医療技術業界が占めるのは、現在の半導体総供給量のわずか1%です。
医療システムがパンデミックによる患者の受診待ちに対応するなか、こうした半導体の需要は2021年から2028年にかけて倍増すると見込まれています。
欧州委員会は、半導体不足に対処し、医療分野への供給を優先するよう加盟国に勧告しました。
世界的な深刻な半導体不足は、救命医療機器やシステムの製造を混乱させる恐れがあります。この不足に対処するための緊急措置を怠れば、世界中の患者に影響が及びます。
半導体は、現代技術を動かす「頭脳」とも呼ばれます。この小さな部品は、胎児の発育を調べる超音波診断装置、突然の心停止に対応する除細動器、集中治療室(ICU)で患者のバイタルサインを評価する患者モニターなど、重要な医療機器やシステムに欠かせません。ICUでは患者の状態が急変することがあるため、リアルタイムデータを利用できれば、医療チームは状態悪化の兆候を見逃さずに済みます。医療技術業界の半導体供給問題に対処しなければ、こうした機器をはじめ、多くの機器が深刻な供給不足に陥る可能性があります。

医療のデジタル変革
半導体不足は、人口の高齢化や慢性疾患の増加などを背景に、医療提供者への負担が増すなかで起きています。さらに、患者数が増加する一方で、医療従事者の不足も深刻化しています。長い待ち時間や、業務量の管理に苦慮する職員への影響など、この負担を多くの人が経験しています。医療のデジタル変革は、負担を軽減し、患者、介護者、地域社会全体に役立つ医療システムの改善と強化を通じて、さまざまな課題への対処に貢献できます。しかし、それは半導体を必要とする技術やシステムに大きく依存しています。したがって、半導体不足によってこの変革が頓挫する事態を避けなければなりません。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、医療が抱える多くの問題を明らかにし、さらに深刻化させました。同時に、新たな技術がより効率的で効果的な医療提供の形成に役立つことも示しました。たとえば、バーチャルケアやスマート技術の進歩により、医療チームは病院の外でも患者をモニタリングし、治療できるようになっています。こうした技術の発展は、在宅ケアと予防により重点を置き、診断の精度を高め、治療を個別化し、予測に基づいて行う医療の未来を形作る助けとなります。誰もが必要な治療を必要なときに、必要な場所で受けられるようにし、医療提供者が増え続ける事務作業ではなく患者のケアに集中できるようにしたいと考えています。これこそ、新たな技術やシステムがもたらす可能性です。
医療技術業界への供給を優先
フィリップスは主要な半導体メーカーと継続的に協議し、需要に応えるための取り組みを進めるとともに、政府などと連携してきました。医療技術業界も、半導体をより多く確保するため、手をこまねいていたわけではありません。しかし、供給を継続させるために相当な努力を重ねているにもかかわらず、課題は深刻さを増すばかりです。場合によっては、納期が52週間を超えるまでに延びています。
一方で、パンデミックのために遅れたり延期されたりしていた、必要不可欠な医療を求める人が増えています。多くの医療システムが膨大な受診待ちに対応するには何年もかかる可能性があり、その対応を優先すれば、新たな医療機器、ひいては半導体の需要がさらに高まります。加えて、世界の半導体需要の伸びは、2021年から2028年にかけてほぼ倍増すると予測されており、多くの業界で深刻な半導体不足を招いています。
残念ながら、医療技術業界は、自動車、産業、消費者向けの各業界と、限られた重要半導体の供給を奪い合っています。総供給量のわずか1%を占めるにすぎない医療技術業界では、これらの半導体が緊急に必要です。そのため、業界が今日の医療機器製造需要を満たせる水準まで、半導体の割り当てを優先するよう求めます。

半導体不足への対応
救命医療機器やシステム向けの半導体を持続可能な形で確保し、医療提供の改善を続けるため、今すぐ行動を起こす必要があります。フィリップスは医療技術業界全体と緊密に連携し、市場供給の透明性を高めるとともに、今すぐ半導体を確保する必要性を訴えています。さらに、医療技術業界の団体は、半導体の安定供給を確保する長期的な解決策を見いだすため、議員、政府当局、業界全体と協力しています。
半導体不足が極めて重大であることを踏まえ、欧州委員会は加盟国に対し、直ちに不足に対処し、医療などの重要分野を優先するよう半導体メーカーに働きかけることを勧告しました。米国政府も、半導体不足が患者に及ぼす影響を認識し、医療技術分野を優先することについて業界と対話しています。
深刻な半導体不足を受け、半導体メーカーと供給業者に対し、重要な医療機器向けの半導体割り当てを優先するよう強く求めます。世界中の人々の健康と幸福を支えるうえで不可欠な業界に、現在も、そして今後何年にもわたり、より多くの半導体を供給できるようにすることが目標でなければなりません。

