多くの人々は気候危機を認識していないと言われています。
インドで実施された新たな調査は、これが誤りであることを示唆しています。
環境に配慮した代替手段を提供することで、リーダーは人々をより持続可能な行動へと自然に導くことができます。
人類は、1世紀以上にわたり目覚ましい発展を遂げてきました。世界の平均寿命は、1900年の約30年から、現在では70年以上へと延びています。世界経済の規模も、1900年当時の約80倍に拡大しました。この間、生活を一変させる発明や発見が相次ぎました。あらゆる産業で飛躍的な変化が起こり、多くの新しい産業も生まれました。
しかし、この目覚ましい発展の道のりを歩む中で、私たちは天然資源を当然のものとみなしてきました。使いきれないほど天然資源が豊富にあり、都合の良いように暮らしても、清浄な水、清浄な空気、授粉、土壌の肥沃さといった生態系サービスは損なわれないと考えていたのです。新しい技術を取り入れる際も、その利便性を重んじるあまり、その結果生じる影響を軽視してきました。また、すべての人々を常に公正に扱ってきたわけではないことも明らかです。
その結果、現在の私たちは、1世紀前と比べて何倍も豊かになり、長寿を享受できる可能性も格段に高まりました。教育、雇用、そして娯楽の分野でも素晴らしい機会に恵まれています。それでも、過去の時代は今なお黄金色の輝きをもって語られることがあります。
人類が発明し利用してきた技術がもたらした意図せぬ結果として、大気汚染、水不足、海洋汚染、土壌の劣化、食品汚染などが挙げられます。私たちにエネルギーを与え、移動手段に革命をもたらした化石燃料は、今や悪役とみなされています。かつては驚異の素材とされたプラスチックも同様です。現代的なライフスタイルによって排出される炭素は、これまでにないほど急速に地球を温暖化させています。
国連環境計画(UNEP)の最新の排出ギャップ報告書によれば、温室効果ガスの排出量は2008年から2017年にかけて年平均1.6%増加しました。さらに、現行の政策が維持された場合、産業革命前の水準と比べて今世紀中に世界の気温は3.5°C上昇する見込みであると指摘しています。これは、科学者が地球上の人類にとって持続可能な水準と考えている1.5˚Cの上昇をはるかに上回るものです。
今こそ世界をリセットし、これまでとは異なる方法で行動する必要があることは明らかです。しかし、世界の一般の人々がこの問題を認識していないのではないか、また仮に認識していたとしても、気候に配慮したライフスタイルを取り入れようとしないのではないか、という懸念が残っています。
最近発表された報告書は、この通念を覆すものです。インド全土を対象とした調査は、2019年にマヒンドラ・グループの委託により実施されたもので、2020年後半に公表される予定です。調査によれば、インドの人々の5人に4人が、自らの行動が自然や気候変動に与える影響を認識しており、83%がカーポーリング、公共交通機関や電気自動車の利用といったライフスタイルの変更に「関心」を示し、70%が水資源の保全という環境問題について知っていると答えました。しかしながら、そうした認識や前向きな意向が実際の行動に結びついているとはいえません。ここ数年で、グリーン製品を購入し、より環境に配慮した生活を送ろうとする人は大幅に増加しましたが、グリーン製品の購入がどれほど増えたかを示す証拠はほとんどありません。
環境への関心や、持続可能性およびグリーン製品に対する全般的に前向きな姿勢があるにもかかわらず、回答者の4分の1しか、より環境に配慮した生活を送る助けとなる適切な代替手段を見つけられていません。回答者の88%は、手頃な価格の環境配慮型代替製品が不足していることが、日常生活でより環境に配慮することを妨げていると考えており、89%は、企業が代替ソリューションを提供してくれれば、気候変動への取り組みをより積極的に行えるだろうと考えています。この調査によれば、持続可能性にとって最大の障壁はもはや消費者の意識や態度ではなく、持続可能で、実行可能かつ手頃な価格の代替手段がどれだけ入手できるかにあります。このことこそが、持続可能性を今の世代にとって最大のビジネス機会にしているのです。
人々が低炭素型のライフスタイルを取り入れられるよう代替手段を提供するためには、再生可能エネルギーを利用できること、プラスチックの代替品があること、自然の光やエネルギー源を活用できるよう住宅が設計されていること、家電製品が省エネルギー型であること、電動モビリティの選択肢が豊富にあること、そして公共交通機関を利用できるよう都市が設計されていることが必要です。要するに、炭素集約型でない生活を送るためには、人々に代替手段が必要なのです。「代替主義」の追求こそが、気候問題の鍵となる解決策です。
しかし、代替主義とは、代替ソリューションが利用可能になったときにそれを採用することだけを指すのではありません。すでに利用可能な取り組みを採り入れることも含まれます。具体的には、照明が不要なときに消灯すること、水道を閉めること、節水型の水栓を使って無駄を防ぐこと、二段階洗浄式の便器を設置すること、衣類をクローゼットにしまい込むだけでなく実際に着用すること、古着をリサイクルすること、食べ物を無駄にしないこと、プラスチックの代替品を積極的に探して使用すること、家庭でごみを分別すること、公共の場所にごみを捨てないこと、可能な限り公共交通機関を利用すること、車の利用を減らすこと、可能な限り電気自動車を利用すること、などが含まれます。ご覧のとおり、私たち一人ひとりが今すぐできることは数多くあります。
だからといって、新たな低炭素ソリューションが不要だということではありません。柔軟性のある太陽光フィルム、高性能で低コストの電池、水素の簡便な利用方法、バイオ燃料、正味で環境に正の影響を与える建物、従来型プラスチックの代替品などは、今まさに実現を待っているソリューションのほんの一例です。調査は、人々が新たなソリューションを受け入れる準備ができていることを示しています。また、すでに利用可能なソリューションを採用するよう人々を後押しすることで、今すぐにでも勢いをつけることができます。そうすれば、1.5˚Cを下回るよう世界の平均気温上昇を抑えるために、食習慣の変更にまで踏み込む必要はないかもしれません。





