世界貿易は、地政学的な出来事やサプライチェーンの混乱によって大きな打撃を受けてきました。
現在、サプライチェーンのレジリエンスに対する懸念が高まっています。具体的には、一部の地域や分野が依存している供給がどの程度集中しているかという問題です。
世界の物品貿易のおよそ40%は、輸入経済が特定の製品の供給を3か国・地域以下に依存している貿易関係に基づいています。
私たちの世界は相互依存的です。物品、サービス、資本、人、データ、アイデアのグローバルな流れによって結びついていますが、過去3年間に、貿易やサプライチェーンにおける大きな混乱と変化する地政学的状況により、これらのつながりをより強靭なものにする方法について広範な議論が起こっています。
マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)の最近の調査では、自給自足に近い主要地域は世界に存在しない一方で、すべての分野、そして実際に生産工程のすべての段階において、ごく少数の地域に起源が集中している製品があることが明らかになりました。

相互依存がこうした集中の影響を受けると、課題が生じる可能性があります。この状況において、各経済の「集中の指紋」を十分に理解することは、その管理に向けた有用な出発点となります。
世界中の経済はグローバルな流れに依存しています。EUとアジア太平洋地域は、必要なエネルギーのそれぞれ50%と25%を輸入に頼っています。北米は、鉱物などの資源、卑金属や化学品などの中間財、電子機器などの最終製品まで、多様なニーズを輸入に依存しています。中東・北アフリカおよびサハラ以南アフリカは、必要とする農産物、特に穀物の約60%と20%をそれぞれ輸入しています。
数字で見る貿易の集中と世界貿易
この広範な相互依存の上に、広範な集中が重なっています。しかしどの程度であり、どこで起きているのでしょうか。同調査レポート「世界貿易における集中の複雑さ」では、MGIが130の経済圏で取引される6,000の製品と、2021年において合計800万以上の個別の貿易回廊を分析し、集中をめぐる議論の中で十分に認識されていない二つの側面に光を当てました。
1. 貿易関係における集中は広く見られます。
全体として、世界の物品貿易のおよそ40%は、輸入経済が特定の製品の供給を3か国・地域以下に依存している貿易関係に基づいています。さらに範囲を絞ると、輸入経済が特定の製品を2か国・地域以下に依存しているケースは、世界貿易の15%を占めています。こうした集中した貿易関係は、資源や食料の価値連鎖において特に顕著ですが、ノートパソコンのような複雑な最終製品から、ワイヤーセットのような中間財、小麦のような商品に至るまで、重要な製品の全分野に存在しています。
すべての経済が集中した貿易関係に関わっています。どの経済も、輸入額の少なくとも20%を3か国・地域以下から調達しており、少なくとも5%は2か国・地域以下からの調達です。
2. 集中は、世界的な供給者の不足よりも、経済固有の要因を反映していることが多いです。
集中の大半は、特定の製品について、個々の経済の輸入相手が比較的限られている場合に生じます。にもかかわらず、その製品は比較的多様な相手先から入手可能です。
3か国・地域以下の供給国に依存している世界貿易額の40%のうち、約4分の3がこうした「経済固有の集中」に当たります。こうした集中した関係は、代替供給者の不足によるものではなく、地理、消費者や企業の嗜好、優遇貿易協定、供給者の構造や関係など、さまざまな要因によって生じています。
例えば地理の場合、輸送コストや在庫保管コストがかかる製品では、近隣諸国が選好される可能性が高くなります。例えば、エジプトとトルコは歴史的に、小麦の80%以上を比較的近いウクライナとロシアから調達していました。一方、メキシコは小麦輸入の約90%を米国から調達しています。

ドイツや中国など、特にヨーロッパやアジアの製造業の価値連鎖に高度に統合された大規模な経済は、平均すると比較的集中度が低い傾向があります。とはいえ、これらの経済でも一部の集中した輸入に依存しています。例えば中国は、主に飼料として使われる大豆の需要の95%以上を米国とブラジルから調達しています。ドイツは歴史的に天然ガスの大半をノルドストリーム・パイプラインから調達しており、バルク抗生物質の80%以上をスイスから調達していました。
新興地域の小規模経済は、より広範な輸入品目にわたって集中した貿易関係を持つ傾向があります。その一因として、貿易量が比較的限られているため、そうした経済が複数の供給者を確保することが難しいこと、また貿易の多様化を支える国内インフラや制度が十分でない傾向があることが挙げられます。
意思決定者には集中の「地図」が必要
多国籍企業や政策立案者が、地政学的状況、ひいては国単位の集中がより重要となる時代において成長とレジリエンスのバランスを取ろうとする中、集中の地図は、集中がどこで、いつ自らにとって重要になるかを理解するのに役立つでしょう。
集中した貿易関係のすべてに対処する必要があるわけではありません。場合によっては、様子を見ることが最善の対応かもしれません。ただし、対策が適切な場合もあります。相互依存によるストレスを軽減する一つの方法は、官民パートナーシップに支えられたイノベーションです。米国エネルギー省は、電気自動車用バッテリー向けの低コバルト正極材の開発において、化学品およびバッテリーメーカーを支援してきました。これは、主にコンゴ民主共和国から産出されるコバルトへの集中した依存を緩和するためです。
あるいは、積極的な多角化が最善策となる場合もあります。過去10年間で、シンガポールは天然ガスの供給源を多様化し、海上市場へのアクセスを得るために液化天然ガス・ターミナルを建設しました。
「タンゴは二人で踊るもの」とはいえ、グローバルな交換の舞台では、視野を広げて、より多くの、あるいは異なる潜在的なパートナーを検討することが、勝利への道となるかもしれません。




