イノベーションは、社会の将来の幸福を支え、経済成長を促進するうえで極めて重要です。
世界経済フォーラムのテクノロジー・パイオニア・コミュニティは、新たなテクノロジーやイノベーションの設計、開発、導入に携わる、世界各地の創業初期から成長段階にある企業で構成されています。
毎年、フォーラムは新たな一群のテクノロジー・パイオニアを選出し、フォーラムの取り組み、活動、イベントに参加してもらいます。
イノベーションは、社会の将来の幸福を支え、経済成長を促進するうえで極めて重要であり、どちらも世界経済フォーラムの主要な優先分野です。この二つの柱を支えるため、フォーラムは2000年にテクノロジー・パイオニア・コミュニティを立ち上げました。
このコミュニティは、新たなテクノロジーやイノベーションの設計、開発、導入に携わり、ビジネスと社会に大きな影響を与えることが期待される、世界各地の創業初期から成長段階にある企業で構成されています。
このプログラムは、次世代のイノベーターに世界的な課題の解決に向けた発言の場を提供し、将来のトレンドの探究に貢献する機会を与えることを目指しています。毎年、フォーラムは新たな一群のテクノロジー・パイオニアを選出し、フォーラムの取り組み、活動、イベントに参加してもらいます。
私たちは2022年の選出企業に、今後5年間でテクノロジーが世界をどう変えるかについて見解を尋ねました。Web3や量子技術などの先端技術の成熟から、柔軟な電力網の運用、オンデマンド製造まで、近い将来についての予測をご紹介します。
「従来の金融機関から顧みられなかった人々も、融資を受けられるようになる」
創業者兼最高経営責任者、マダブ・クリシュナ、Vahan
世界中でインターネットの普及が急速に進み、デジタル労働市場やプラットフォームが広がるなか、「ギグワーク」が主流の働き方になろうとしています。この変化は、途上国の労働人口の通常80%以上を占める、低技能労働者やブルーカラー労働者にとって大きな意味を持ちます。電子商取引、食品配達、ライドシェア、物流などのインターネット・プラットフォームは参入障壁が低く、低技能の人々に十分な雇用がない国々で、多くの収入機会を生み出しています。労働者は複数のプラットフォームを同時に利用し、収入を最大化できます。やがてデジタル労働市場は、金融サービスを商品に組み込み、従来の金融機関から顧みられなかった多くの人々が融資を受けられるようにするでしょう。時間の経過とともに、テクノロジーは、人々が関連知識を身につけなくても、経済的な安定と規律を実現できるようにします。AIや機械学習を活用したアドバイザーがどこにでも存在するようになり、次のギグ、投資、オンライン講座を常に提案して、成長と経済的な豊かさを真に民主化するでしょう。

「Web3技術が商取引の世界に革命をもたらす」
共同創業者、ジャスティン・バノン、Boson Protocol
2025年までに、Web3技術は、Web2が情報へのアクセスを変えたのとほぼ同じように、商取引の世界に革命をもたらすでしょう。物理的な「モノ」とデジタルな「モノ」(フィジタル?)が、開かれた流動性の高いデジタル市場に出品され、取引されるようになります。インターネットの黎明期には、情報の大半は独自のオンライン・ネットワーク内に分断されていました。しかし、配信の限界費用がゼロであることと消費者の需要が相まって、今日私たちが利用する、単一で検索可能なオープンな情報インターネットが生まれました。商取引がこの変化を遂げるまでに時間がかかったのは当然です。物理資産の交換では、取引相手のリスク管理、紛争の仲裁、決済の確実な実行が必要となり、信頼が求められます。その信頼は、信頼できる仲介者か売り手に委ねられます。その結果、電子商取引の取引は数多くある閉鎖的な独自システムのいずれかに分断されています。Web3技術の登場により、スマートコントラクトによる決済の自動化と、物理資産の商取引をNFTなどの共通規格に基づいてトークン化することが可能になります。分散型金融の「マネー・レゴ」アプリケーションが従来の金融をアンバンドルし始めたのと同様に、分散型の「コマース・レゴ」プロトコルやアプリケーションのエコシステムが発展し、誰もが自ら生み出す価値を分かち合える、モノのためのオープンな市場をつくるでしょう。

「データ産業はより包摂的で手頃なものになる」
最高経営責任者、クリスティン・チー、Databento
宇宙や私たち自身に関する情報、つまりデータの量は、過去10年間で指数関数的に増加しました。しかし、急激な増加にはさまざまな問題が伴います。データのプライバシー、管理、アクセス、費用負担のしやすさは、市民と指導者双方の間で大きな議論を呼ぶテーマです。自分のデータを所有しているのは誰なのか。携帯電話に監視されているのか。企業はデータからいくら稼いでいるのか。企業が、私たちが料金を払っているかどうか、また許可の有無にかかわらずデータを収集し続けるなか、こうした疑問はますます切実になっています。金融などの業界にも問題は残っています。なぜ市場データに大金を払わなければならないのでしょうか。今後数年間、政府が認める限り、スタートアップの参入に伴ってデータ産業のテクノロジーはより包摂的で手頃なものになるでしょう。

「これからは、人間の体験に焦点を当てる」
共同創業者兼共同最高経営責任者、アイザック・カストロ、Emerge
2027年には、今日のデジタル上の交流を、現在の炭素排出を見るのと同じように振り返ることになるでしょう。ソーシャルメディアは、人間を中心に据えずに設計されたテクノロジーの危険性と、メンタルヘルスや心の健やかさへの有害な影響を明らかにしました。10年前、私たちは交流から人間らしさ、親密さ、深み、共感を失いました。大衆への影響力ではなく、真の対話を。互いの距離が近くなったと感じられる交流を。これからは、人間の体験に焦点を当てるでしょう。メタバースへの移行は、技術的なものではなく、社会学的なパラダイムシフトとなります。メタバースは、仮想現実や拡張現実、ブレイン・コンピューター・インターフェースなどの技術によって可能になる、感情の伝達を通じて形づくられます。新たなハードウェア、プラットフォーム、分野、感覚が登場するでしょう。仮想世界で社会契約を再定義し、感情、信頼、安全を最も重要な通貨とします。人間を中心に据えるため、プラットフォーム体験を分散化します。海の向こうから娘を優しくなでることができるでしょう。亡くなった祖母の手を握ることもできるでしょう。そうしたかけがえのない瞬間を大切にします。他者との交流の中心には、人間としての体験が据えられるでしょう。

「バッテリー駆動の建設機械が、持続可能性への取り組みを支える」
共同創業者兼最高経営責任者、ブランドン・ン、Ampd Energy
建設業界は世界のCO2排出量のほぼ40%を占め、その多くは都市化によるものです。建設プロジェクトでは今も化石燃料が使われ、年間約5億トンのCO2が排出されています。化石燃料の使用による騒音や排気ガスも、労働者の健康と地域の大気質に悪影響を及ぼします。こうした状況は急速に変化しています。業界では、建設現場向けに調整された蓄電システム(ESS)の導入が進んでおり、炭素排出量を80%削減します。残る20%は、ESSの充電に使う電力に由来する炭素排出量です。移動式建設機械の電動化も、商用化に向けて大きく前進しています。これらはすべて、リチウムイオン電池技術の進歩によって実現しています。将来を見据えると、週単位、月単位、あるいはそれ以上の間隔で充電すればよい長時間型ESSによって、現場外で太陽光発電所や風力発電所から充電することが現実味を帯びます。長時間型ESSに適した技術基盤はまだ模索されていますが、フロー電池、リチウムイオン以外の非フロー電池、重力利用型ESS、熱利用型ESS、水素など、選択肢は複数あります。そして、いずれかの方式が、あるいは複数の方式が有力になるでしょう。つまり、都市の建設方法の未来には大きな可能性が満ちています。

「建物は人々の健康と快適さを支えるため、状況に応じて柔軟に対応・調整するようになる」
共同社長兼共同創業者、フランソワ・アマン、Akila
人生の90%は屋内で過ごされ、炭素排出量の50%は建物によるものです。その影響は計り知れず、人々と地球にとってより良い結果をもたらすために活用できる建物データの量も膨大です。今日、費用対効果が高まるセンサーや制御装置を通じて、建物のスマート化と自動化が進んでいます。適切に接続されたスマートビルは、機器の状態、空間の利用状況、天候などの変化に反応し、AIを使って最適な効果が得られるよう調整できます。 建物のシステムの大半は今も手動で制御されていますが、今後数年でこの現状は一変するでしょう。建物は人々の健康と快適さを支えるために柔軟に対応・調整し、炭素排出量を最小限に抑え、建物同士の相互運用性を備えることで、建築環境における真のメタバース活用を可能にします。この変化を促すのは、建設業界の根本的な変革、設計から建設、運用に至る建物のライフサイクル全体で価値を評価し最適化する新たな方法を可能にする重要なツールとしてのデジタルツインと5G/6G技術の登場、そしてエネルギーが資産ポートフォリオ保有者にとって直接的なコストであるだけでなく、新たな規制やESGの枠組みに対応できない企業にとっては負債にもなるという認識の広がりです。

「電力網の柔軟性が化石燃料を段階的に廃止し、クリーンエネルギーへの移行を加速させる」
共同創業者兼最高経営責任者、トーマス・フォルカー、Leap
クリーンエネルギーの未来に向かううえで差し迫った課題の一つは、電力網の柔軟性、すなわちエネルギーの供給と需要の間でより動的な連携を実現することです。風力や太陽光など、発電量が変動する再生可能エネルギー源を電源構成に取り入れるなかで、電力網が常に需要を満たせるよう、負荷を柔軟に調整することが不可欠です。2025年までに、デジタル化、脱炭素化、資源効率化を大幅に進める未来を切り開くのは、市場主導型のソフトウェア・ソリューションです。これにより、EV充電器やヒートポンプなどのスマートエネルギー技術が、対象地域の電力網のリアルタイムの要件に応じて稼働し、資産所有者の収益を最適化しながら、最も必要とされるときに電力網を支援できます。こうした分散型エネルギー資源を統合すれば、汚染をもたらす化石燃料式のピーク発電所を段階的に廃止するために必要な柔軟性を全体として提供し、クリーンエネルギーへの移行を加速させることができます。

「人々はより栄養価の高い食べ物を食べるようになる」
最高経営責任者兼共同創業者、エドウィン・O・ロジャース、Bonumose
栄養価が高くおいしい食べ物は、富裕層にも貧困層にも等しく手に入るべきですが、現実と理想の間にはあまりにも大きな隔たりがあります。しかし、資本主義や利益追求そのものに、その隔たりを必然とする要因はありません。明るい兆しが見えています。健康的な砂糖や塩の代替品をつくる新たな加工法などのおかげで、良質な食品は誰もが手にできる身近な選択肢になるでしょう。人々は、場合によっては気づかないまま、より栄養価の高い食べ物を食べるようになります。価格と味が、より健康的でない従来型の食品と同等になるからです。理想的な場合には、高果糖コーンシロップなど、問題のある食品原料の生産設備が、健康的な代替品の生産に転用されるでしょう。最後に、好循環のなかで、食生活に関連する医療費が世界的に減少すれば食品価格の低下につながり、健康に関わる苦しみが世界的に和らげば、人々は人類と地球に役立つ革新的な取り組みに力を注げるようになります。

「中央銀行デジタル通貨が金融システムに革命をもたらす」
創業者兼最高経営責任者、インガ・マリンズ、Fluency
国の法定通貨を、政府の金融当局または中央銀行が直接発行する新たなデジタル形式の通貨は、今後3~5年間で最も大きな破壊的影響をもたらすものの一つになると予測されています。これは中央銀行デジタル通貨(CBDC)と呼ばれます。ブロックチェーン技術を基盤とするCBDCは、金融システムに革命をもたらす可能性があり、低価格で利用しやすい金融サービスへのアクセスを提供することで、金融包摂を進め、世界中の何十億人もの暮らしを改善する道を開きます。その設計により、適切に構築されたCBDCは、オフライン決済、秘匿された送金、プログラム可能性のレイヤー全体にわたる自動化を支え、現金に似た特性を備えることができます。これらすべての機能を組み合わせることで、現金に代わるデジタルな選択肢を提供し、遠隔地でも自分のお金を利用しやすくし、現在銀行口座を持たない人々にも選択肢を提供するため、利用者の金融包摂が促進されます。革新的な決済プラットフォームは、CBDCの構築に向けた入口となり、従来の銀行と代替金融の双方を含む既存の決済ネットワークとの連携を可能にします。銀行や発行体は、既存のインフラを統合し、CBDCに関連する幅広い決済サービスを提供できるようになります。また、クロスチェーン相互運用プロトコルを活用して、各国のデジタル通貨、ステーブルコイン、NFT、メタバースなどに普遍的にアクセスできる決済を実現します。

「サプライチェーン・インテリジェンスが食料危機を解決する」
最高経営責任者、ジュリー・ガーデマン、Everstream
数十年にわたる気候変動の加速、世界的なパンデミック、紛争、そして分断されたサプライチェーンが食料の生産と流通に影響を及ぼし、世界の食料危機を壊滅的な水準にまで悪化させました。2027年までに、大手の食品・飲料・消費財メーカーは、AIを活用したサプライチェーン技術を使って将来の混乱を予測し、天候や労働問題、その他の事態が世界の食料供給に打撃を与える前に行動するようになるでしょう。企業は、将来の気象現象がサプライヤーにどう影響するかを示す高度な分析結果を得て、代替先を見つける十分な時間を確保できるため、緊急対応計画が必要になることは大幅に減ります。企業は商品の供給可能性の急増を予測し、調達方法を変え、商品を再配合して、店頭の在庫を維持するでしょう。メーカーや輸送業者が異常気象、労働問題、その他の停滞をかなり前に察知できるため、輸送中の食品の腐敗や廃棄はもはや問題ではなくなります。最も食料を必要としている遠隔地への配送も、港や道路の閉鎖によって遅れることはなくなるでしょう。サプライチェーンの予測技術によって企業は事後対応から先回りした行動へと移行し、世界中の店舗の棚に商品を並べ、食料を届け続けられるようになります。

「AIが教育の考え方を一新する」
共同創業者兼最高経営責任者、アスデ・アルティンタシュ、Twin Science
従来の教育制度は、産業革命のニーズに応えるために約200年前に考案されたもので、今日の社会では機能していません。今日、世界が抱えるニーズは国連の持続可能な開発目標にまとめられています。一方、そうしたニーズに応える21世紀型スキルは世界経済フォーラムが提示しています。若い世代はすでに、世界最大の課題の解決策を共につくり、より思いやりのある世界を実現したいと望んでいます。テクノロジーの進歩は、すべての子どもがこうした課題を解決し、より良い未来を築くためのスキルや能力を伸ばす大きな機会です。AIは子ども自身の関心を把握し、学びの道筋における次の段階を提案するために活用されます。また、AIは保護者や教師に洞察を提供し、子どもたちのメンターとなることを後押しします。インターネットはすでに子どもたちを各分野の優れた専門家とつなぎ、教育の質を高め、不平等を減らしています。すべての子どもが、費用を抑えてアイデアを考え、試作品をつくり、テストし、改良できるようになります。こうして子どもたちはイノベーションを起こし、世界の幸福を高めていくでしょう。

「テクノロジーは最も優れた人材に最高の機会をもたらす」
最高経営責任者兼創業者、プロッジャル・ガタク、Onloop
過去2年間で目まぐるしい変化を遂げた分野があるとすれば、それは職場です。ナレッジワーカーにとって、オフィス勤務は何十年も標準的な働き方でしたが、パンデミック以前は全面的に見直す必要性がありませんでした。パンデミックによって徹底的な検証を迫られ、生産性は横ばい、あるいは向上したものの、組織文化のつながりの喪失や、不安、疲労、無気力、燃え尽きの増加も感じられる影響でした。変化の速い状況では、それぞれの要因を個別に分析することは困難です。また、パンデミックは、企業の人材環境を恒久的にグローバルかつハイブリッドなものへと変えるのに十分な長さで続きました。つまり企業は、現実的な方法で世界の人材市場を活用することを、今こそ真剣に考えられます。あえて挑発的に言えば、テクノロジーは真の平等化をもたらすでしょう。居住地にかかわらず、最も優れた人材に最高の機会を届けることで、10億人のナレッジワーカーが持つ潜在能力を真に解き放ちます。

「先進的な製造技術とファッションテクノロジーがアパレル業界をデジタル変革する」
最高経営責任者、マシュー・ウォレス、DXM
地域に根ざしたオンデマンド製造で、アパレル業界を変革します。アパレル業界は過剰な廃棄物とサプライチェーンの課題に悩まされています。今日、ほとんどのブランドや小売業者は、消費者の意見をほとんど取り入れずに大量生産せざるを得ず、その結果、商品の返品率が高まり、過剰生産による廃棄が生じ、売れ残り商品の大幅値引きで利益率が低下しています。オンデマンドの衣料品や靴は解決策と考えられていますが、従来の製造モデルでは、注文から納品までに数か月のリードタイムが必要で、数百マイルの輸送も伴います。世界的なサプライチェーンの不安定化によって、この問題はさらに深刻化しています。先進的な製造技術とファッションテクノロジーは、クリエイター、消費者、地域の製造業者をつなぐことで、アパレル業界をデジタル変革できます。カスタム商品を地域で製造するうえで重要な役割を果たし、所要期間を数か月ではなく数日へと大幅に短縮できます。この革新的なモデルは、ファッション業界の環境負荷を軽減するだけでなく、世界規模でサプライチェーンの安全性を高める可能性もあります。アパレル業界と世界全体の利益のために、最高水準のパートナーを結ぶオープンプラットフォームによって実現できる、期待の持てる解決策です。

「量子インターネットがやってくる」
最高経営責任者兼会長、ジム・リコッタ、Aliro Quantum
量子インターネットがやってきます。従来型のインターネットと同じように、世界に革命をもたらすでしょう。従来型のネットワークが今日のインターネットを可能にしたように、明日の量子インターネットを構築するには量子ネットワークが必要です。量子インターネットは、エネルギー、医療、材料科学などの分野で飛躍的な進歩を可能にし、私たちの暮らしに大きな影響を与えると予想されています。今後5年間で、量子リピーターを使った量子ネットワークが、ローカルエリアネットワークやクラスターから大陸規模のネットワークへと発展するでしょう。量子リピーターは量子インターネットの基盤です。その結果、量子ネットワークのユースケースが次々と登場します。たとえば、量子セキュア通信は物理学の力を活用して、ハッキング不可能なセキュリティを実現します。分散型量子センシングによって、超高解像度の望遠鏡に加えて、極めて高精度な時計やGPSが可能になります。量子コンピューティングの力を実用化するには、クラスター型量子コンピューティング、そして最終的には分散型量子コンピューティングが量子インターネットを可能にします。

「AIが世界中の不妊治療クリニックで臨床上の意思決定を支える」
最高経営責任者兼創業者、パクストン・メーダー=ヨーク、Alife Health
現在から2030年までに、10億人を超える人々が不妊に悩むことになります。世界の人口増加が鈍化し、人口置換水準を下回るなか、AIを活用した不妊治療が新たな家族や次世代の誕生を支えるでしょう。現在、最も一般的な不妊治療である体外受精(IVF)は費用が高く、複数回の治療が必要なことも多いうえ、身体的にも精神的にも負担が大きいものです。IVFによる妊娠の成功は、それぞれの患者に最適なケアを提供するために医師が行う、一連の複雑な臨床上の判断にかかっています。こうした意思決定をテクノロジーと高度な分析で支援すれば、ケアの効率、臨床上の成功率、治療方法の個別化が改善されるでしょう。2027年までに、AIが世界中の不妊治療クリニックで臨床上の意思決定を支え、医師がより精密な医療を提供できるようになり、治療成果の向上と患者のアクセス拡大につながるでしょう。

「人間の潜在能力は、より意義のある目標に向けて再び振り向けられる」
共同創業者兼最高経営責任者、ガブリエル・サファー、LeasePilot
テクノロジーとしての文書は、何世紀にもわたり企業に役立ってきました。現代では、メールが宅配便の必要性に取って代わり、文書を電子的に保存できるようになったかもしれませんが、その根底にあるテクノロジー自体は変わっていません。これは問題です。文書は本質的にアナログ技術である一方、今日の世界はデジタルだからです。コンピューターは自然言語(アナログ)の操作をあまり得意としませんが、データベース内の情報(デジタル)の操作には優れています。そこで、契約の作成にデータファーストのアプローチを採用すれば、コンピューターを活用した極めて効率的な取引への道が開かれます。契約を構造化されたデジタル情報に変換することで、ソフトウェアは、これまで不可能だった方法で契約を組み立て、操作し、保存し、共有し、理解できるようになります。これがうまく実現すれば、エンドユーザーには自然言語で書かれた文書が表示され、従来のワープロソフトと同じように契約文を編集できます。しかし舞台裏では、契約はデータベースの値の集合体のままであり、ユーザーが文書に加えた操作を反映するよう更新されます。最終的には、市場の効率が飛躍的に高まり、浪費されていた膨大な人間の潜在能力が解放され、より意義のある目標へと振り向けられる未来がもたらされるでしょう。

「リモートセンシングのデータストリームが自然生態系を正確に監視する」
ケビン・ラング、最高経営責任者兼社長、Agerpoint
2050年までにカーボンニュートラルを達成し、地球温暖化を+1.5 °C未満に抑えるという国連の目標を達成するには、森林や農地の回復、保全、強化に向けた自然を活用した解決策が、大気中の二酸化炭素を除去し、土壌に取り込むうえで重要な役割を果たします。しかし、こうした解決策の効果を判断するには、植物における炭素蓄積の可能性を正確に定量化するため、樹高、幹の直径、バイオマスなどの測定が必要です。従来、こうした測定は、労力のかかる主観的な手作業で評価されてきました。信頼できるカーボンクレジットへの需要が高まり、透明性の必要性も増すなか、高解像度カメラやレーザー(LiDARなど)によるリモートセンシングのデータストリームが、拡張性と効率性に優れた新たなデジタル測定技術を可能にしています。衛星コンステレーションがさらに軌道に投入されるにつれ、衛星画像の解像度と撮影頻度は向上しています。スマートフォンの光学センサーや測位システムの急速な進歩により、生産者や自然保護活動家は、豊富なデータセットを手頃な価格で収集できるようになっています。こうしたデータソースを、クラウドでのデータ処理、人工知能、データ融合と組み合わせることで、自然生態系における植物の健全性と炭素隔離の可能性を正確に測定・監視できるようになります。





