米国では中小企業の実に70%が売却できずにいます。その結果、地域社会は活気ある企業と雇用を失いつつあります。
Teamsharesは、中小企業が従業員所有になるための仕組みを提供しています。これにより、二度と売却される必要のない持続可能な企業が生まれ、より大きな富の公平性につながります。
世界経済フォーラムの「新たなチャンピオン年次総会」の一環として、Teamsharesの共同創業者であるマイケル・サザーランド・ブラウンは、中小企業の廃業を防ぐことの社会的影響と、従業員所有企業のメリットについて世界経済フォーラムに語りました。
マイケル・サザーランド・ブラウンは、Teamsharesを、元同僚のアレックス・ユーおよびケビン・シイバとともに2018年に共同創業しました。ウォール街での合併・買収に関する長年の経験と、自ら中小企業を経営してきた経験を経て、ブラウンは従業員所有モデルの前向きな効果を米国全土に広げることを決意しました。そして、これまでに得た知見を活用し、中小企業が抱える根深い問題、すなわち70%が売却できないという問題の解決に取り組むことにしたのです。
買い手が見つからず中小企業が廃業を余儀なくされると、従業員の収入が失われ、地域社会にも大きな穴が開くことになります。中小企業は国の雇用の土台であると言っても過言ではありません。米国では全労働者の半数を雇用し、同国の経済の44%を担っています。
Teamsharesは、まもなく引退を迎えるオーナーから中小企業を買い取り、従業員所有の事業体へと転換しています。従業員は事業に継続して勤めることで株式を得られ、事業の成功から直接的な利益を受け取ります。
開催に先立ち第14回「新たなチャンピオン年次総会」を前に、ブラウンは世界経済フォーラムに対し、従業員所有企業を増やすことの社会的影響や、不必要な廃業から中小企業を守ることの意義について語りました。
本インタビューは、長さと分かりやすさを考慮して編集されています。
世界経済フォーラムが中国で開催する会議であるAMNCとは何ですか。
Teamsharesの設立を決断し、実際に始動させた瞬間を覚えていますか。
はい、覚えています。2018年12月18日の午後10時のことでした。Slackでの約10分間のやり取りがきっかけとなり、Teamsharesの基盤が生まれました。決して格好の良い話ではありませんが、実際にはそのように始まったのです。後世のために、そのチャットのPDF版も保存しています。
その瞬間に至るまで、私たちは約5年間にわたり、中小企業の買収、再生、運営という泥臭く汗まみれの仕事に取り組んできました。価値あるものを築きたいという強い思いはありましたが、うまくいきませんでした。そんなとき、社会的影響の余地を持つ非常に優れた事業モデルを基本的に思いついたのだと気づく閃きがありました。その鍵となるのが株式の保有でした。私たちにとって、それは非常にわくわくする発見でした。
私たちは、残りのキャリアをともに歩みたいと考えており、「できるかぎり大きな会社を作ってしまおう」と思いました。そこで、Teamsharesの規模が大きくなればなるほど、中小企業の従業員オーナーに対する私たちの経済的影響も大きくなるという前提のもと、企業の成長を加速させるためにベンチャーキャピタルの資金調達に乗り出しました。
なぜTeamsharesは必要なのでしょうか。なぜ売却に至る中小企業はこれほど少ないのでしょうか。
かつて中小企業が売りに出されることは、ほとんどありませんでした。歴史的には、オーナーの子どもたちが事業を引き継ぐのが一般的でしたが、近年はそうしたケースも少なくなっています。
見方によって異なりますが、米国には従業員を抱える中小企業が約200万~300万社あり、そのオーナーは現在57~75歳のベビーブーマー世代です。しかし、買い手は200万~300万人もいないのが現状です。
日本ではこの問題がさらに深刻で、オーナーの年齢は70代から80代に及びます。50歳未満のオーナーが所有する企業は20%未満です。
引退を考えるオーナーにとって事業を売却する簡単な方法がないため、二つのことが起こります。第一に、オーナーは望む以上に長く事業を続けがちになります。第二に、事業を売却することの複雑さから、機能しており収益性のある事業が廃業に追い込まれるリスクが高くなります。その結果、雇用が失われ、地域社会はサービスを失い、地域経済にとって打撃となります。
これまでに、貴社の事業は米国でどのような社会的影響をもたらしてきましたか。
過去2年間で、引退するオーナーから82社を買収してきました。7月中には85社に達する見込みです。このうち、Teamsharesの取り組みにより、現在米国内では2,100人が従業員オーナーとなっており、累計で2,700万ドルの株式価値が蓄積されています。
私たちは、多くの人々を幸せにし、誇りを持ってもらうこともできました。
私たちの取り組みが人々の生活に与えている影響を、私が本当に実感するようになった瞬間があります。私たちは「オープンブック」型の経営会議を開催しており、財務状況を公開し、従業員に事業の仕組みを示しています。その後、会社に入ったばかりの若い電気技師が私のもとに来て、そうした取り組みに感謝してくれました。「私は単なる電気技師以上の存在だと感じられるようになりました」と彼は私に話してくれました。
私たちが従業員のためにしていることは、株式を発行することにとどまりません。金融リテラシーを身につける機会を提供し、雇用について異なる見方を示し、中小企業を何世代にもわたって存続させています。
オーナーは、その遺産を残したまま引退することができます。従業員は、事業を率いて恩恵を受けることで力を得ています。地域社会には、雇用を生み出し地域経済を支え続ける事業が引き続き残ります。これは、まさに「三方よし」です。
新たなチャンピオンのコミュニティは、より広範な成果の達成にどのように役立つとお考えですか。
世界経済フォーラムと関わることができ、非常に嬉しく思っています。特に、中小企業との連携を育む世界的なコミュニティの一員になりたいと考えているからです。ネットワークを築き、学び、私たちの知見を共有する素晴らしい機会でもあり、このコミュニティが社会にもたらしている前向きな影響を加速させるという最終目標にもつながります。







