気候変動を緩和するうえで、サプライチェーンの脱炭素化は最も大きな効果をもたらす対策の一つとなり得ます。
組織は、自社の事業活動とともにサプライチェーンの脱炭素化戦略を積極的に実行に移すべき時を迎えています。
取り組みを拡大し、サプライヤーとの連携を通じてサプライチェーンを脱炭素化する組織が実践できる6つのステップを紹介します。
多くの企業、NGO、政府は今、事業活動のカーボンニュートラル化に向けて、再生可能エネルギー由来の電力を購入し、屋上太陽光発電を追加し、エネルギー消費を削減するために高度な照明・暖房システムを導入し、残る排出量を相殺するのに十分なカーボンクレジットを購入したり、環境に配慮した取り組みに投資したりしています。しかし、気候変動の緩和に向けてできることはまだ数多くあり、その中でもサプライチェーンの脱炭素化は最も大きな効果をもたらす対策の一つです。
鉄鋼メーカーのようなエネルギー集約型の重工業企業でない限り、自社の事業活動による温室効果ガス排出量は、全体の排出量の一部にすぎない可能性が高いでしょう。
この不均衡に対処するため、組織は自社の事業活動とともにサプライチェーンの脱炭素化戦略を積極的に実行に移すべき時を迎えています。
サプライチェーンを脱炭素化する6つのステップ
取り組みを拡大し、サプライヤーとの連携を通じてサプライチェーンを脱炭素化する組織が実践できるステップは、次の6つです。
1. サプライヤーを CDP(環境影響評価に取り組む国際的な非営利団体)につなげる。 CDPは、サプライヤーの気候変動対策の成熟度に関する知見を提供し、組織が科学的根拠に基づく目標への取り組みに期待を設定し、その達成に向けた進捗を測定できるよう支援します。
2. データに基づくこうした知見を、優先サプライヤーの選定に活用する。 サプライヤーから排出量や気候変動対策の成熟度に関する検証済みデータを収集し、正確なデータに基づく知見を活用することで、買い手は気候変動対策の成熟度を基準にサプライヤーを選定できます。
3. サプライヤーの能力を積極的に高める。 CDP、SME Climate Hub、または持続可能な開発のための世界経済人会議などのパートナー組織の専門知識を活用し、サプライヤーが気候変動対策に対する企業としての取り組みを成熟させられるよう支援します。
4. 自分の目で確かめる。組織とそのサプライヤーは基本的に同じ業界で事業を営んでいるため、現地評価を行えば、脱炭素化の機会を比較的容易に特定できます。例えば、中国にあるサプライヤーの生産施設を訪問すれば、エネルギー効率を高める機会を容易に見つけ、費用対効果の高い排出削減につなげることができます。
5. サプライヤーにインセンティブを提供する。最低限、サプライヤーのブランド価値を高めるため、炭素排出削減を評価しましょう。さらに、気候変動対策に具体的に取り組むサプライヤーには、より有利な支払条件を提示できます。
6. 気候変動対策を提唱する。脱炭素化を、自社の業界やセクターだけでなく、業界全体、さらにはパートナーネットワークとともに「新たな標準」とするため、あらゆる取り組みを進めましょう。例えば、パートナーと連携して持続可能な公共調達の慣行を調和させ、そのプロセスを提唱できます。
サプライチェーンへの直接的な関与を超えて
バリューチェーンの環境負荷を低減するために、ほかにも大きな効果が期待できる検討事項が2つあります。
1. サプライヤーとバーチャル電力購入契約(VPPA)を締結する。再生可能エネルギーを購入するだけでなく、風力発電所や太陽光発電所などの新たな再生可能エネルギー事業への資金支援にも共同で取り組むことで、電力網の「グリーン化」を後押しします。
2. サーキュラーエコノミーを推進し、サプライヤーにも同様の取り組みを促す。これは、今日の持続不可能な天然資源採取のペースを抑える有効な戦略であるだけでなく、製品のライフタイムバリューを最大化し、企業の収益改善にもつながります。米国とオランダでは、フィリップスが今、製品を回収するという約束を果たし、医療機器を修理・再生および/または再製造するとともに、部品や素材を再利用して新たな価値を生み出しています。
サプライチェーンの脱炭素化を必須要件にする
最後にもう一つ。どのサプライヤーにも独自のサプライチェーンがあり、そこでは大きな波及効果が生じる可能性があります。サプライヤーに対し、自らのサプライチェーンの脱炭素化にも同じ基本原則を採用するよう促せば、その波及効果の大きさは容易に想像できるでしょう。
大胆に取り組み、目標を設定し、進捗を推進して報告し、連携して、サプライチェーンの持続可能性が企業の成功に欠かせない条件となるようにしましょう。
アントニオ・グテーレス国連事務総長が、最新のIPCC第1作業部会の気候変動報告書を人類にとっての「コード・レッド」と適切に表現したように、サプライチェーンの脱炭素化はもはや任意ではありません。必須です。





