グリーンサプライチェーン管理は、サプライチェーン全体のプロセスに環境に配慮した対策を取り入れます。
メーカーと共同で包装を設計することで、包装廃棄物を削減できます。
物流事業者は、使用済み製品に有意義な第二の活用機会を与えられるよう取り組むことができます。
電子商取引で買い物をした後、荷物が玄関先に届いたとき、それがどこから来たのか考える人はどれほどいるでしょうか。おそらく、あまり多くはないでしょう。その荷物が玄関に届くまでのあらゆる段階で生じたカーボンフットプリントについて考える人は、さらに少ないかもしれません。
物流プロセスの「ラストマイル」、つまり配送だけが私たちのカーボンフットプリントを増やすのではありません。製品が製造されてから私たちの手元に届くまで、プロセスのあらゆる段階が影響します。要するに、サプライチェーンは極めて炭素集約的ですが、幸い、その影響を和らげるためにできることがいくつかあります。まず何よりも重要なのが、グリーンサプライチェーン管理です。
グリーンサプライチェーン管理は、製品設計から調達、製品配送から使用後の廃棄に至るまで、サプライチェーン全体のプロセスに環境に配慮した対策を取り入れます。これを単独の事業者が実現することはできません。むしろ、グリーンサプライチェーン管理には、関係者が一体となって取り組み、サプライチェーンのあらゆる活動の持続可能性を高めることが求められます。
中国最大の小売企業であり、主要な物流事業者でもあるJD.comは、中国でグリーンサプライチェーン管理におけるエコシステム型の取り組みを先導しています。JDと、P&G、Nestle、Lego、Unilever、WWFなどのパートナーが2017年に共同で立ち上げた「Green Stream Initiative」のもと、サプライチェーン全体で複数の脱炭素化策が実施されてきました。責任ある消費、輸送、廃棄を確保するために講じられた具体的な取り組みは、次のとおりです。
1. 包装設計
一つの荷物について考えると、梱包を固定するために使うテープの量は取るに足らないように思えるかもしれません。しかし、2019年に中国の物流業界で流通した630億個の荷物となるとどうでしょうか。JDが4年前に行ったように、テープの幅を54mmから45mmに狭めるだけで、大きな違いが生まれます。荷物を適切に封かんできる量を保ちながら幅の狭いテープを採用したことで、テープの総使用量を15%以上削減できました。JDが扱う膨大な荷物の量を踏まえ、同社はテープを少なくとも年間1億メートル削減できると見積もっています。
この基準を導入したのはJDだけではありません。中国の物流業界のパートナー各社もこれに続いています。業界全体で包装の最小化をさらに促進するため、JDはパートナーと協力してグリーン包装基準のアライアンスとグリーン包装の研究開発センターを立ち上げました。いずれも業界初の取り組みであり、電子商取引・物流業界における環境配慮型包装への認識向上と標準化に貢献しています。
2. 調達
二次包装と廃棄物を最小限に抑えることは、サプライチェーンのエコシステムを構成する上流・下流のパートナーに共通する目標です。その解決策の一つは、一度きりの使用ではなく、エコシステム内で循環利用できる包装箱を使うことです。
同時に、上流のパートナーと緊密に連携し、メーカーと包装を共同設計したり、自社倉庫ではなくメーカーの施設内に包装作業を移したりすることで、一次包装をそのまま直送に使えるケースが増えています。これにより、業務効率が大幅に向上し、包装廃棄物も削減されます。私たちの支援のもと、消費財大手のP&Gは、中国での電子商取引業務のすべてにおいて、製品本来の包装を使った配送を全面的に採用しました。
3. 環境配慮型の倉庫運営
効率的な物流業務を支えているのは、大規模で高度に自動化された倉庫です。事業のニーズを満たしながら、大量の汚染を引き起こさずに倉庫へ電力を供給する方法は、重要な検討事項です。そのため、JDの上海にある「アジアNo.1」物流フルフィルメントセンターの倉庫屋上には、大規模な分散型太陽光発電システムが設置されました。高度に自動化された倉庫へ電力を供給するとともに、電力網にも接続しています。2030年までに発電設備の設置面積は2億平方メートルに達し、この種のクリーンエネルギー施設として最大規模になる見込みです。
さらに、自動化されたエリアの一部では、ロボットが暗闇でも稼働できるため、照明設備は必要ありません。倉庫の下にある雨水収集システムは、緑地の灌漑用水を蓄える貯水槽として機能します。倉庫内だけでなく、JDの配送ステーション(荷物を消費者に送る前の最後の集約拠点)でも、電子伝票を使用してペーパーレス化を進めており、大量の紙を節約しています。
4. 輸送
電気自動車を使えば、製品をある場所から別の場所へ運ぶことによる影響を抑え、サプライチェーンをさらに環境に配慮したものにできます。現在までにJDは、中国の50都市で自社運用の電気自動車を5,000台以上導入しています。国内各地には1,600基を超える充電端末が設置されています。ラストマイル配送では、多くの配達員が電動バイクを使用しており、CO2排出量と交通渋滞のさらなる削減に役立っています。
5. 製品配送
製品は、リサイクル可能な箱や保冷用のコールドチェーン容器で配送できます。これらは、包装、流通、配送の各段階で繰り返し使用できます。顧客の参加を促すため、箱のリサイクルプログラムに参加する顧客に、ポイントや割引を提供しています。
6. 使用後の製品管理
使用済み製品の流通を追跡し、多くの製品に有意義な第二の活用機会を与えるため、JDはデジタルプラットフォームと物流網を活用し、衣類、おもちゃ、本などの使用済み製品が新たな持ち主のもとへ届くようにしています。こうした製品の一部は慈善団体によって再利用され、一部は専門のリサイクル機関によってリサイクルされ、また一部は新たな製品へと再設計されます。
2019年後半、JDとコカ・コーラ中国は上海でリサイクルの共同試験事業を実施しました。JDの配達員チームは、消費者に荷物を届ける際、5万世帯から使用済みボトルを回収しました。回収したボトルのPET素材は、デザイナーによって配達員の制服やその他の生活用品に生まれ変わりました。この協業は、より多くの人々にリサイクルの価値を理解してもらい、ごみの分別、リサイクル、持続可能な消費など、日々の行動を促すことを目指しています。





