IMFは2022年の世界経済成長率を4.4%と予測しているが、紛争と制裁の余波を受け、これらの予測は下方修正されつつある。
ダボス2022の「世界経済見通し」セッションでは、景気後退の可能性を含む世界経済が直面する主要課題について話し合うため、各界のリーダーが一堂に会した。
世界経済見通しパネル討論は5月23日月曜日、誰もが気にかけている問いから始まった。世界的な景気後退に向かっているのか。そうだとすれば、どの程度懸念すべきなのか?
新たな世界的景気後退の可能性を前に、見通しは暗さを増している
国際通貨基金(IMF)の専務理事、クリスタリナ・ゲオルギエワ氏は慎重な口調で話を始め、IMFの最新予測以降、「見通しは暗さを増した」と説明した。とりわけ懸念していたのは食料価格の急騰であり、手頃な価格で食料を入手できるかをめぐる世界各地の不安が「限界に達している」と述べた。ゲオルギエワ氏はさらに、気候危機への取り組みが停滞していることや、デジタル資産市場の低迷が見通しを一段と暗くしていると指摘した。
ゲオルギエワ氏は、パンデミックが起きる前からすでに弱体化しており、エネルギーと食料をロシアからの輸入に大きく依存する国々が景気後退に陥ることを深く懸念していた。しかし、「まだそのような事態は起きていない」と強調した。

「R」の言葉は使わないで
米国の景気後退への懸念について慎重な姿勢を示した、カーライル・グループの共同創業者兼共同会長デービッド・M・ルーベンスタイン氏は、カーター大統領政権下でホワイトハウスに勤務していた頃の逸話を紹介した。当時、インフレ担当顧問のアルフレッド・カーン氏は「『R』の言葉は使わないでくれ。人々を不安にさせる」と言われたという。そこで彼は、その言葉を「バナナ」に置き換えた。ルーベンスタイン氏はさらに、「兆候は私が望むほど良くないが……バナナになる可能性はそう遠くないかもしれない」と認めた。
欧州の現状と、それが景気後退につながるかを尋ねられたシティの最高経営責任者(CEO)、ジェーン・フレイザー氏は、「そうです」とだけ答えた。
「今は3つの言葉があります。ロシア、景気後退、そして金利です」。フレイザー氏は、欧州が直面する危機、すなわち続くサプライチェーンの問題とエネルギー危機を特に懸念していた。
フランス銀行総裁のフランソワ・ビルロワドガロー氏によると、ウクライナでの戦争は「悪い経済ニュース、成長の鈍化、インフレの加速」を必ずもたらすものだった。さらに、「インフレ率を2%に戻します。これは私たちの予測だけではありません。IMFを含むあらゆる予測を見てください」と述べた。
「インフレと成長の短期的なトレードオフという考えは、重要視しすぎないほうがよいでしょう」と彼は述べた。「短期的には、私たちの優先事項は明らかに……インフレとの闘いです。」
民主主義は機能する
ルーベンスタイン氏は前向きな言葉でセッションを締めくくり、現在の経済危機は、ドットコム・バブル、金融危機、パンデミックといった過去25年間の危機とはまったく違うものになるだろうと述べた。そして、「バナナがあるとしても、穏やかなバナナになるでしょう」と改めて語った。
フレイザー氏が伝えた主なメッセージは、長期的なレジリエンスと、気候変動への対処や医療(将来のパンデミックへの備え)に向けた強力な政府政策の重要性だった。さらに、ウクライナとパンデミックに対する世界の対応によって、民主主義は機能するというビルロワドガロー氏の強い信念が確固たるものになった。
最後にゲオルギエワ氏は、世界は想像を絶する危機を幾度も乗り越えてきたが、それでも私たちはレジリエンスを保っていると改めて述べた。次の段階では、教育、保健、社会保障に支えられた、しなやかな人々を育むことに重点を置く必要がある。
