企業はいかに森林再生へのコミットメントを行動に移しているか

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  • 「Restoration Barometer(再生バロメーター)」は、政府に加え、民間セクターも再生へのコミットメントの実施状況を追跡できるよう支援するツールです。

  • 報告を簡素化し、成功に向けた主要な段階を含む進捗の全体像を作成するとともに、今後の取り組みを最大化するために必要な資源の不足を特定します。

  • 企業は、Restorなどの地理空間プラットフォームを活用して、自らの取り組みに関する知見を得たり、影響を示す証拠を提示したりするケースが増えています。

昨年開催された国連の気候変動と生物多様性に関する2つの主要会議、COP27と、待望のCOP15は、森林を通じた取り組みで気候変動と生物多様性の損失に対処するための、さらなるコミットメントを打ち出して閉幕しました。地球温暖化を抑えるパリ協定の1.5°C目標達成において、自然が果たす重要な役割と生態系の再生が中心的な要素であるとの認識が高まっています。また各国は、生物多様性の保全を目指す画期的な合意のもと、2030年までに地球の陸地と海域の3分の1を自然のために保護することにも合意しました。

しかし、森林保全や生態系再生などの自然を活用した解決策には、依然として重要な資金不足があり、コミットメントを主導力と行動に結びつけることが急務です。企業は、景観の保全と再生にどのように貢献しているかを共有し、地域社会と自然への影響を示すことが重要です。こうした事例を透明性をもって共有すれば、世界の人々が学び、行動し、改善し、より高い目標を掲げるきっかけになります。

COP15で発表された10件の世界再生フラッグシップは、自然を支援する最も意欲的で示唆に富む事例です。協働的なアプローチを実践し、優れた取り組みを共有しています。こうした事例は、意思決定者に何が有効で何が有効でないかを伝え、より大規模で効果的な行動を促します。

実際の進捗を測る方法

IUCN再生バロメーターは、森林から農地、水路から沿岸域まで、さまざまな生態系にわたる再生へのコミットメントの実施状況を追跡するツールです。報告を簡素化し、成功に向けた主要な段階を含む進捗の全体像を作成するとともに、今後の取り組みを最大化するために必要な資源の不足を特定します。2021~2022年には22か国の政府が利用し、50を超える政府が支持しました。また、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」や「国連生態系回復の10年」など、国内および世界の目標に向けた進捗も追跡し、生物多様性保全、気候変動の緩和、経済成長に対するプラスの影響を定量的に評価します。

COP15でIUCNは、2022年版「再生バロメーター」報告書を発表しました。そこには各国での最近の適用結果に加え、報告をさらに簡素化する新たな国別ダッシュボードが盛り込まれています。

再生バロメーターの国別ダッシュボード。

1t.orgとの連携を通じて、バロメーターの枠組みは民間セクター向けに調整され、企業が保全と再生に関する誓約の実施状況を報告できるよう支援しています。1t.orgの誓約プロセスが始まって以来、80社を超える企業が65か国以上で70億本を超える樹木の保全、再生、育成を誓約しています。バロメーターの4つの

行動指標(政策・戦略、資金、技術計画、モニタリング)と4つの影響指標(土地面積、気候、生物多様性、経済)により、企業は再生への介入について毎年報告できます。進捗を質的・量的に示し、生態系再生と森林景観再生の原則に沿ってプロジェクトを進める助けにもなります。今年は、1t.orgへの誓約が有効な30社が、プロジェクトの進捗と再生による影響のデータを共有して先導しています。その多くは、1t.org企業アライアンスのメンバーです。企業の約85%は、バロメーターの主要指標に照らして進捗を示し、再生へのコミットメント達成に向けて順調に進んでいると報告しています。再生プロジェクトの計画方法や、そこから得られる便益についても詳しい情報を共有しています。1t.orgの誓約は樹木と森林景観に焦点を当てていますが、バロメーターの適用により、沿岸域、農地、草地、泥炭地、都市部など、多様な生態系で再生作業が行われていることが明らかになりました。

EY

は、より広範なサステナビリティ戦略の一環として、大陸や生態系をまたいで誓約を積極的に実行している企業の一つです。質の高い再植林によって大気中からCO2を除去するほか、アグロフォレストリーを通じて劣化した景観を再生し、生物多様性の向上と地域社会の生計支援に取り組んでいます。対象国には中国、ウルグアイ、ジンバブエなどがあります。EYはジンバブエのカリバ森林保護活動を支援しています。

ネスレ

は、グローバル再植林プログラムの一環として、劣化の恐れがあり、農業コミュニティの生計に欠かせない土地の再生をサプライチェーン内で支援しています。フィリピン、ニカラグア、コロンビア、ホンジュラスでは、コーヒー調達農園や供給地域など、主要原料の生産地とつながる地域に在来樹種を植えています。また各プロジェクトには、成長を追跡して適応策を講じるための初期および長期のモニタリング体制も含まれます。アストラゼネカ

はAZ Forestイニシアチブを通じて、ガーナ、インドネシア、オーストラリア、英国などでこれまでに1,000万本を超える樹木を植え、2025年までに5,000万本を植樹・維持する目標の達成に向けて順調に進んでいます。AZ Forestは、持続可能な生計を支えるアグロフォレストリー・システムに投資し、森林劣化の要因への対処に役立つ木材生産林を整備するとともに、主要な生息地間の連結性を高める地域を戦略的に選定しています。科学的根拠に基づく同社のアプローチは、地域、国内、世界レベルのパートナーシップに支えられています。地域の関係者との協働は、地元の人々に価値を認められ、継続されるプロジェクトの設計に欠かせません。企業は平均すると、求められる数を上回る指標に回答しましたが、すべての指標についてデータを提供できた企業はごくわずかで、50%を超える企業が世界全体の集計データを提供しました。進捗をより包括的に把握するには、再生対象面積などの主要指標について、より詳細なデータを特定、収集、共有できるよう、関係者との連携を続ける必要があります。

生態系再生のための世界的なハブ

企業は、地球表面の地物や対象物を表す情報である地理空間データも取り入れ、自らの取り組みを視覚的に示す証拠として活用しています。

Restorなどのプラットフォームを通じ、企業は自らのアプローチの計画、実施、モニタリング、報告に役立つ貴重な知見を得ています。オープンサイエンスのプラットフォームであるRestorは、企業の生態系再生を主導する組織が情報を公開し、取り組みを紹介する場としても機能し、他の企業の行動を促しています。企業などのプラットフォーム利用者は、プロジェクトサイト全体の情報や生態学的知見(気候、生物多様性、水など)を集約する独自のプロフィールを作成できます。これにより、プロジェクトを管理し、関係するパートナーと協力して進捗と影響を追跡できます。1t.orgのモニタリングパートナーであるRestorは、透明性を高め、現場の実務者や苗木育成事業者から資金提供機関まで幅広い関係者のコミュニティを築くことで、世界的な再生運動を支えています。同社の地理空間プラットフォームには、現在13万件の再生プロジェクトが登録されています。

世界経済フォーラムは自然に関してどのような取り組みを行っているのか?

自然・気候センター

は、気候、自然、経済開発の相互関係をリーダーが理解できるよう支援します。地球の限界の範囲内でレジリエンスと繁栄を支える道筋を探る場を提供しています。分野や地域を超えた協力を可能にすることで、センターは共通理解を実践的な気候・自然ソリューションへとつなげるよう、パートナーを支援します。センターの取り組みを見る

チューリッヒ保険グループ

はその一例で、グループ全体でInstituto TerraとRestor上で連携することに加え、地域で支援する

プロジェクトのデータを追加し、進捗と影響のモニタリングを改善するため、より検証可能で信頼性の高いデータの取得を目指します。リスクに関する専門知識を持つ保険会社にとって、炭素や生物多様性などのテーマは、顧客や社会だけでなく、信頼できる自主的な炭素市場の発展にとっても特に重要です。Restor上で可視化されたブラジルの地域。チューリッヒはInstituto Terraと連携し、在来の生物多様性の再生に取り組んでいる。透明性は企業が説明責任を果たすうえで重要であり、他者の行動を促すことにもつながります。Restorのプラットフォームを使えば、チューリッヒは世界各地の追加プロジェクトを登録し、累積的な影響を把握できます。また、各地の地域社会との関わりや、同じプロジェクトに参加する他社の概要も確認できます。これにより、知見の共有や

学びと協働

、相乗効果の機会が生まれる可能性があります。行動するコミュニティを拡大する世界が生態系の重要な

転換点

に近づくなか、行動の証拠を伴うコミットメントがさらに必要です。2023年は、実施事例を示し、課題を明らかにして透明性をもって伝える年です。アダニと

Metaは、1t.orgへの誓約を最近行った企業です。アダニは2030年までに1億本の樹木を育てることを約束し、Metaは全米インディアン炭素連合と提携して、重要な成功要因である先住民族のリーダーシップを推進します。両社はプロジェクトの進展と影響を追跡し、気候、自然、社会への便益に関するデータを提供します。1t.orgが継続するパートナーシップ

と、IUCN再生バロメーターおよびRestorとの共同連携を通じて、企業はより十分な情報に基づいて意思決定し、影響をより透明性高く報告できるようになります。再生への投資家コミュニティが拡大し続けるなか、優れた取り組みを一般化し、地域社会、自然、気候に有意義な影響をもたらすには、このような信頼できる進捗と学びの共有の仕組みも拡大する必要があります。データ、規制、先住民の知識が、質の高い保全と再生を大規模に実現するための資金を投資家に促す仕組みについて詳しく知るには、1月18日11時のAM23セッション「グリーンウォッシングへの懸念で信頼できる行動を停滞させない

」をお聴きください。世界経済フォーラムの初期段階イノベーション・イニシアチブであるUpLinkは、ネットゼロ、自然にプラスの影響をもたらし、公平な未来に不可欠な、目的志向の起業家を支援し、その成長を加速しています。UpLinkについて詳しく知り、コミュニティに参加するには、こちらをクリック

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