デジタル・レジリエンス:サイバーセキュリティを基盤に未来の経済を築く

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  • 生産性を高め、成長を促し、組織が主要なステークホルダーとつながる方法を再構築する、かつてないデジタルイノベーションの加速を私たちは目の当たりにしてきました。

  • この変革の中核にあるのがデジタル・レジリエンスです。これにより企業は迅速に方向転換し、流動的な状況に適応し、事業継続性を途切れなく維持しながら、機会を生かすことができます。

  • サイバー脅威への対処とデジタル・レジリエンスに向けた機運が高まるなか、G7各国はサイバーリスクの予防と軽減に向け、専門知識を共有することで正式に合意しました。

COVID-19による混乱を背景に世界各地で進行中の劇的なデジタル変革は、技術革新の急増を促し、世界市場全体で経済成長の機会を生み出しています。パンデミックのさなかに起きた隔離措置やロックダウン、サプライチェーンの問題、リモートワークへの移行が相まって、企業と消費者の関係を大きく変え、経済を再形成しました。

社会が大きく揺らぐなか、パンデミックは予想外の恩恵ももたらしました。従来型の危機対応から大きく転換し、急速な変化に企業が歩調を合わせるのを助ける先進技術への依存が新たに高まったのです。この2年間、生産性を高め、成長を促し、組織が主要なステークホルダーとつながる方法を再構築する、かつてないデジタルイノベーションの加速を私たちは目の当たりにしてきました。

デジタル・レジリエンスの構築

この変革の中核にあるのが、デジタル・レジリエンス、すなわち「新たな常態」です。レジリエンスを備えた組織は、エンドツーエンドのテクノロジー主導型戦略を活用し、競争力を重視しながら破壊的な事象に迅速に対応します。デジタル・レジリエンスは、俊敏性を通じて経済的優位性を生み出し、企業が迅速に方向転換し、流動的な状況に適応し、事業継続性を途切れなく維持し、市場機会を生かせるようにします。

地域の職場から世界市場に至るまで、デジタル・レジリエンスは市場での成果を高め、不確実な時期にも経済成長を促します。世界的なパンデミックであれ、インフレの進行であれ、未来への投資が引き続き実を結ぶことをリーダーたちは実感しています。テクノロジーは、リーダーがリスクを管理し、新たな機会をつかむ力をもたらします。顧客の需要に応える能力を高め、効果的な経営判断に役立つ詳細なデータ分析も可能にします。

デジタル・レジリエンス:新たな好機の到来

パンデミックを通じて、レジリエンスを備えた産業はデジタル変革への投資を継続的に拡大し、新たなソリューションを取り入れて、ほぼ一夜にして方向転換してきました。

新たなリスクや変化し続けるリスクがあるなか、リーダーにはデジタル変革の未来を形づくる好機が訪れています。今こそ、早い段階から参画し、社会全体の移行の枠組みを構築するために必要なスキル、戦略、ソリューションを整える時です。官民のリーダーは協力して、経済成長と世界的なイノベーションに貢献する、レジリエンス強化に向けた実践的なロードマップを策定できます。

サイバー脅威に対抗する世界的な連携の構築

すでに世界各国の政府は、市民のための国際協力へのコミットメントを示し、デジタル・レジリエンスの構築に取り組んでいます。サイバーリスクの差し迫った拡大、悪意あるサイバー活動、ランサムウェア攻撃が、議論の中心となっています。

世界経済フォーラムは、最近発表した「グローバルリスク報告書」で警鐘を鳴らし、世界のリーダーたちがサイバーリスクを主要なデジタル課題として特定したと指摘しています。回答者の64%は、今後1年以内に業務を混乱させる事象を経験すると予想しています。回答者のほぼ5人に1人(19.5%)は、今後わずか2年以内にサイバーセキュリティの不備が世界にとって重大な脅威になると考え、14.6%は2~5年以内に重大な脅威になると予測しています。

サイバー脅威への対処とデジタル・レジリエンスに向けた機運が高まるなか、G7各国はサイバーリスクの予防と軽減に向け、専門知識を共有することで正式に合意しました。これは、急速な変革を進める世界各地の企業を保護するうえで重要な一歩です。G7コミュニケにおいて、G7財務大臣・中央銀行総裁は、世界の金融セクターがレジリエンスを保ち、サイバー攻撃の脅威から十分に保護されるよう、優先課題に取り組むことで合意しました。

信頼構築に向けたイノベーション、レジリエンス、防御の均衡

安全で安心なデジタル変革に向けた世界的な機運が高まるなか、経済の回復と成長には、3つの柱から成るアプローチを通じて人々の信頼を得ることが欠かせません。イノベーション、デジタル・レジリエンス、そして強固なデジタル防御の確保を両立させることが、世界中の人々や企業の信頼を獲得し、維持するうえで極めて重要です。

信頼の強固な枠組みを築くため、私たちは協力しなければなりません。そのために何より優先すべきなのが、重要データの保護です。そして近年、消費・送信されるデータの膨大な量は、決して小さな課題ではありません。

グローバル・データ保護インデックス

国際的な組織が管理するデータ量は、平均で5年前の10倍に増えていると、世界のIT意思決定者を対象としたデル・テクノロジーズ「2021年グローバル・データ保護インデックス」調査は報告しています。私たちの調査によると、調査対象企業の44%は、この1年ほどの間にサイバー攻撃やデータ損失が増加したと回答し、67%超は、サイバー攻撃が発生した場合に事業上重要なすべてのデータを復旧できるか確信が持てないと答えました。顧客の82%は、現在使用しているデータ保護製品では将来の事業課題に対応するのに不十分だと考えています。

サイバー攻撃の脅威が組織に迫る一方、デジタル・レジリエンスに自信を持つ組織はごくわずかです。Image: 世界のIT意思決定者を対象としたデル・テクノロジーズ「2021年グローバル・データ保護インデックス」調査

今こそ、政府と企業のリーダーが協力してデジタル・レジリエンスを高め、すべての人々の利益のためにデータの力を解き放つ時です。

連携の実例

例えば、欧州の医療分野では、技術革新の追求から欧州ヘルスデータスペース規則が生まれました。EHDSは、医療データの単一市場を確立する欧州の成功に向けた枠組みを定めています。これにより、自身の健康データへのアクセスを容易にし、そのプライバシーをより適切に管理したいと考える人々を支援します。

欧州連合もまた、イノベーション競争に名乗りを上げ、「デジタルの10年」に向けたビジョンを発表しました。EUは、技術革命における格差に対処し、企業変革、安全なデジタルインフラ、公共サービスのデジタル化、サイバー分野のスキル向上を進める目標期限を2030年に設定しました。世界の他の国や地域も同様のアプローチを取り、デジタルとサイバーのレジリエンスを経済計画の中核に据えています。

デジタル・レジリエンス、新技術、サイバー分野のスキルがもたらす経済機会

デジタル・レジリエンスへの道を進むことは、官民の組織を潜在的な危機に備えさせるだけでなく、経済成長も生み出します。経済を後押しする重要なイノベーションの一つが、人工知能(AI)、機械学習、モノのインターネット(IoT)などの新興技術の導入です。こうした先進技術は、新たな効率性をもたらし、データに基づく意思決定を加速させ、世界のデジタル経済における信頼を維持しながら、これまで以上の速さで新製品やサービスを市場に投入する助けとなります。

サイバーセキュリティに関して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っていますか?

サイバーセキュリティ・センターは、リーダーたちが一堂に会し、進化するサイバーリスクとそのシステム全体への影響を理解するための、信頼できるプラットフォームを提供しています。相互接続が進むデジタル世界において、理解と信頼の構築に取り組んでいます。

分野横断的な協力と知見の共有を促すことで、同センターはパートナーによるサイバー・レジリエンスの強化と、集団的な対応を要する課題への取り組みを支援しています。

同センターの取り組みを見る

しかし、サイバーセキュリティの課題に取り組み、世界的なサイバーセキュリティ人材の不足に対処しなければ、こうした機会を生かすことはできません。UNCDFによると、セキュリティ侵害による経済的損失は2020年に4~6兆ドルに達し、世界のGDPの約4~6%に相当しました。こうした損失に対処する訓練を受けた人材も不足しています。Cybersecurity Venturesによると、世界で未充足のサイバーセキュリティ職は、2014年の100万件から2021年には350万件へと3倍以上に増加しました。企業は、CEOや取締役会の支持を得て、ITおよびサイバーセキュリティのスキル習得の機会を広げる教育プログラムやカリキュラムへの投資など、サイバー人材のスキルギャップを埋める取り組みを主導することで、大幅なコスト削減を実現できます。

比類のない技術革新が進むこの時代、あらゆる分野と経済において、急速なデジタル変革への世界的な機運が高まっています。デジタル・レジリエンスの育成に取り組み、強固なサイバー対策を確実に講じれば、今後数年間で野心的な世界経済の取り組みが成功し、社会は第4次産業革命の大きな可能性を実現できるでしょう。

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