10年後には、仕事の50%が自動化によって変化する一方、なくなるのはわずか5%にとどまる。
10の仕事のうち9つでデジタルスキルが必要になる。
若者や低スキルの人々、脆弱な立場にある人々には、スキル向上の支援が必要だ。
今後10年間で、世界中の従業員12億人が、自動化技術やAIの導入による影響を受ける。これは世界経済の50%に相当し、賃金総額にして14.6兆米ドルに影響を及ぼす。このデジタル変革の規模は、脆弱な立場にある人々やスキルの低い人々に不均衡な影響を与えると予測されているだけに、懸念を招くかもしれない。しかし実際には、自動化は労働者を職場から追い出すというより、仕事の性質を変える。したがって、持続可能でより公平な未来の働き方を築くには、自動化がもたらす課題を理解し、対処する必要がある。
仕事の未来
自動化によって仕事の50%が変化する一方、なくなるのは5%を超えないと予測されている点に留意することが重要だ。大半の労働者はコンピューターに置き換えられるのではなく、急速に進化する機械とともに働くことになる。仕事の未来では、事務支援職や機械操縦者など、スキルをあまり必要としない職業の需要が減り、コンピューターエンジニアや情報通信技術(ICT)専門家などの技術職へと需要が移っていく。
こうした仕事に就く、あるいは現在の職務の変化に対応するため、労働者は新たなスキルを身につける必要がある。しかし、自動化への懸念があるにもかかわらず、企業幹部は従業員に必要なスキルを十分に習得させる準備を進めていない。企業幹部の45%が自動化の取り組みについて発信し、状況への認識を示している一方、スキル向上の取り組みについて発信しているのはわずか15%だ。
スキル向上へのこうした関心の低さは、労働者と仕事の間に差し迫った不均衡をもたらす。将来的には10の仕事のうち9つでデジタルスキルが必要になるが、現在、16~74歳の欧州人の44%は基本的なデジタル能力さえ持っていない。欧州では、差し迫るスキル不足により、2025年までにICT専門職の求人が167万件埋まらないと見込まれる。こうした将来の仕事は、自動化革命が必ずしも雇用の喪失を意味するわけではないことを示している。むしろ、対象を絞ったスキル向上の機会であり、行動を促す呼びかけでもある。
格差の拡大
スキル向上の機会が不足すると、すでに脆弱な立場にあり、まもなく完全自動化される低スキルの仕事に多く従事する人々が、とりわけ大きな影響を受ける。この必要性に対処しなければ、格差が拡大する未来へ向かうことになる。
例えば、欧州の従業員の65%を女性が占める一方、女性は欧州のICT労働力のわずか17%にすぎない。世界経済フォーラムの報告書は、2026年までに、技術によって失われる予定の仕事の57%は女性が担っていた仕事になると推計している。社会経済的地位の低い労働者も、同様に仕事の自動化に対して脆弱だ。学校での調査によると、社会経済的に恵まれない背景を持つ人々は、ICTの利用やデジタル能力がより低い。
若者も自動化による変化の影響を受けやすい集団であり、特に農村部や社会経済的地位の低い背景を持つ若者がそうだ。現在、若者は世界人口の17%を占める一方、世界の失業者の40%を占めている。これは主に、データ管理やデスクトップパブリッシングなどの仕事に関わるICTスキルと、メッセージのやり取りや娯楽目的でのインターネット利用など、若者に一般的に結び付けられるデジタルリテラシーの違いによるものかもしれない。実際、2019年のユニセフの調査では、ラオス人民民主共和国の15~24歳の若者のうち、最も裕福な五分位層でICTスキルを使っていると回答したのは34%にとどまった。この割合は、下位60%の若者では4%未満に下がる。
新興国や発展途上国では、インターネットへのアクセス率が低いため、デジタルスキルの格差がさらに広がる。例えば、2013年のピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国では成人の84%がインターネットを利用しているのに対し、パキスタンでは8%、ガーナでは26%にとどまった。この地域間格差は先進国にも影響を及ぼし、発展途上国からの難民や移民は特に脆弱な立場にある。ドイツでは、シリア難民のうち学校修了資格を持つ人はわずか45%で、大学の学位を持つ人はわずか23%にとどまる。スキルや学歴の面でドイツ人に後れを取る難民は、社会的上昇が難しく、熟練労働者として採用されるのはわずか8%だ。現在ドイツで仕事を探しているシリア難民は50万人いるが、その圧倒的多数にあたる75%は、5年後も失業したままと予測されている。
こうした人々は皆、欧州の未来の経済を支え、その需要を満たすために必要なICTスキルを習得できる労働者だ。しかし、脆弱な立場にある人々が利用でき、そうした人々を対象とするスキル向上の機会がなければ、自動化の進展によって今後数年間の失業はさらに深刻化するだけだ。

行動を起こすとき
低スキル労働者向けのスキル向上が現在十分でないにもかかわらず、多くの公的機関や非営利団体がこの課題に積極的に取り組んでいる。
成功例の一つが、グラン・エコール・デュ・ニュメリックだ。これはフランス経済・財務省が設立した、複数の関係者が参加する取り組みである。このプログラムは、包摂性と多様性の基準を満たすICTスキル研修に認定ラベルを付与し、認定を受けた研修はグラン・エコールから助成金を受け、費用の最大80%を賄うことができる。こうしたデジタルスキル向上プログラムの中には、難民や移民に焦点を当てる非営利団体Konexioのように、脆弱な立場にある人々を直接対象とするものもある。
仕事における自動化とAIの役割拡大に対処するには、行動が必要だ。脆弱な立場にある人々を対象とする既存のスキル向上の取り組みを拡大し、支援する必要がある。また、企業幹部や民間部門の関与を強めることも同様に必要だ。自動化とAIがもたらす変化を懸念する必要はない。むしろ、スキル向上を拡大し、対象を絞ることで、低スキル労働者の力を引き出し、より包摂的な仕事の未来を築く機会にできる。
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