新型コロナウイルス感染症を抑え込み、人々にワクチンを接種することは、復興計画における最優先課題であるべきです。
持続可能な復興には、医療へのアクセス改善、次のパンデミックの予防、気候変動への取り組みも欠かせません。
ダボス・アジェンダでは、すべての人に健やかな未来をもたらす解決策を取り上げます。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、私たちが生涯で経験したことのない健康危機です。ウイルスを抑え込み、世界中の市民に確実にワクチンを接種することは、公衆衛生上の最優先課題です。
しかし、私たちが直面する健康上の課題は新型コロナウイルス感染症だけではなく、復興はウイルスへの当面の対応にとどまりません。すべての人の健康とウェルビーイングを確保することは、将来の健康、経済、環境の課題に対して経済と社会が強靱であるために不可欠です。
適切な復興計画があれば、新型コロナウイルス感染症の拡大を食い止め、健康格差を解消し、次のパンデミックさえ防げる可能性があります。それにより、私たちの未来は健やかであるだけでなく、公平で強靱なものになります。
2021年1月25日から29日まで、ダボス・アジェンダでは世界のリーダーが一堂に会し、新型コロナウイルス感染症への対応における次の段階と、健康の回復と経済の回復がなぜ密接に結びついているのかを議論します。
ここから、どこへ向かうのでしょうか?
より良い復興には、すべての人に健やかな未来を確保することも含まれます。その方法を紹介します。
1. ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けて前進する
「推計によると、世界では4億人が基本的な保健医療サービスを利用できません。毎年、医療費を自己負担せざるを得ないため、約1億人が極度の貧困に追い込まれています」と、フォーラムのソフィアット・アキノラ氏と元グローバル・シェイパーのデイビッド・アレクサンダー・ウォルコット氏は記しています。
「新型コロナウイルス感染症によってこの数字は増加し、今後も増え続けるでしょう。人々が職を失う一方、検査、治療、ワクチンに関連する支出により医療費が増え、健康保険も失われるからです」と著者らは指摘します。
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)が重要なのはそのためです。UHCとは、「すべての個人と地域社会が、必要な医療を利用できるようにすることです」と、フォーラムが運営するUHC2030民間セクター構成員グループは述べています。同グループは、この目標の達成に向けた官民連携を推進しています。
パンデミックから得られる数少ない明るい兆しの一つは、遠隔医療やデータ・分析の活用拡大など、UHCの実現に役立つ手段の導入が加速したことかもしれません。今後の課題は、パンデミックが終わった後に医療制度が「通常」に戻らないようにすることです。
2. メンタルヘルスとウェルネスを優先する
新型コロナウイルス感染症は、世界的なメンタルヘルス危機を悪化させました。憂慮すべき例を一つ挙げると、昨春、米国で自殺を真剣に考えた成人の数はほぼ倍増しました。
しかし、パンデミック以前から、推計で4億人が不安やうつに苦しんでいました。一方、米国の成人の3分の1が孤独を感じており、米国のミレニアル世代では、うつや多動の割合が上昇していました。「それにもかかわらず、医療予算のうちメンタルヘルスに充てられるのはわずか約2%です」と、ユナイテッド・フォー・グローバル・メンタルヘルスのCEO、イライシャ・ロンドン氏は述べています。
これは経済の問題でもあります。従業員のメンタルヘルスの問題に対処しないことで生じるコストは、意欲や労働生産性の低下、メンタルヘルスサービスへの相談の増加、前例のない家族のニーズへの不安などを通じて、数千億ドル規模の重大な影響に積み上がります」と、マッキンゼー・アンド・カンパニーの北米マネージング・パートナー、リズ・ヒルトン・シーゲル氏は記しています。
健康と経済の完全な回復を望むなら、メンタルヘルスケアへの投資を増やす必要があることは明らかです。
その間、専門家は、個人が2021年に「脳をリブート」するための6つの方法を紹介しています。たとえば、運動や十分な睡眠、健康的な食事、社会とのつながりを保つことなどです。また、マッキンゼーのシーゲル氏は、職場でメンタルヘルスを改善するための実践的なヒントを紹介しています。
3. 環境の健康と人間の健康は結びついていると認識する
次のパンデミックを防ぎ、健やかな未来を確保するには、環境問題にも取り組む必要があります。
科学者らは、新型コロナウイルス感染症はコウモリに由来し、何らかの経路で人間に感染した人獣共通感染症だと考えています。実際、国連によると、「人間に感染する新興感染症の約75%は人獣共通感染症であると考えられています」。その中にはマラリアも含まれ、マラリアは世界で最も致死率の高い病気の一つであり続けています。
現在、生物多様性の喪失、森林破壊、野生生物の違法取引が、感染症の流行を増加させています。
「森林破壊は過去20年間、着実に増加しており、エボラ出血熱やジカウイルス、ニパウイルスなどの感染症流行の31%に関連しています。森林破壊によって野生動物は自然の生息地を追われ、人間の居住地域に近づいています」と、チューリッヒ保険グループのサステナビリティ・リスク責任者、ジョン・スコット氏は説明しています。
森林破壊について、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのでしょうか?
「さらに広く見ると、気候変動は感染症の伝播パターンを変化させ、その拡大を加速させています。対象となる感染症にはジカ熱、マラリア、デング熱などがあり、人々の移住も引き起こしています。劣悪な環境下で大勢の人々が新たな場所へ移動すると、移住を余儀なくされた人々は生物学的脅威に対してより脆弱になります。その脅威には、はしか、マラリア、下痢性疾患、急性呼吸器感染症などがあります」とスコット氏は続けます。
気候変動そのものも、重大な健康リスクです。
「このパンデミックによる人命の損失と経済的苦境は、世界の炭素排出をなくさなければ、今後常態化する事態に匹敵します」と、ビル・ゲイツ氏は記しています。
ゲイツ氏はさらに、「2060年までに気候変動の致死性は新型コロナウイルス感染症と同程度になり、2100年までにはその5倍になる可能性があります」と付け加えました。
ダボス・アジェンダで注目すべき内容
2021年1月25日から29日まで、ぜひご参加ください。特別講演、リーダーシップ・パネル、インパクト・セッションでは、上記の課題の多くを取り上げます。内容は次のとおりです。
ポストコロナ世界で危機に強い医療システムを構築する、1月25日(月)12:00~13:00
新型コロナウイルス感染症危機への対応、1月25日(月)14:15~15:00
健康と医療のための新たなグレート・ニューディール、1月29日(金)18:00~18:45
登壇者:
アルバート・ブーラ、ファイザーCEO
テドロス・アダノム・ゲブレイェスス氏、世界保健機関(WHO)事務局長
アンソニー・ファウチ氏、米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長
リチャード・ハチェット氏、CEPI CEO
キリアコス・ミツォタキス氏、ギリシャ首相
パスカル・ソリオ氏、アストラゼネカCEO
イェンス・シュパーン氏、ドイツ連邦保健相
ライブ配信のセッションはこちらから視聴できます。








