ダボス2022――他に類を見ない会合で何が期待できるか、Radio Davosで

Davos 2022 Impressions from the World Economic Forum Annual Meeting 2022 in Davos-Klosters, Switzerland, 21 May. Copyright: World Economic Forum/Mattias Nutt
Davos 2022 is set, not in the snow and ice, but amid the spring flowers.Image: World Economic Forum / Mattias N
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  • 世界経済フォーラム年次総会2022は、5月23~26日にスイスのダボスで開催されます。

  • 初めて1月以外の開催となりますが、ウクライナでの戦争と世界経済の激変もまた、さまざまな意味で前例のない会合にするでしょう。

  • Radio Davosはダボス2022から毎日ポッドキャストを配信しています。購読はこちらこちら。

世界各地のリーダーや専門家が集う世界経済フォーラム年次総会は、通常、年初に開催されます。新型コロナウイルス感染症のため、過去2年間は対面開催ができず、ダボス2022は初めて5月に開催されます。しかし、ボルゲ・ブレンデ・フォーラム会長がこの先行配信のポッドキャストで語るように、今回のダボス会合が他に類を見ないものとなる主な理由は、雪がないことではありません。

これはエピソードの書き起こしです。

ロビン・ポメロイ:これを録音している今、ダボスへ向かう荷造りをしています。スイスアルプスを上っていく長い列車の旅です。

他のダボス会合なら当然のお決まりの装いであるスノーブーツや暖かいコートは荷物に入れません。パンデミックのため、世界経済フォーラムが世界各地のリーダーを迎える恒例の1月の会合は、今年も前年も対面では開催されなかったからです。

会合は今、春に開かれています。しかし、雪がないことだけが、他に類を見ない今回のダボスで目に見える違いではありません。

ロシアによるウクライナ侵攻は状況を一変させました。人々を一堂に集め、「世界の現状を改善する」方法について合意を探る場だと自らを位置づけるフォーラムにとっても、例外ではありません。

このエピソードの中心は、世界経済フォーラム会長のボルゲ・ブレンデが山へ向かう前に行ったインタビューです。その前に、50年以上前にフォーラムを創設し、現在も会長を務めるクラウス・シュワブの話をお聞きください。年次総会の数日前に開かれた記者会見で、今年のイベントのテーマが「歴史の転換点」である理由を説明しています。

クラウス・シュワブ:私たちがまず思いを寄せるのは、ウクライナでの戦争です。ロシアによる同国への侵略は、将来の歴史書で、第二次世界大戦後および冷戦後の秩序の崩壊として記されるでしょう。これが、私たちが「歴史の転換点」と語る理由です。ダボスでは、この戦争の残虐行為に苦しむ人々への連帯を何よりも優先します。

ロビン・ポメロイ:世界経済フォーラムの創設者で会長を務めるクラウス・シュワブでした。ウクライナ以外では、ダボスでどのような重要課題が取り上げられるのでしょうか。フォーラムの新経済・社会センター長、サーディア・ザヒディに聞きます。

サーディア・ザヒディ:世界経済の見通しは、世界経済がどこへ向かうのか、そして経済が人々のために機能するようにするにはどうすればよいのかを議論する、約60のセッションの一つです。

論点はいくつかあります。まず、この極めて不確実な経済状況に現在どのような逆風と追い風が吹いているのかを理解することです。インフレの見通しや、それが生活費危機に何を意味するのかをより深く考えます。債務の見通しや広範なマクロ経済の状況など、現在の経済情勢についてもさらに検討します。

しかし長期的に重要なのは、すでに進行していた一連の経済動向です。パンデミックの間にもそれが顕在化し、今はもちろん、現在の紛争によってさらに悪化しています。教育、雇用、包摂などが含まれます。こうした分野は、特に進行中の技術変化を背景に、すでに複雑な状況に直面していました。パンデミックで状況はさらに複雑になりました。そのため、議題の大部分では雇用も取り上げます。より良い仕事や将来必要とされる仕事を生み出すだけでなく、それらが生活できる賃金を支払う仕事となるよう、どうすればよいかを考えます。

ロビン・ポメロイ:しかし、問題は経済だけではありません。むしろ、もっと広範です。フォーラムの自然・気候センター長、ギム・フアイ・ネオの話を聞きましょう。

ギム・フアイ・ネオ:各産業、とりわけ脱炭素化が難しいセクターをめぐるパネル討論が行われます。海運、航空、トラック輸送、モビリティ関連セクター、素材、鉄鋼、アルミニウム、コンクリート、セメント、化学産業を指します。また、今日、排出の主要な発生源でもある農業も忘れてはなりません。

解決策や、投資して規模を拡大できる新技術を探るため、連携した対話を行います。そうすることで、移行のプロセスを実際に加速できます。

ロビン・ポメロイ:ダボス2022で予定されていることをさらに伺うため、世界経済フォーラム会長のボルゲ・ブレンデに話を聞きました。まず、「年次総会」とは何か、率直に尋ねました。

ボルゲ・ブレンデ:企業、政府、市民社会のリーダーが一堂に会する、最も重要な集まりです。2,500人の参加者が、世界を少しでも暮らしやすい場所にし、私たちが直面する最も差し迫った課題に対する解決策を見つけられるように取り組みます。

これほど分断された世界で、内紛も多く見られる状況では、もちろん難しさが増します。それでも、機会はまだあると分かっています。例えば、米国の気候担当特使ジョン・ケリー長官が、中国の気候担当特使である謝振華大臣と再び一堂に会するのは素晴らしいことです。両氏はCOP26で素晴らしい仕事をし、ぎりぎりのところで合意に至りました。全員が約束を実行すれば、少なくとも書面上は、今や1.5℃目標に向けた道筋にあります。

ロビン・ポメロイ:ダボス会合は伝統的に、いつも1月に開かれます。政策課題に関する世界的な議題を定める役割もあります。今回は5月ですが、どれほど違いが出ると思いますか。

ボルゲ・ブレンデ:過去50回のダボス会合と比べて今回の最大の違いは、数十年ぶりとなるほど地政学的、経済的な混乱が広がる時期に開催されることだと思います。

雪がないことも、もちろん雰囲気を多少変えるでしょう。しかし、世界は非常に困難な状況にあります。ウクライナでの戦争。世界の多くの地域では、春の時点ですでに前例のない熱波が発生し、インドでは摂氏50度近くに達しています。危機を脱したと思った矢先に、世界経済の回復は減速しています。パンデミックも、まだ収束したわけではありません。世界で最も人口の多い国である中国が直面している課題を見れば明らかです。

ダボス2022は異例の会合になりますが、主な理由は雪不足ではなく、差し迫った課題を解決するための国際協力が不足していることです。世界的な課題には世界的な解決策が必要ですが、そうした解決策は見えていません。ダボスではそこを前進させなければなりません。政府、企業、市民社会が限界を押し広げ、より包摂的で雇用を生み、持続可能な回復を実現し、気候変動対策を言葉だけでなく実行に移し、さらに、新たなパンデミックなど、ポストコロナの新たな課題に備えられるようにする必要があります。

ロビン・ポメロイ:今回の会合のテーマは「歴史の転換点」です。とりわけロシアによるウクライナ侵攻が背景にあるのでしょう。この紛争に対するフォーラムの立場と、今回の会合にロシアが何らかの代表を送るのかについて、少し教えてください。

ボルゲ・ブレンデ:今年のダボス会合にはロシア企業を参加させず、ロシアからの代表者も受け入れないと決めました。もちろん、この戦争の終結を望んでいますが、それは今やクレムリンとプーチン氏次第です。プーチン氏が戦争を始めました。過去に受け入れたウクライナの領土保全を改めて認めれば、終わらせることができます。ロシアは国連憲章上の義務にも立ち戻らなければなりません。拒否権を持つ国連安全保障理事会の常任理事国でありながら、現在それを順守していません。非常に、非常に残念です。それでも、ロシアが将来、別の道を選ぶことを願っています。ただ、残念ながら、短期的には楽観できません。

ロビン・ポメロイ:では会合の話に戻りましょう。会期は4日間で、数十、あるいは数百ものセッションがあり、非常に高いレベルの議論が行われます。開催数日前の今、見どころになりそうだと期待しているものを挙げられますか。

気候変動が一つ挙がりました。ジョン・ケリー氏が来て、米国と中国が再び気候変動について話し合います。経済やパンデミックなど、ほかに見どころになりそうなものはありますか。

ボルゲ・ブレンデ:ダボスの幕開けは、キーウから参加するゼレンスキー大統領との対話になります。

ロビン・ポメロイ:遠隔での参加ということですね?

ボルゲ・ブレンデ:はい、ビデオ中継です。その後、ウクライナの女性リーダー5人によるパネル討論を行います。国会議員や副首相、若いリーダーたちも参加します。

ウクライナの人々が今直面している残虐行為の数々と課題を考えると、このセッションはダボスの参加者全員にとって、非常に大きな意味を持つものになると本当に思います。

経済については、財務大臣と経済担当大臣が47人参加します。経済成長を維持できる対策で合意できることを願っています。経済成長がなければ新たな雇用は生まれません。また、包摂的なグリーン成長がなければ、多くの国が直面している格差の課題を解決する可能性もありません。グリーン成長がなければ、地球が燃え続ける状況も続くでしょう。

貿易と投資が回復しなければ、真の回復はないことも分かっています。貿易担当の大臣が30人近く参加し、ヌゴジ博士ンゴジ[オコンジョ=イウェアラ]氏と世界貿易機関(WTO)も加わります。関税が引き下げられ、今後、貿易がさらに開かれることを願っています。多くの開発途上国や新興経済国が、こうした保護主義的な姿勢によって深刻な打撃を受けているからです。

隣国を貧しくする政策を続けることはできません。隣国を繁栄させなければなりません。食品の輸出禁止がすべて終わるのを見届けることが、非常に重要です。禁止が続けば、最悪の事態が重なり、今年後半には深刻な食料危機に陥るでしょう。

ここにスタジオ入りする直前、例えば食用油の主要輸出国の一つであるインドネシアが、わずか1週間前に導入した輸出禁止を解除すると決めたと知り、とても喜びました。進むべき道はそれです。

ロビン・ポメロイ:これまで多くのダボス会合に参加されてきました。今お話しになったような課題について、多くの有力者が議論するこの会合が、実際に何らかの前進につながるとどれほど確信していますか。1、2週間後に、「ダボスであれが起きたから物事が前に進んでいる」と人々が言うようになるでしょうか。

ボルゲ・ブレンデ:週の終わりに明確な成果を得たいと思っています。これまでも常にそうできました。ネルソン・マンデラ氏は南アフリカ大統領としてダボスを訪れ、帰路につく際、南アフリカが投資を受け入れることもいかに重要か、より深く理解したと語りました。彼のリーダーシップは非常に重要でした。また、世界エイズ・結核・マラリア対策基金やGAVI(世界的なワクチン接種プログラム)も、ダボスで立ち上げられました。

今年は、各国がグラスゴーで表明した気候変動に関する立場と約束が、実際に確認される形でダボスを終えられることを願っています。また、貿易の切り離しを考えたり、新たな関税を導入したりするべきではないと合意できればと思います。双方に利益がある形を考えるべきです。さらに、「ウクライナのためのCEO」たちが、企業もウクライナの再建を支援すると約束できることを願っています。ウクライナのための世界的なマーシャル・プランは、非常に、非常に重要なものになるでしょう。

ロビン・ポメロイ:最後に、昨日の記者会見で、ある記者からこんな質問を受けていました。新型コロナウイルス感染症のため、ダボス2022が例年のように1月に開催できなかった後、今回は「いつものダボス」になるのでしょうか。かなり印象的な返答をされていたと思います。

ボルゲ・ブレンデ:私は、もはや「いつもどおりのビジネス」はないと答えました。世界が変わり、急速に、そして新たに変化し続けていることを、私たちは受け止めなければなりません。気候変動、格差、ウクライナでの戦争、食料危機、そしてプラスチックごみで満たされる海に対処するには、古いものではなく、新しいビジネスモデルが必要です。

考え方を変える必要があります。地球を大切にしなければなりません。人々を大切にしなければなりません。そして改めて、世界的な課題に対する世界的な解決策を見つけなければなりません。

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