経済と社会が混乱した3年間を経て、私たちは急激な変化と構造的課題に規定される新たな事業の時代に入ったのかもしれません。
絶えず激動する環境で成功するのは、新たな成長機会を開拓し、新規事業を創出する企業です。
あらゆる分野に新規事業創出の機が熟しており、イノベーションを原動力とし、知見に裏打ちされた企業が最も成功する可能性が高いでしょう。
不安定な時期には、多くの組織が事業を縮小し、コストを削減するなどして、予測不能な経済状況を乗り切ろうとします。経済と社会が絶えず混乱した過去3年間を踏まえると、私たちは新たな事業の時代に入ったのかもしれません。新たな事業の時代は急激な変化と構造的課題に規定されています。この新たな環境では、効率化策だけでは企業の存続や成長を支えられません。
絶えず激動する環境で成功するのは、大胆に新たな成長機会を開拓し、創出する企業です。勝者となるのは、「ここまで成功した方法が、次の成功につながるとは限らない」という言葉を知り(マーシャル・ゴールドスミスに感謝します)、実際に次の段階へ進むために自社を活用し、変革する企業でしょう。新たな事業の立ち上げに成功した既存企業は、競合を飛び越え、未来を形づくる機会を得られます。マーシャル・ゴールドスミス)実際に次の段階へ進むために自社を活用し、変革する企業でしょう。新たな事業の立ち上げに成功した既存企業は、競合を飛び越え、未来を形づくる機会を得られます。
大胆なアプローチがもたらす恩恵は大きく、特に大手既存企業では、新規事業創出によって2027年までに得られる可能性のある売上高が30兆ドルに達する可能性があります。また、この種の起業家的取り組みを優先する企業は、市場平均を10%超える成長を遂げる可能性が約3倍高くなります。
迅速かつ頻繁に:新規事業創出の合言葉
レジリエンスの高い組織は、混乱に直面しても俊敏性、スピード、イノベーションを重視します。予想外の課題が数年にわたって続くなか、企業業績の格差は拡大し続けています。
差を縮めるため、一部のグローバル企業のリーダーは、2~5年前と比べて年間に創出する新規事業を50%増やしたと報告しています。この頻度の上昇は、COVID-19パンデミックの始まり以降、デジタル製品・サービスの市場投入が急加速したことにも表れています。
組織は新規事業を創出するほど、その取り組みに習熟します。マッキンゼーの調査によると、事業創出を繰り返す企業は、投資額の5倍以上の高いリターンを生み出す可能性が2倍に上ります。2022年に調査対象となったCEOの10人中8人が新規事業創出を最優先課題に挙げたのも、驚くことではありません。
さらに、変動が激しく急速に変化する市場での損失を補うため、新規事業創出による売上への期待はかつてないほど高まっています。高まる需要に応えるには、組織は現在の事業創出ペースを2倍以上に引き上げる必要があります。
新規事業創出から価値を実現する
推計では、2021年に大手既存企業が新規事業に投じた資金は8,000億ドルを超え、その額は増加傾向にあります。調査対象となった企業リーダーの63%が、新規事業創出への投資を増やす意向を示しています。
不安定な時期にCEOが投資先や投資方法をどう決め、どのような支援モデルを導入するかが、組織の成功の可能性を左右します。
新規事業創出に取り組むCEOが注力すべき5つの領域を挙げます。
既存の強みを生かす。起業家精神と事業創出の能力を高めるため、既存組織は規模、ブランド、データ、顧客基盤などの優位性に注力すべきです。既存の資産を使って仮説を迅速に検証し、実践を通じて学ぶことで、急速に変化する状況に応じて方向転換するために必要なスピードと俊敏性を得られます。
サステナビリティ分野で事業を展開する。あらゆる分野がネットゼロの実現に向けて変革する必要があります。産業の力学は新たな市場を切り開く一方、既存市場を一変させます。グリーンビジネスの創出に大胆に打って出ることが、勝者と、かろうじて生き残る企業とを分けるでしょう。すでに調査対象組織の約3分の1が、今後5年間にサステナビリティに重点を置く事業を立ち上げる計画です。
レジリエンスを高める事業に取り組む。景気循環と逆方向に動き、必要な資源が少ない事業は、需要の価格弾力性が比較的小さく、成長している市場や顧客を対象とするため、既存企業が景気変動を乗り越える助けとなり、財務上のセーフティーネットにもなります。短期的な逆風が少ない事業機会を見極めることも、実を結ぶ可能性があります。たとえば、サプライチェーンの混乱の影響を受けにくい循環型ビジネスモデルを探ることです。
テクノロジー事業を、より多く、より大規模に立ち上げる。業績上位の企業は、テクノロジーへの投資を強化する傾向があります。マッキンゼーの最近の調査では、企業リーダーは、データ、アナリティクス、デジタルプラットフォームが新規事業の次の波になると回答しています。これを裏付ける別の最近の調査では、世界の企業における人工知能(AI)の導入が2017年以降大幅に増え、20%から50%に達したこと、また企業の63%が今後3年間にAIへの投資が増えると見込んでいることが示されました。
外部資金の活用を検討する。新規事業創出の資金源として最も一般的なのは社内予算ですが、外部資金の活用も見られます。たとえば、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ、助成金などです。興味深いことに、規模や成長について組織の期待を満たした、あるいは上回ったと回答した新規事業の回答者は、外部資金を受けている可能性が高くなっています。外部資金の利点には、資金そのものとは別のものもあります。ベンチャーキャピタル企業は、より高い規律と資源効率を促し、場合によっては中核事業からの切り離しを後押しできます。これらはいずれも、企業内起業の成功に欠かせません。
近年の社会的・経済的困難により、多くの組織がつまずき、さらには失敗しました。事業が本当に新たな時代に入るとすれば、安定状態が時代遅れとなり、競争優位を求めて絶えず動き続ける環境に置き換わるでしょう。そのなかで、レジリエンスの高い企業は大きな優位を保つことになります。
世界経済フォーラムは、より効率的で、レジリエンスが高く、包摂的かつ公平な金融システムの実現にどのように貢献しているのでしょうか。
金融・通貨システムセンターは、サステナビリティやレジリエンスからイノベーション、デジタル化まで、世界の金融システム全体にわたる変革への理解を深めるため、リーダーたちを招集します。
協力と知見の共有を促すことで、同センターはパートナーが金融システムを長期的な経済の安定と共通の繁栄に結びつける支援をします。
イノベーションを原動力とし、知見に裏打ちされた企業は、新規事業創出において、より迅速かつ大胆に、より頻繁に行動し、その結果、より大きな価値を実現する可能性が高いでしょう。あらゆる分野に新規事業の機が熟しています。今こそ事業を創出するときです。








