2023年、起業のあり方はこう変わる

A worker loads shredded plastic to a machine to be molded into waterproof planks in the factory of social enterprise The Plastic Flamingo or The Plaf, in Muntinlupa, Philippines, October 18, 2021. The Plaf gathers plastics from restaurants, companies, and consumers and transforms them into useable raw material like waterproof planks. Picture taken October 18, 2021. Many entrepreneurs are seeing the world’s challenges as opportunities to build socially minded businesses.
Many entrepreneurs are seeing the world’s challenges as opportunities to build socially minded businesses.Image: REUTERS/Eloisa Lopez
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  • 近年の前例のない経済的混乱は、新たな事業が生まれ、成長するための理想的な条件を生み出し得る。

  • 若い起業家たちは従来型の労働市場を迂回し、すでに働いている人々は副業やその先に目を向けている。

  • 2023年には、より多様で、社会をより重視し、複数の仕事を掛け持ちすることを恐れない、新たな形の起業が登場するだろう。

ここ数年続く前例のない経済的混乱は、2023年も続く見通しだ。最近の株式市場での売り、厳しい資金調達ラウンド、大規模な人員削減から、これからの景気後退が何をもたらすかを垣間見ることができる。

しかし逆説的に、まさにこうした課題こそが、新たな事業が生まれ、成長するための理想的な条件を生み出す。優れた起業家は混乱の時代に力を発揮する。恐れを力に変え、混乱に対応し、さらにはその形づくりにも関わる術を知っている。慣例にとらわれず、常識を問い、新しいことに挑戦するのを恐れない。世界経済を前進させ、必然的に生じる課題を克服するために必要な新しい製品やサービスの開発において、重要な役割を果たすことができる。

新たな形の起業の登場

私自身も起業家として、何よりも楽観的でいられる理由がある。どこを見ても、新しい事業を立ち上げたり、立ち上げを計画したりしている次世代の創業者たちがいる。

英国では、長引く生活費危機をきっかけに、起業への新たな動きが広がっており、女性の起業家もかつてないほど増えている。女性のほぼ5人に1人(17%)が起業を検討している。起業を始める動機として、ほぼ半数(48%)が、より多くの収入と、自分が上司となる自由を求めていると答えている。

女性起業家の割合が最も高い国と最も低い国。Image: Statista

経済活動に加わる若年層の多くは、誰かに頼るのではなく、自分の力で成功をつかむ必要があると考えている。英国での調査によると、Z世代の個人事業主の5人に1人は、自分の小規模事業が卒業後初めての仕事だと答えている。彼らは「従来型」の労働市場に一度も入ったことがない。

私たちのメンタープレナーシップ・プログラムは、2021年6月にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスとの提携で始まった。キャリアパスとして起業を検討する若者の多さに、私たちは刺激を受け、励まされてきた。この種のものとして初めて大学が運営する同プログラムは、事業におけるメンタリングの基本的な役割に焦点を当て、社会を重視した事業の発展を支援し、起業家精神を育むことを目的としている。

About:Energyのギャビン・ホワイトが、同社に出資した起業家のリシ・コスラ(左)とニキル・シャー博士(右)とバッテリーについて語るImage: About:Energy

起業を目指す人々の多くが「複業」の流れをつくっており、2022年には米国人の3分の1超(36%)が副業を始める、または始める計画を立てていた。2021年に同様の回答をしたのはわずか4分の1(24%)だった。OakNorthでは、アンドリュー・ローズやサイモン・レッドウッドなど、副業に取り組む多くの起業家を支援してきた。2人は過去8年間、本業と並行して子ども向けの保育施設を所有・運営している。アンドリューは家族経営の住宅建設会社バクスター・ホームズの上級積算士で、サイモンはブラックプール近郊で消防士として働いている。

一方、史上最長の強気相場(2009~2020年)に高成長企業で働いていた人々は、スタートアップの目覚ましい成功と株式価値の創出を目の当たりにした。その経験から、前の世代より大きな夢を描き、起業を検討するようになった。また、ソーシャルメディア、インフルエンサー、コンテンツ制作などを通じ、限られたマーケティング予算で大きく事業を拡大する方法も学んだ。景気後退によって、こうした起業を目指す人々の多くは、事業継続に必要な資金をベンチャーキャピタル(VC)に頼るのではなく、規律を保って自己資金で事業を立ち上げることを学ぶだろう。最終的には、より強く、よりしなやかで、そして何より収益性の高い事業を築けるようになる。さらに、景気後退の明るい側面の一つは、起業の費用が下がり、始めやすくなることだ。

Wikipedia共同創設者のジミー・ウェールズ氏が起業家向けキャリアアドバイスを語る
Wikipedia共同創設者のジミー・ウェールズ氏が起業家向けキャリアアドバイスを語る
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ビジネスパートナーのジョエル・パールマンと私は、20代のときに最初の事業であるコパル・パートナーズを立ち上げ、30代で2度目の起業を果たした。起業が「普通の仕事」に就けなかった人のための第二の選択肢と見なされていた私たちの世代では、私たちは異例の存在だった。しかし幸いにも時代は変わりつつあり、世界の課題を、それらに取り組む社会を重視した事業を築く機会と捉える人が増えている。

例えば、続くサプライチェーンの問題、燃料・肥料・飼料価格の上昇、ロシア・ウクライナ戦争によって、食料とエネルギーの安全保障の必要性が注目を集めている。一方、COVID-19、COP26、COP27、そして世界各地で起きた数多くの異常気象は、倫理的な消費の波を呼び起こし、気候変動の影響が拡大しているとの認識を高めた。2020年代に生まれる新たな事業の多くは、再生可能エネルギー、半導体、バッテリー設計、培養肉、垂直農法、食品廃棄物管理などに取り組むと考えられる。例えば、私が今年初めに出資したスタートアップのAbout Energyは、データとソフトウェアを活用し、バッテリー製造、自動車、航空宇宙分野の顧客によるバッテリー開発を迅速化し、向上させている。

これから待ち受ける課題を認識し、慎重に見極めている一方で、2023年は、数々の課題をもたらすと同時に、新たな起業の波と、今ほど世界に必要とされていることのない起業家精神を労働者の間に呼び起こすと、私は強く楽観している。

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