気候危機がすでに現実となっている今、取り組みは緩和と適応のどちらに重点を置くべきでしょうか。
世界経済フォーラムが主催した特別アジェンダ・ダイアログ「気候変動の地政経済学」は、持続可能な開発インパクト会合で、介入と調整を並行してどのように進められるかを検討しました。
この課題には、政策の最高レベルと現場の双方で、気候変動への適応と緩和を同時に進めるためのマクロとミクロ両面の取り組みが必要です。
世界の成人の半数以上が、気候変動はすでに自分たちの生活に「深刻な」影響を及ぼしていると答えています。最近の調査によると、27カ国で3分の1を超える人が、今後25年以内に気候変動によって住まいを追われると予想し、10人中7人が、今後10年以内に自国が深刻な影響を受けると見込んでいます。
世界経済フォーラムの自然・気候センター長兼マネージング・ディレクター、ジム・フアイ・ネオ氏は断言します。「私たちは気候危機のただ中にいます」と同氏は述べ、「世界中の人々がすでに今日その影響を感じ、明日の未来を案じています」。
世界の半分が、記録的な猛烈な暑さに見舞われた夏を終えました。観測史上最高の気温も記録されています。パキスタンでは壊滅的な洪水が発生し、北米と欧州では山火事が起き、今週はハリケーンがドミニカ共和国に甚大な被害をもたらしました。気候変動はすでに人々の暮らしを変え、サプライチェーンを混乱させ、健康を脅かし、世界経済を揺るがしています。
気候危機がすでに起きているのなら、取り組みは緩和(IPCCが「介入」と定義するもの)と、気候変動への適応(IPCCが「調整」と定義するもの)のどちらに重点を置くべきでしょうか。
IPCCは強調しています。「単独で十分な選択肢はない」と。各国のリーダーがニューヨークに集まり、国連総会が開催されるなか、世界経済フォーラムの特別アジェンダ・ダイアログ「気候変動の地政経済学」は、持続可能な開発インパクト会合において、介入と調整を並行して進める方法を検討し、抽象的な誓約を超えて包括的な行動に移る道筋を示しました。
メッセージは明確でした。気候変動への適応と緩和を同時に進めるには、マクロとミクロ両面の取り組みが必要です。とりわけ、最も大きな影響を受ける人々が十分に関与し、解決策を実現できるようにする必要があります。
エジプトの国際協力大臣、ラニア・アル=マシャト氏は「適応か緩和かを選ぶべきではありません」と述べました。また、解決策を見つけ、実行する鍵を握るのは「最前線」にいる人々だと、ベゾス・アース・ファンドの アンドリュー・スティア氏は付け加えました。
気候変動の緩和と適応について、そして気候分野で真の前進を遂げるために何が必要か、リーダー4人の見解を紹介します。
気候変動対策には「あらゆるステークホルダーの関与が必要」
ラニア・アル=マシャト氏、エジプト国際協力大臣
11月にCOP27を主催する準備を進めるエジプトについて、アル=マシャト氏は、国際社会、資金提供者、慈善団体、そして個人の責任がいずれも重要な役割を果たすとして、「あらゆるステークホルダーの関与」を促していくと説明しました。同氏の構想は、昨年グラスゴーで開かれたCOP26で民間セクターが示した力強い誓約を、「最も必要としている国々」に届く具体的な取り組みに変えることです。資金を途上国に振り向け直し、食料安全保障を優先すべきだと述べています。
「最前線にいる人々のための環境正義」
アンドリュー・スティア氏、ベゾス・アース・ファンド社長兼最高経営責任者
アンドリュー・スティア氏は「環境正義」について語りました。過去のような「技術官僚的なアプローチ」を避け、最前線にいる人々に解決策を届けることに注力すべきだと述べています。「最前線にいる人々がより強靱になり、適応できるよう、資源を提供する必要があります」。さらに、気候変動の影響を受ける「まさに同じ人々が、解決策の源でもある」と強調しました。
同氏は、従来とは異なる取り組みを行い、既存の仕組みを変えようとする新世代のリーダーたちの意欲に期待を示し、公正さと気候を中心に据える重要性を改めて強調しました。
「農業のやり方を変える」
スヴェイン・トーレ・ホルセザー氏、ヤラ・インターナショナルASA社長兼最高経営責任者
ホルセザー氏は、現在の食料危機を深刻化させた戦争やパンデミックの衝撃がなくとも、気候変動によって食料システムは弱体化しているとの見解を示しました。「気候変動に農家ほど脆弱な人々はいません」が、温室効果ガスの31%は農業に由来するため、農家は解決策を見つける鍵も握っていると述べています。最近の気候事象を受け、生産性を懸念する一方、短期的には産品を流通させる必要があり、長期的には「農業のやり方を変える必要がある」と考えています。
「企業から政府までを包摂する包括的なアプローチ」
ヴィッレ・スキンナリ氏、フィンランド外務省開発協力・外国貿易担当大臣
気候変動対策の解決策を進めるには、デジタル化された戦略的アプローチが重要です。地域レベルで包括的かつ包摂的であることも、緩和と適応に焦点を当てた計画の鍵になると、ヴィッレ・スキンナリ氏は述べました。





