ウクライナでの戦争は、危機に直面し分断された世界に広範な影響を及ぼしています。
今年のダボス年次総会では、協力の必要性が極めて重要なテーマとなりました。
6人のリーダーが、ウクライナの状況と戦争がもたらす人的犠牲について語ります。
ロシア軍が2022年2月24日にウクライナへ侵攻してから、もうすぐ1年になります。それ以来、約800万人のウクライナ人が欧州各地へ逃れ、第二次世界大戦以降で最大の難民危機を引き起こしました。この紛争では、民間人と軍人合わせて数万人が死亡または負傷しています。
ウクライナでの戦争が世界に及ぼす影響は、地経学的な分断の深まりと密接に結びついています。経済成長の停滞とインフレの進行によって、食料やエネルギー価格が上昇し、生活費危機が生じています。地政学的緊張や、気候危機、新型コロナウイルス感染症など相互に結びついたリスクが、世界を重大な転換点へと押しやっています。
「ラジオ・ダボス」に出演したリトアニアのガブリエリウス・ランズベルギス外相は、分断された世界に戦争が及ぼす影響を強調しました。「世界のあらゆる地域に影響します。何らかの形で、すべての国に影響するのです。」
ロシアの侵略に対して統一戦線を築き、結束を取り戻すには、世界的な解決策が必要であることは明らかです。
ウクライナのための結束
今年のテーマである「分断された世界における協力」の精神のもと、ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会には、官民の世界のリーダーが集まり、ウクライナへの支援を示しました。ウクライナ危機は、民主主義そのものへの脅威を含む、今日の世界が直面する多くの課題と結びついているとの認識が共有されました。
「私たちが知り、慣れ親しみ、そして目指している世界が崩壊する脅威に直面しています。」緊急の演説で、ウクライナ大統領夫人オレーナ・ゼレンスカは、先に待ち受ける課題の大きさと、世界が連帯して平和のもとに結束する必要性を強調しました。

今年のダボス会議が閉幕を迎えるにあたり、ウクライナでの戦争が人々にもたらす影響を直接受けたリーダーたちの経験や見解を振り返ります。彼らの言葉は、苦しむ人々が現地で直面している厳しい現実を明らかにし、言葉ではなく行動が必要だと私たちに思い起こさせます。
ダボスで語った6人のリーダーが、見解を共有します。
ウクライナ・キーウ市長、ビタリ・クリチコ
「今日で戦争は11か月になります。私たちが計算したところ、故郷だけで警報、つまり空襲警報が645回鳴りました。そのたびに、すべての人、市民一人ひとりが避難所に行かなければなりません。回数を合計すると、故郷の市民は一人あたり人生の1か月を地下壕で過ごしたことになります。
この無意味な戦争に勝ち、ロシア兵を私たちの領土、ウクライナから追い出せると確信しています。しかし、どれだけ時間がかかるのか。それはパートナー諸国にかかっています。だからこそ多くの会合に出席し、最新の兵器とウクライナを中心とした結束が必要だと話しているのです。
この戦争は自分には関係ないと思うのは、最大の誤りです。この戦争は、欧州だけでなく、世界中の誰にでも影響し得ます。忘れないでください。ウクライナには原子力発電所が5基あります。そのうち1基は、ほんの数週間前に火災を起こしました。」
DTEK最高経営責任者、マクシム・ティムチェンコ
「今年10月以降、プーチンはエネルギー戦争を、発電所や送電網をはじめ、あらゆる施設の物理的な破壊へと切り替えました。
国民の約80%が停電を経験しています。つまり、人々は毎日6時間、あるいは10時間、電気のない状態で過ごしているのです。
DTEKで働く人々がいかに勇敢で創意に富んでいるかを知りました……発電所や変電所に出勤する際、彼らはこうした施設がミサイル攻撃の標的になり得ると分かっています。それでも出勤し、施設の稼働を維持するためにできる限りのことをしています。」
ウクライナ・リヴィウの医師、ロマン・スモリネツ
「主に集中治療室と救急麻酔科で働いています。
毎日、信じられないほど多くの人が個々のトラウマを抱えるのを目の当たりにします。親たちの涙、人を失うこと、そして普通の人々の英雄的な姿です。」
2022年ノーベル平和賞受賞者、市民自由センター代表、オレクサンドラ・マトヴィーチュク
「私は20年間、人権保護の分野で活動し、8年間にわたって戦争犯罪を記録してきました。しかし、正直に言うと、私たちが遭遇したこれほどの残虐さを覚悟していませんでした。これに備えられる人などいないと思います。
『平和』という概念をめぐっては、多くの幻想があります。特に、安全な欧州の首都でコーヒーを飲みながら議論する人々の間ではそうです。攻撃を受けた国が武器を置いたからといって、平和が訪れるわけではありません。それは平和ではなく、占領です。政治的妥協を装って軍事的脅威を先送りすることではなく、持続可能な平和について話すとき、私たちが意味しているのは、正義なしに持続可能な平和は実現しないということです。
現実には、自由は当たり前に与えられるものではありません。私たちは毎日、選択をしています。そして、現代文明の価値を守らなければなりません。
人権は酸素のようなものです。人権が十分に守られているとき、空気をどう吸い、複雑な生化学反応がどう起き、二酸化炭素をどう吐き出すのかなど、私たちは考えません。自動的に行っています。社会で人権が十分に守られているときや、人々が個人的な影響を受けていないときも同じです。」
ワールド・セントラル・キッチンのシェフ兼創設者、ホセ・アンドレス
「数週間のうちに、ウクライナから受け入れ国へ向かうすべての出入口に拠点を置き、ウクライナ人が国境のこちら側にも向こう側にも入れるよう支援しました。同時に、難民がウクライナを離れる一方で、国内の都市にも多くの避難民がいることに気づきました。彼らには、すぐに温かい家庭料理を届けてくれる組織が必要でした。困っている人々に食事を提供するなら、レストランに勝るところはありません。私たちはすぐに550軒のレストランに協力してもらいました。
ウクライナの穀物生産は、毎年4億人を超える人々の食を支えています。ウクライナが実際に行っているのは、アフリカなどの国々の何百万人もの人々の食料への権利を守ることです。ウクライナ産の穀物がなければ、彼らは飢えることになります。だからこそ、世界中のすべての国がウクライナを支援しなければなりません。そうすることで、私たちは世界の人々を支えているのです。」
ベラルーシ反体制派指導者、スビアトラーナ・チハノウスカヤ
「これは民主主義と専制政治の戦争です。すべての民主主義国は、いま戦っている勇敢な人々を支援するために、あらゆる可能なことをすべきです。」





