ロシアによるウクライナ侵攻の影響は、世界中に広がっています。
世界経済フォーラムの2023年次総会のテーマは「分断された世界における協力」でした。
50人近くの国家元首や政府首脳が、ビジネスおよび社会のリーダーとともに一堂に会し、最も差し迫った問題の解決策について話し合いました。
今年の冬で、ロシアがウクライナに無謀な侵略行為を行ってから1年が経ちます。
この戦争では少なくとも数万人が死亡し、ほぼ800万人の難民がヨーロッパ全土への避難を余儀なくされており、世界各地で危機を悪化させています。エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱、金融市場の動揺、気候危機の深刻化などがその影響として挙げられますが、これらに限られるものではありません。
地政学的影響は多岐にわたり、最も脆弱な人々に深刻な影響を及ぼしています。例えばソマリアは、干ばつと世界的な食料危機により飢饉の瀬戸際にあります。同国は、ロシアとウクライナからの小麦供給量の90%の輸入に大きく依存しており、現在は国際救済委員会の危機監視リストにおいて、史上初めて首位に立っています。
世界経済フォーラムの『グローバル・リスク報告書2023』では、次のように指摘されています。「この10年の初頭の数年間は、人類史において特に混乱の大きい時期の到来を告げるものとなった。」
「COVID-19パンデミック後の『新たな常態』への回帰は、ウクライナでの戦争勃発によって速やかに混乱に陥り、食料とエネルギーの分野で新たな一連の危機を招いた。これは、数十年にわたる進歩によって解決が目指されてきた問題を引き起こすものだ」と、報告書は付け加えています。
2023年次総会における地政学
世界経済を結びつけてきた絆は、近年ほころびを見せています。グローバル化は終焉を迎えたのでしょうか、それとも再興が見込まれているのでしょうか。
制裁措置からテクノロジーの供給ショックに至るまで、ビジネスリーダーは地政学的な分断が深まる世界にどのように適応できるでしょうか。
民主主義への圧力が高まるなか、リーダーは民主的な制度を強化するために今日何ができるでしょうか。
一歩引いて考えてみましょう。私たちは何を変える必要があるのでしょうか。新たな連携はどのような形である必要があるのでしょうか。ツールキットはどのようなものである必要があるのでしょうか。
サマンサ・パワー、USAID長官
戦争の開始から約1年が経ち、ウクライナはロシアに対する自衛能力において、あらゆる予想を上回ってきました。紛争の見通しと、ウクライナの戦後復興の展望はどうなっているのでしょうか。
エネルギーから食料、人道支援に至るまで、地政学的・地経学的な分断の強い潮流にもかかわらず、緊急を要する地球規模の課題において具体的な前進の機会はどこにあるのでしょうか。
ウクライナ戦争の多面的な影響に取り組むなか、欧州が今後1年間にとるべき政策の道筋と対処すべき脆弱性の所在は何でしょうか。
ウクライナ戦争を一日でも早く終結させるため、ウクライナへの支援をさらに強化し、武器、人道支援、財政支援を増やす必要があります。
サンナ・マリン、フィンランド首相
2月以降、ウクライナでの紛争が見出しを独占してきましたが、世界中で数百万人に影響を及ぼし、国際社会の関心と行動に値するその他の危機や懸念すべき動向が数多く存在しています。国際救済委員会のデイビッド・ミリバンド会長とともに、不平等の拡大、債務の悪化、迫り来る飢饉が2023年に経済と社会にどのような影響を与えるか、また、国際社会が最悪の結果を防ぐためにどのような行動をとらなければならないかについて議論します。
世界経済フォーラム創設者兼執行会長のクラウス・シュワブ氏、同フォーラム会長のボルゲ・ブレンデ氏が、国連事務総長アントニオ・グテーレス氏とともに登壇します。
私が「大分断」と呼んできたものに直面するリスクがあります。世界の二大経済大国のデカップリングです。
アントニオ・グテーレス、国連事務総長
ウクライナでの戦争は、脆弱な地政学的・安全保障環境をさらに悪化させています。欧州だけでなく世界全体の平和と安全を回復するためには、大胆なリーダーシップが求められています。深刻な課題に直面する今、リーダーは集団安全保障を守るために、どのように協調し協力できるでしょうか。
現在の最優先事項は、ウクライナを支援することです。ウクライナが戦争に勝利することを確実にするためです。
イェンス・ストルテンベルグ、NATO事務総長
現在の地政学が流動的ななか、主要国はどのようにして不安定化への流れを食い止め、安全保障に関する対話と調整のための新たな合意を結ぶことができるでしょうか。
地政学は国内政治を大きく反映しています。
ビラワル・ブット・ザルダリ、パキスタン連邦外務大臣
分断された世界における協力
スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム2023年次総会では、世界各地から集まった50人近くの国家元首や政府首脳が、ビジネスおよび社会のリーダーとともに「分断された世界における協力」をテーマに会合しました。特別演説には、フィンランドのサンナ・マリン首相、韓国のユン・ソギョル大統領、国連のアントニオ・グテーレス事務総長などのリーダーが登壇しました。
サミットは協力の必要性が大きく高まるなかで開催され、『グローバル・リスク報告書2023』が説明するように、生計費の危機、気候危機、政治的不安定性によって特徴づけられる「ポリクライシス」が、開発と成長において苦労して得た成果を覆す恐れがあります。
「世界のレベルでも国家のレベルでも、政治、経済、社会の多様な力が分断を強めています」と、世界経済フォーラム創設者兼執行会長のクラウス・シュワブ氏は述べました。「この信頼の侵食の根本原因に対処するには、政府と企業部門の協力を強化し、強固で持続的な回復の条件を整える必要があります。」
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『グローバル・リスク報告書2023』は1月11日に発表されました。ダボスで世界の指導者が「ポリクライシス」の乗り切り方を話し合うわずか数日前のことです。記者会見はこちらからご覧いただけます。または、組織がどう対応すべきかを論じた、こちらのブログをお読みいただけます。
フォーラム各地の専門家は本報告書を受けて、テクノロジー、循環経済のイノベーション、資源とエネルギー、気候変動への適応と緩和、サイバーセキュリティ、保健分野が、どのようにパラダイムを転換しうるかについての知見を共有しました。これにより、防御を強化し、2023年における成長と回復力のために状況を好転させる一助となります。






