能で包摂的な世界を実現するために、私たちは皆、より良いビジネス慣行に取り組まなければならない。特に、より持続可能なサプライチェーン、グリーンファイナンスへの一層の注力、社会イノベーションへの強い取り組みが求められる。

1. より持続可能なサプライチェーン

ロックダウンによって工場の操業が妨げられ、国境が閉鎖され、貨物を運べる旅客便が減少して以来、世界のサプライチェーンに注目が集まっている。

これにより、従来のあり方は大きく見直されつつある。実際、サプライチェーン担当の上級幹部60人を対象としたマッキンゼーの調査では、回答者の93%が、サプライチェーン全体のレジリエンスを高める計画だと判明した。

サプライチェーンの短縮、生産拠点の自国回帰や近隣国への移転、フィリピン、ハンガリー、コスタリカなど新たな製造拠点の台頭について、盛んに議論されてきた。

しかしここでは、テクノロジーがサプライチェーンのカーボンフットプリント削減に役立つ可能性に焦点を当てたい。マッキンゼーの調査では、回答者の85%がサプライチェーンにおけるデジタル技術の不足に苦慮しており、90%が社内のデジタル・サプライチェーン人材を増やす意向を示した。

この機会を活かし、供給の信頼性と安全性を高めるだけでなく、サプライチェーン再構築の中心に持続可能性を据えよう。

例えば海運業界では、ゼロエミッション燃料で航行する、商業的に採算の取れる外航船を見つける取り組みを加速させると同時に、船舶が燃料効率を最適化できる速度で航行できるよう、港湾のデジタル化を進めよう。

ブロックチェーンも、官僚的な手続きとCO2排出量の双方を減らし、効率向上に役立つ。私の地域での一例は、独立した2つのブロックチェーン・プラットフォームを接続し、香港を拠点とするBee Dee Industriesが、UAEのLandmark Group傘下の小売ブランドに貨物を送れるようにしたことだ。

これは、小売業界における将来のブロックチェーン活用型越境輸送のモデルとなり、取引時間を大幅に短縮すると期待されている。船舶をより有効に使えるため、環境への負荷が大きい貨物便を増やす必要性が減る点でも重要だ。

2. グリーンファイナンス慣行の強化

太陽光発電所から洪水対策まで、世界にはより持続可能なインフラの整備が必要だ。そのためには、グリーンファイナンスの発行に関する具体的な目標を定めなければならない。

気候変動の深刻な被害を最も受けているのは、世界で最も貧しい国々であることが多い。政府、民間セクター、NGOが連携してグリーンプロジェクトに資金を提供する、多国間のアプローチを採用する必要がある。

経済成長なしに持続可能な未来を築くことはできない。成長を促すには、保護主義や自己利益を追求する誘惑に抗い、より緊密な統合、規制緩和、商品の自由な移動に向けて取り組まなければならない。

同時に、民間セクターはグリーンファイナンスを促進するため、環境・社会・ガバナンス(ESG)指標の共通基準に合意すべきだ。炭素排出量について科学的根拠に基づく目標を導入するとともに、気候関連財務情報開示タスクフォースが策定中のガイドラインも採用すべきだと考える。

投資家、融資機関、保険会社などのステークホルダーが、個々の取り組みが気候に及ぼす影響について情報を得て透明性を確保できれば、資金の流れは汚染を引き起こすプロジェクトから離れ、地域社会、さらには世界全体にプラスの影響をもたらすプロジェクトへと向かう。

これらの指標が確立したら、持続可能性に関する報告を財務情報の更新に定例で組み込むべきだとも考えている。新型コロナウイルスのパンデミックで明らかになったように、企業の目的は利益の追求を超え、より良い世界づくりへの貢献へと広がった。財務実績にもこの現実を反映させるべきだ。

3. 社会イノベーションの推進

最後に、持続可能性とは、すべての人にとってより公正な世界をつくり、地域社会の公平性、アクセシビリティ、包摂性を高めることでもある。これがなければ、若者を疎外し、デジタル格差を深め、多くの人々を取り残すおそれがある。私たちが分断ではなく団結を目指すべきときに、さらなる溝を生みかねない。

社会イノベーション分野のスタートアップを支援すると同時に、誰もが必要なデジタルツールを利用できるようにするうえで、民間セクターは非常に大きな役割を担っていると考える。例えばマイクロソフトは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)下の経済で必要とされるデジタルスキルを、世界中の2,500万人が習得できるよう支援する取り組みを開始した。

しかし、ここで力になれるのはテクノロジー企業だけではない。私たちが専門知識を提供し、起業家を支援すれば、どこにいてもスタートアップのエコシステムを強化できる。私が注目した革新的なプロジェクトの一つが、リッター・オブ・ライトだ。この団体は、社会的に疎外されたコミュニティに再利用したプラスチックボトルで太陽光発電ランタンを作る方法を教え、電力へのアクセスが限られている、あるいはまったくない家庭、事業所、街路を照らしている。草の根の起業家を力づける取り組みの一例であり、その活動は現在、世界15カ国、35万3,000世帯に広がっている。

世界経済フォーラムにも、前向きな変化をもたらそうとするヤング・グローバル・リーダーズのネットワークがある。オープンデータの取り組みを通じた汚職の取り締まり、小規模農家間の知識共有、バイオマスを使ったグリーン合成燃料の製造、植物由来の代替タンパク質の開発など、多岐にわたるプロジェクトに取り組んでいる。確立された民間セクターは、より大きな変革をもたらすイノベーションを実現するため、こうした起業家を積極的に支援しなければならない。

共に前進する

COVID-19から得られる教訓は数多くあり、私たちの前には多くの課題が残されている。ビジネス界の多くの人々は、遅きに失したとはいえ、持続可能な事業・金融モデル、持続可能なサプライチェーン、ステークホルダー資本主義が市場ショックに耐える鍵であると学んだ。

こうした教訓を受け止め、社会における企業の役割を見直さなければ、次の危機が金融、健康、サイバー、その他のいずれであっても、私たちは同じ過ちを繰り返すだろう。

いまこそ力を合わせ、再建に向けたあらゆる取り組みの中心に持続可能性を据えよう。

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