仕事と生活の未来に必要なスキルを持つ若者は、わずか4人に1人です。
インフラや訓練の不足に対処する取り組みが進む一方で、若者は今すぐ役立つスキルを身につけるため、すでに行動を起こしています。
官民セクターは若者と協力し、スキルを身につける支援をするとともに、機会につなげる必要があります。
仕事の世界は急速に変化し、新たな可能性を開く一方、史上最大の若者人口に新たな課題をもたらしています。デジタル化やネットゼロへの取り組みといった潮流は、数百万の雇用を生み出すと見込まれていますが、若者の4人に3人は、仕事と生活の未来に必要なスキルを持っていません。
十分なインフラと訓練が欠けているうえに、COVID-19が学習に及ぼした影響も重なり、労働市場への参入を控える若者は選択肢が分からず、新たに生まれる機会を得るためのスキルも不足しています。知識と人材の格差は、既存の不平等を拡大させ、グリーン移行を遅らせるおそれがあります。
政府と企業は、構造的な格差を埋めるだけでなく、若者がエネルギーを注いで機会につなげるために踏み出す、次の4つの具体的な行動も支援しなければなりません。
1. キャリアの選択肢を見つける
生計を立てられるか分からず、不安を感じるのは当然です。まずは、需要が見込まれる業界や職種を理解することから始めるとよいでしょう。機会につながるスキル習得の道筋を描けるようになります。
例えば、レーザー物理学を学ぶ学生、テムビシレ・マベレさんは、キャリアの方向を変えました。ユニセフが支援するアフリカのGirls Fly Programme(GFPA)が運営するスキル習得プログラムを修了した後、ドローン操縦士になりました。型にはまらない 道を選んでもよいのだと、自信を得たのです。
世界経済フォーラムの報告書「Future of Jobs(仕事の未来)」や国際労働機関(ILO)の報告書「Global Employment Trends for Youth(若者の雇用に関する世界動向)」は、仕事の未来を知る手がかりとなります。LinkedInのインタラクティブツール「Career Explorer」と「Future of Skills」を使えば、関心のあるスキルやキャリアの道筋を探し、候補を絞ることができます。
企業は、従業員が若者を指導する時間を確保し、公開フォーラムでキャリアの歩みを共有し、学校や地域センターが主催する就職フェアに資金を提供することで支援できます。
2. スキルを身につける
教育機関は、変化する世界に追いつくのに苦労しています。だからといって、若者が意欲を失う必要はありません。自らの実体験は、機会を切り開くために生かせる強みであり、財産です。
ボランティア活動は、若者がコミュニケーション、チームワーク、批判的思考、問題解決を学ぶ機会であり、同時に社会関係資本やレジリエンス、市民としての責任感を育む場でもあります。フォーラムが挙げる「明日のトップ10スキル」のうち、9つにボランティア活動が役立つのも当然です。フィリピン出身のダニエルさんは、COVID-19の流行中に若者向けウェルネス相談窓口でボランティアをすることを決めるまで、孤立を感じていました。この経験で自信がつき、現在はその活動のファシリテーターを務め、ソーシャルメディアでも支援を呼びかけています。

インターンシップや徒弟制度は、職種に特化したスキルを身につけ、研修中に収入を得られる可能性もある方法です。バングラデシュ出身のディパリさんは携帯電話の修理技術者で、地域のほかの少女たちのロールモデルです。従来とは異なる学習から就労につなげるプログラムを通じて、携帯電話の修理方法を学びました。
無料で認定を受けられるスキル習得教材は、若者の将来性を高めるのに役立ちます。グリーン分野などの新興セクターでは、国連をはじめとする組織が無料または助成価格の教材を提供しています。
デジタル分野の若者向けマーケットプレイス「Yoma」は、例えば、新しいスキルを学ぶ機会や社会貢献活動へのインセンティブを提供し、利用者の実績を検証済みのデジタル履歴書にまとめます。ケニアのYoma利用者ティモシーさんは、この履歴書が採用内定を得る決め手になったと語っています。
若者がスキル習得の機会を公平に得られていないことを認識する必要があります。キガリで開催されたITU Generation Connect Global Youth Summitの仕事の未来に関するセッションでは、多様な状況にある若者がデジタル経済に参加できるよう後押しするには、質の高いスキル訓練と、デジタル格差の解消を目指すOne Laptop per Childのような草の根の取り組みの両方が必要だという議論が交わされました。
企業と政府は連携し、従来とは異なる学習環境にいる若者の参入障壁を下げる必要があります。そのために、職種に特化した訓練教材へのアクセスを提供し、有給のインターンシップや徒弟制度を設け、デジタルスキルの認定基準を統一することが求められます。
これにより、包摂的な労働力の構築につながります。LinkedInの推計によると、スキルを重視するアプローチにより、Z世代の求職者候補の母集団は10倍以上に拡大します。
3. 解決策を提案し、規模を拡大する
若者は、自分たちに責任のない環境危機や社会経済危機に直面しています。それでも多くの若者が、地球や国、地域社会の健全な暮らしを守るため、ボランティア、提唱者、起業家として行動を起こしています。
若者が繰り返し訴えるのは、自分たちの問題を語るだけでなく、行動につながる解決策へと進むことです。日常の問題に対する革新的な解決策を提案し、実行することは、世界の役に立つだけでなく、批判的に考え、計画し、意思疎通し、人脈を築く力などを長く養います。
エジプトのチームSoigelは、若者向けイノベーションプログラムを通じて起業について学びました。このプログラムは、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する解決策に対し、シード資金とメンタリング支援を提供しています。チームは現在、作物の生産性を高め、水の消費を減らすため、サトウキビ廃棄物を再利用して作った有機肥料とゲルを販売しています。
政府や組織は、若者の起業スキルを育む機会に投資することで、取り組みの規模と効果を高められます。そうしたスキルには、社会変革、経済成長、より持続可能な未来を促す可能性があります。
4. ほかの若者に次の一歩を促す
若い変革者が仲間と知見を共有すると、より良い未来を形づくる力を持つ世代が育ちます。
講座やボランティアの機会について、似た状況にいる人から勧められると、より信頼感が高まります。プラシャンサさんは、インドのPassport to Earningのタスクフォースメンバーです。この取り組みは、需要が高く、就職に直結するスキルを無料で若者に教え、認定するものです。彼女の働きかけで300人を超える学生がデジタル生産性講座に登録しました。16歳の彼女は、トラブル対応用のWhatsAppグループや動画チュートリアルまで作成しました。
多くの若いリーダーが、政府や企業の意思決定に自分たちや自らの関心が反映されていないと感じていることは懸念されます。若者諮問グループを設置したり、リバースメンタリングを導入したりすれば、意思決定をより若者中心にできます。フォーラムのGlobal Shapersや、Generation Unlimited Young People's Action Team(YPAT)は、若者が意思決定の場に参加できるよう設けられた取り組みの例です。
最終的には、企業と政府が協力して、需要の高いスキルや機会を特定し、伝える必要があります。そうすれば若者は、具体的な成果につながるよう力を注げます。Transforming Education SummitやWEF Growth Summitなどのイベントは、機会の創出と、将来の熟練人材の育成に向けた多部門の投資を推進する場です。





