データプライバシーへの注目が金融市場を安定させる理由

Security on a mobile phone: Data privacy has demonstrated it has the power to move markets.
Data privacy has demonstrated it has the power to move markets.Image: Unsplash/Dan Nelson
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  • 最近の株式市場の下落は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ戦争の影響で説明されてきましたが、主要な原因の一つはデータプライバシーでした。

  • データプライバシーには市場を動かす力があることが示されています。多くの消費者は、デジタル広告のために追跡されることを快く思っていません。

  • リーダーはデータプライバシーとセキュリティに取り組み、他のグローバル企業課題と同様に、リスクと機会の両方をもたらし得ると認識する必要があります。

2022年の株式市場が厳しいスタートを切ったことは周知の事実です。S&PとNASDAQは、身がすくむような下落を記録しています。多くの識者がこう推測してきました。原因は新型コロナウイルス感染症なのか。ウクライナ戦争なのか。インフレへの懸念なのか。サプライチェーンの問題なのか。

どれもある程度は当てはまりますが、最近のテクノロジー株の下落を引き起こした単一の要因は、世界的な議論から抜け落ちていました。その未知数は、実はデータプライバシーです。

一般投資家の注目の的ではないものの、データプライバシーには市場を動かす力があることが明らかになっています。アプリの利用者に、オンライン広告のために追跡されることを望むかどうかを選ぶ権利が与えられると、85%が望まないと回答しました。

その結果、広告の効果は低下しました。プライバシーをめぐる動向を背景に、消費者が少しずつ拒否を続けたことで、世界の広告収入は数十億ドル減少しました。企業が四半期の業績予想を下回るなか、市場は急落しました。

データプライバシー規制の急増

消費者個人の行動だけが要因ではありません。過去5年間、立法者や規制当局は、個人データの収集とその利用方法に対する歯止めを次々と設けてきました。

2018年以前、この分野はほとんど規制されていませんでしたが、現在ではEU、中東・アフリカ(MEA)、アフリカ34か国、ブラジル、中国、オーストラリアに加え、カリフォルニア州と米国の他の4州を含む150の国・地域にデータ保護法があります。

世界各地の規制当局は、とりわけデジタル広告とデータセキュリティに注目してきました。米連邦取引委員会のリナ・カーン委員は最近、広告プロファイルを作成するために個人情報を収集する行為を「商業的監視」と非難しました。

米証券取引委員会は、役員や取締役にプライバシーとサイバーセキュリティに関する透明性を義務付ける新たな規則案を公表しました。またEUは、データ侵害について取締役会に刑事責任を課す新法(DORAと呼ばれる)を検討しています。ガートナーは、2023年までに世界人口の75%がプライバシー法の適用対象になると予測しています。

今後、リスクはさらに高まるでしょう。現在、世界では1日あたり2.5クインティリオン(100京)バイトのデータが生成されています(クインティリオンは、1の後に0が18個続く数です)。

データをめぐるセキュリティ上の問題も重大です。昨年、データ侵害による損失は世界経済に6.1兆ドルをもたらすと予測されました。データ侵害を一つの国にたとえるなら、米国、中国に次ぐ世界第3位の規模になります。

データプライバシーの影響はテクノロジー業界にとどまらない

パンデミックによって、あらゆる企業がデータ企業であること、そして市場で顕在化している問題がテクノロジー業界だけに限られないことが明らかになりました。デジタル広告の規模が大きい業界には、消費財、金融サービス、ヘルスケアがあります。

明るい兆しとして、データプライバシーは株価を下落させる一方で、押し上げることもできます。世界で最も収益性の高い企業は、データプライバシーをブランドの差別化要因にしています。データプライバシーとセキュリティをブランドの差別化要因とするテクノロジー企業2社の時価総額は、2.5兆ドルと2兆550億ドルです。

大手テクノロジー企業2社のCEOと社長は、今年の国際プライバシー専門家協会(IAPP)サミットで基調講演を行い、プライバシーをビジネス上の必須課題として位置づけるよう訴えました。

2022年に入ってから、収益性上位10社は、消費者のプライバシーとセキュリティを守るとの約束を公表しています。たとえば、ある大手多国籍小売企業は、責任あるデータ管理を約束し、ウェブサイトに「デジタル市民としての責任:データの倫理的利用とテクノロジーの責任ある活用」声明を掲載しています。

中国の国家電網は、ブロックチェーン技術の利用を発表しました。部門間のインフラを保護するためです。CVSは多くの他社とともに、データ&トラスト・アライアンスに加盟しています。同アライアンスは、アルゴリズムの偏りを防ぐため、責任あるデータと人工知能の実践の導入に取り組んでいます。

リーダーはデータプライバシーとセキュリティに取り組む必要がある

これらの例が示すように、解決は容易ではないものの、道筋は明快です。何事にも言えるように、鍵を握るのはリーダーシップです。この文脈で、役員や取締役は次の3点を認識する必要があります。

データプライバシーとセキュリティは、気候変動や社会的責任など、リスクとビジネス機会の両方をもたらす他のグローバル企業課題と同様に、取締役会レベルで重点的に扱う必要があります。企業と消費者の利益を促進するため、各国および国際的な法的枠組みは分断ではなく調和へと向かう必要があります。

民間セクターも政府も、この課題に単独では取り組めません。データプライバシーとセキュリティには、かつてない連携とリーダーシップが必要です。政府、消費者団体、産業界のリーダーが集まり、第4次産業革命を乗り切るための世界戦略を策定する、デジタル版ダボス会議が必要です。

最後に、ビジネスリーダーはデータをめぐる議論に関与し続ける必要があります。データはまさに最大の資産であり、株価が大きく変動する市場が示すように、株価を押し下げることも、過去最高値へ押し上げることもあります。

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