デジタル公共インフラが子どもたちに大きな変革をもたらす理由

Children play outside their home in Congo, a digital public infrastructure could help improve their life outcomes
Digital public infrastructures can enable access to protection and health services, reduce poverty and boost educational access for children worldwide.Image: © UNICEF/ UN0745870/ Bashizi
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  • 新型コロナウイルス感染症のパンデミック最初の2年間で、貧困に陥った子どもはさらに1億人増え、2019年以降10%増加しました。

  • デジタル技術を活用してデジタル公共インフラを構築することで、すべての子どもが包摂され、自らの意思を持ち、機会を得て、差別なく権利を実現できる社会づくりに役立ちます。

  • デジタル公共インフラは、世界中の子どもたちが保護・保健サービスを利用できるようにし、貧困を減らし、教育へのアクセスを広げることができます。

世界の多くの地域では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最悪期は過ぎ、人々の暮らしはパンデミック前の日常に戻ったように見えます。しかし、そうではない人もいます。パンデミックが落とした影は長く、今も子どもたちの暮らしを左右しています。特に世界の低・中所得国ではその影響が顕著です。以下に例を挙げます。

パンデミック最初の2年間で、貧困に陥った子どもはさらに1億人増え、2019年以降10%増加しました。世界的な学習危機を背景に、ほぼ3分の2の10歳児が簡単な文章を読んで理解できない状況にあります。パンデミックによる世界的な教育の混乱はこの危機を深刻化させ、学習に重大な影響を及ぼす、かつてない事態となりました。世界各地の教育制度は停止し、その後提供された遠隔学習の質と普及範囲には大きな差がありました。最良の場合でも、対面学習を部分的に補うにとどまりました。また、子どもの予防接種では、30年ぶりに最大規模となる長期的な後退が起きています。現在、約2,500万人の子どもが毎年、命を救うワクチンを受けられていません。

こうした課題の改善を進めるには、2030年までに持続可能な開発目標を達成し、すべての子どもが包摂され、自らの意思を持ち、機会を得て、差別なく権利を実現できる社会を築くために、連携した新たな取り組みが必要です。

デジタル技術は、子どもたちのためにそうした世界を築く助けとなります。デジタル技術を活用し、接続環境への公平なアクセスを確保し、基盤となるデジタル公共インフラを構築することは、子どもや青少年が教育、保健、保護を利用できるようにする有効な方法として、ますます認識されています。

デジタル公共インフラとは、社会全体に不可欠な機能を効果的に提供するためのソリューションとシステムを指し、公共部門と民間部門のサービスを支えます。子どもたちにとって期待される効果には、次のようなものがあります。

保護・保健サービスへのアクセスを可能にする

デジタル技術は、人口登録・人口動態統計(CRVS)システムに大きな変革をもたらします。これらのシステムは出生登録の基盤であり、子どもの権利を行使するための前提条件です。法的な身分証明がなければ、子どもは把握されず、存在を認識されないまま、社会的保護サービス、教育、保健サービスへのアクセスから排除されます。人口登録データの収集、処理、保存をデジタル化することで、さまざまな分野に利益がもたらされます。手続きの完全性が高まり、どの登録窓口からでも記録を即時に検索できるようになり、デジタル身分証明の基盤にもなります。こうした利点を実現するには、分野横断的なアプローチと、保健など他分野との相互運用性が不可欠です。

貧困を減らす

デジタル政府・個人間(G2P)給付金の支払いとデジタル化された社会登録簿を通じて、最も脆弱な立場にある子どもたちに社会的保護サービスを届けることができ、緊急対応とレジリエンスを大幅に強化できます。ユニセフは、定期的な社会的保護データと情報システムの重要性を提唱し、ショックへの備えと対応を支援しています。こうしたシステムは、CRVSシステムなど他の政府登録簿との相互運用性やデータ共有の取り決めが整えば、特に大きな効果を発揮します。ユニセフは、こうしたシステムの導入をネパール、イラク、ソマリアで支援してきました。

教育へのアクセスを改善する

学習のためのデジタルインフラを拡大することは、教育改革の重要な要素です。公共デジタル学習ゲートウェイ・イニシアチブを通じて、ユニセフは、公的資源によって監督、維持、改善される全国的なプラットフォームを介し、教育コンテンツにアクセスできるよう提唱しています。こうしたプラットフォームはすべての利用者に無料で提供され、学校で行われる教育や学習を補完し、支えるべきです。成功例は数多くあります。ユニセフが開発し、マイクロソフトの技術を活用するラーニング・パスポートプラットフォームでは、オンラインでもオフラインでも容易に利用できる地域のカリキュラムを通じて教育と学習を可能にし、世界各国の政府が教育危機に対処できます。同様に、インドのデジタル学習プラットフォーム「DIKSHA」は、複数の言語による8万冊以上の電子書籍を学習者が利用できるようにしています。また、教員向けの研修機会も提供しています。DIKSHAはオープンソース技術に基づいており、他国でもカスタマイズできます。

デジタル公共インフラの利点は明らかですが、リスクを軽減しなければ、子どもの権利に重大な危険をもたらす可能性もあります。明確なデータ共有契約と規制の枠組みによってデータを保護することが不可欠です。排除のリスクに対処するには、すべての子どもに届けるため、デジタル技術の革新を非技術的な革新で補う必要があります。たとえばCRVSでは、供給を増やすための地方分権化に加え、インセンティブ制度を通じて需要を生み出すことが含まれます。タンザニアでは、ユニセフが政府による出生登録のデジタル化と分権化を支援し、手続きを利用しやすく、費用負担の少ないものにしました。その結果、5歳未満児の登録率が大幅に上昇しました。

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この分野でのユニセフの経験を踏まえ、子どもたちのためのデジタル公共インフラの構築を加速するため、次の3つを提案します。

第一に、オープンソースのソリューション、すなわちデジタル公共財(DPG)の利用可能性と成熟度を高めることです。これは、人口登録、社会登録簿、政府・個人間の給付金支払いシステムなど、重要なユースケースやインフラ要素に不可欠です。DPGの導入準備に対する信頼を高めるには、強力な実装エコシステムによる支援が必要です。

第二に、投資を増やすことです。人口規模で運用するシステムの導入には費用がかかるため、これまでしばしば後回しにされてきました。政府、ドナー、実施パートナーは、分野横断的な取り組みとショックへのレジリエンスにとって、こうしたシステムが重要であると認識する必要があります。共同開発基金のような新たな方法で資金を共同化すれば、政府やパートナーがこうしたシステムを導入する能力を高められる可能性があります。

第三に、マルチステークホルダー間の協力を強化することです。国連のグローバル・デジタル・コンパクトや、ユニセフが共同主催するデジタル公共財アライアンスなど、主要な国際協力の枠組みは、デジタル公共インフラの共有と導入に関する連携強化に向けてすでに進行しています。それでも、子どもたちのためにデジタルの可能性を十分に引き出すには、知識と技術の共有をさらに進める必要があります。

ユニセフは、すべての子どもに向けたデジタル公共インフラの導入を前進させるため、パートナーと協力することに取り組んでいます。力を合わせれば、デジタル技術を活用してすべての子どもがその可能性を発揮できる未来を築けます。

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