2021年、経済システムにはどのような変化が訪れるのか?ビジネスリーダーが語る

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世界の新型コロナウイルス感染症による死者は200万人を超え、なお増加している。ウイルスの感染拡大を抑えることは、2021年の最優先課題だ。

しかし、完全な回復には、保健危機への対応だけでなく、長期的な経済への影響にも取り組む必要がある。それも、公平で包摂的かつ持続可能な方法で進めなければならない。

「新型コロナウイルス感染症による公衆衛生危機が続き、パンデミックが世界経済に長期的な影響を及ぼすなか、各国の政策立案者はこの機会に、目先の回復だけでなく、この時期を自国の経済システムの変革にどう生かせるかを考えなければなりません」と、フォーラムのマネージング・ディレクター、サーディア・ザヒディ氏は記した。

「不平等や環境問題に取り組まなければ、成長と生産性だけでは不十分です。経済の仕組みの中心に持続可能性と社会的包摂を据えるため、政策を転換する必要があります」と、同氏は続けた。

ダボス・アジェンダは、より包摂的で結束力があり、持続可能な未来をできるだけ早く実現するため、世界のリーダーたちがオンラインで協力できるよう働きかけている。1週間にわたる世界規模のプログラムでは、パンデミックを抑え、今後1年間の力強い回復を促す革新的で大胆な解決策をリーダーたちが選べるよう支援する。1日目(1月25日)は、結束力があり、持続可能でレジリエントな経済システムをどう設計するかに焦点を当てる。

会合に先立ち、世界経済フォーラムの戦略的パートナーに、より公正な経済システムを築く方法についてアイデアを寄せてもらった。

「長期的な成長とレジリエンスに投資する」

ユセフ・アル=ベンヤン、SABIC副会長兼CEO

2020年、パンデミックは世界の企業、社会、政府に混乱をもたらした。今後何年にもわたって企業と経済に影響する重要な構造変化を引き起こし、多くの場合、その進行を加速させた。パンデミックを経験するなか、産業界は差し迫った問題をリアルタイムで解決する新たな方法を迅速に取り入れた。2021年には、この経験を生かして課題に取り組み、期待の持てる機会をつかむとともに、環境面で持続可能かつ社会的に包摂的な長期的成長とレジリエンスに向けて、リーダーシップのあり方と投資を継続する方法を根本から変えなければならない。

これらは、2021年に世界に最大の脅威をもたらすリスクだ。Image: 世界経済フォーラム

「大胆な協働」

カーマイン・ディ・シビオ、EYグローバル会長兼CEO

ファイザーとビオンテックのワクチンは、協力によって何を実現できるかを示す一例だ。Image: REUTERS/Andreas Gebert

2020年、多くの人々、企業、地域社会が課題への対応に苦闘するなか、私が目にした人々のレジリエンス、革新性、活力に勇気づけられた。多くの場合、課題に対して力や知見を持ち寄り、共に取り組めば前進できると分かった。大胆な協働は、競合相手同士であっても、問題に対処し、社会的価値を生み、イノベーションを促すことができる。

新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発は、その優れた一例だ。この連携の精神を、経済的不平等、気候変動、教育、社会正義といった他の重要課題にも生かせる。

2021年には、創造的な協働が求められるだろう。企業、地域・学術機関、政府が、根深い社会・経済・政治課題に対し、多様な考え方と新たなアプローチを模索するからだ。

「迅速かつ効果的に変革する」

サイモン・フリークリー、AlixPartners CEO

世界がこれまでに経験したなかでも最も深刻な公衆衛生・経済危機のさなか、必要に迫られた企業がどれほど迅速に変革できるかを目の当たりにした。何年もかかると見込まれていたリモートワークやデジタル商取引の新たなプラットフォームが、数週間のうちに導入された。

重要な製品やサービスの供給を維持するため、サプライチェーンや流通経路が調整された。もちろん、製薬企業が記録的な速さでワクチンを開発、試験、製造、配布したことも、この危機をいずれ終息させるための英雄的な取り組みだ。

企業が新型コロナウイルス感染症に直面して迅速かつ効果的に変革できるなら、混乱による課題に直面したときにも同じことができる。相互につながった世界では、こうした取り組みの成功は一企業とその利害関係者の枠を超えて波及する。イノベーション、雇用創出、経済成長の好循環を通じ、多くの人々にとって長期的で持続可能な未来を築き、社会や地域社会を支える。

しかし、その未来を形づくるのは今だ。

「協働をさらに強化する」

アーロン・カーチマー、PayPal最高リスク責任者兼リスク・プラットフォーム担当EVP

この1年は、前例のない課題から、より公平で包摂的な対応を目指して人々が結集した素晴らしい姿まで、あらゆる意味で異例だった。複数のセクターにまたがるパートナーシップは、重要な不足を補う有効なモデルとして以前から機能してきた。しかし、2021年の世界的な回復に向けて、協働のあり方を見直し、連携を一層強化しなければならない。

革新的な解決策を要する課題は多岐にわたる。身体の健康と心のウェルビーイングの促進から、経済の回復とエンパワーメントの加速、さらにはデジタル化が急速に進む世界におけるサイバー上の安全とセキュリティの強化まで及ぶ。前向きな変化を促すには、あらゆるセクターが新たな協働の枠組みを築く機会を認識し、持てる資産をすべて投入して参加の意義を高め、互いに説明責任を果たす必要がある。この新たな枠組みを築くことが、必要とされる規模に見合うインパクトをもって課題に効果的に対応する唯一の方法かもしれない。

世界経済フォーラムはサイバーセキュリティにどのように取り組んでいるか

サイバーセキュリティセンターは、リーダーたちが集い、変化するサイバーリスクとそのシステム全体への影響を理解するための、信頼できるプラットフォームを提供している。相互接続がますます進むデジタル世界で、理解と信頼を築くことに重点を置いている。

セクターを超えた協働と知見の共有を可能にすることで、同センターはパートナーのサイバーレジリエンス強化と、集団的な対応を要する課題への取り組みを支援している。

同センターの取り組みを見る

「効果的かつ創造的に、そして協力して対応できる備えを」

カロリーナ・クリント、Marshマネージング・ディレクター

一つの目的に集中して行動するこの能力を制度に組み込む必要がある。国家や世界のレジリエンスを追求することは、どの一組織や一つのリスクよりも大きな課題だ。

社会全体、すなわち官民セクター、地域社会、NGOの間で、さらなる協働が欠かせない。これには、グリーンインフラやクリーンエネルギー事業を含む持続可能な回復の取り組みを促す景気刺激策の策定が含まれる。また、急拡大するデジタル経済に対応できるよう、労働者の技能向上を図る官民連携も必要だ。さらに、長期化する危機の際に企業の安定を支える、新たなパンデミック保険や新興リスク保険の仕組みを創設する必要もある。

レジリエンスを築き、維持するには、企業が短期的に大きな影響を及ぼす可能性のある出来事と、より長期的な環境の両方に目を配ることが重要だ。そして、効果的かつ創造的に、協力して対応できる備えを整える必要がある。これは、企業と世界のコミュニティが今後のリスクと機会に持続可能な形で対応し、将来のショックに対するレジリエンスを強化し、長期的な繁栄に向けて前進するうえで不可欠だ。

民間企業は回復の「中心的な役割」を担うべき

宮永俊一、三菱重工業 取締役会長

ワクチン生産の拡大や治療法・医薬品の改善を通じて、新型コロナウイルス感染症の脅威が続くなかでの対応は引き続き必要だが、2021年はパンデミックがもたらした社会的・経済的損害から世界が回復に踏み出す年となる。ただし、回復の方向性とペースは、社会、経済、産業ごとに異なるだろう。

パンデミックによる甚大で深刻な損害を乗り越えるには、私たち民間企業がその動きの中心に立つべきだ。最先端技術と産業分野の専門知識を結集し、過去の災害や広範な世界的課題への対応経験と組み合わせることで、より持続可能で公平な回復への道筋を描ける。また、社会の健全な基盤を確保するため政府と緊密かつ着実に協力し、目先の回復に重点を置きながら、バランスの取れた長期的な成長の可能性も維持する必要がある。特に、脱炭素化など、技術、産業、社会面で困難な目標を伴う分野ではそれが重要だ。

民間企業は気候変動に影響を与えられる。その方法を紹介Image: 世界経済フォーラム

「適応力、意欲、そして協働の精神を生かす」

ノエル・クイン、HSBC最高経営責任者

持続可能なインフラ、クリーンテクノロジー、再生可能エネルギーは、次の高成長分野だ。Image: REUTERS/Sergio Perez

この1年、人々が共通の問題の解決策を見つけるために協力することには、大きな力があると示された。

業界や職種を問わず、多くが予想以上の適応力を発揮した。最も困難な時期がしばしば最大のイノベーションにつながることも、改めて証明された。これは、活力ある持続可能な世界経済を再建するため、より大きな意欲を持つ後押しとなるはずだ。

2020年、私たちは皆、世界のもろさを憂慮し、謙虚な気持ちにさせられた。しかし、楽観的に前進すべきだ。複数のワクチンが登場したことで、世界経済の多くの部分が近く再開できる見通しとなった。また、将来の危機に備えて経済のレジリエンスと持続可能性を高める動きには、確かな勢いがある。同時に、取り残された地域社会を守ることも必要だ。持続可能なインフラ、クリーンテクノロジー、再生可能エネルギーは、次の高成長分野だ。

2020年に目の当たりにした適応力、意欲、協働の精神を生かせば、持続的で持続可能な回復を築くための手段はすべてそろっている。

「すべての人に向けた安定的で持続可能な経済回復を計画する」

ジェス・ステイリー、バークレイズ・グループCEO

経済における拡大する不平等を積極的に是正し、政治・社会不安の大きな原因を取り除く回復を形づくるには、計画を始めるのが早すぎることはない。債券市場がインフレを予測していないのは、前例のない財政・金融対応にもかかわらず賃金が伸びていないことを示している。これは、ダッシュボード上で点滅する警告灯として受け止めるべきだ。

最も裕福な個人や機関以外に成長をもたらさない回復は不安定だ。政府と企業は、専門知識と資源を持ち寄り、すべての人に向けた安定的で持続可能な経済回復を計画するため、実質的な協働関係を築くべきだ。英国では、成長と生産性における地域格差の是正に重点を置くことが適切な政策対応であり、必要な変化を実現するには企業との深く継続的な連携が欠かせない。

賃金グループ別の実質年間賃金の累積変化率(1979~2018年)Image: 世界経済フォーラム

「大きな視野で考える」

ビル・トーマス、KPMGインターナショナル グローバル会長兼CEO

保健危機の解決が最優先だ。それが実現するまでは身動きが取れない。しかし、ワクチンが登場すれば、次世代のために物事を正しい方向へ導く、一生に一度の機会が得られることを期待したい。パンデミックによって、社会に存在し、対処が必要な多くの欠陥が浮き彫りになった。その結果、ESGはもはや検討事項ではなく、必須の課題となった。

社会が直面する問題は世界規模であり、生存を脅かすものでもあるため、すべての利害関係者が一層の取り組みを求めている。世界的なパンデミック。気候変動。人種差別。不平等の拡大。失業の増加。それぞれ異なる問題だが、すべてつながっている。

私たちは大きな視野で考える必要があり、企業にはこれらの課題を率先して解決する重要な役割がある。最も重要なところで、皆が力を合わせて変化をもたらせるよう支援できる。

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