なぜ食料システムにおいて昆虫にふさわしい役割を与える必要があるのか

Ynsect's Chairman and CEO Antoine Hubert displays mealworms at the laboratory of the insect farm Ynsect, which harvests mealworms for bug-based animal food and fertilizer, in Dole, France, October 22, 2020. Picture taken October 22, 2020. REUTERS/Ardee Napolitano - RC2YOJ96Q64C
The laboratory of the insect farm Ynsect, which harvests mealworms for bug-based animal food and fertilizerImage: REUTERS/Ardee Napolitano
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  • 2050年までに、世界の食料供給は、さらに20億人を養う必要が生じます。

  • 食用および家畜飼料向けの昆虫養殖は、差し迫る食料危機に対する環境に優しい解決策となり得ます。

  • タンパク質と肥料の供給源として、新興技術により昆虫を大規模に食料システムへ再び組み込める可能性があります。

世界人口は2050年までに97億人に達します。これは次のことを意味します。地球の表面で利用可能な耕地がわずか4%しか残っていないにもかかわらずさらに20億人以上の人々を養う必要があります。

この差し迫った危機に対処するため、世界の専門家と指導者は今年の秋に、国連食料システムサミット、その後COP26で会合を開きます。こうした議論でしばしば見過ごされているのが、この課題の解決に昆虫が果たし得る潜在的な役割です。

昆虫は陸上生態系の生物学的基盤に貢献しています。廃棄物を分解して有機物を大地に還元し、植物や花の繁殖と拡散のための受粉者として働き、また鳥類から両生類、人間に至るまで、多くの動物種の食料源にもなっています。

昆虫養殖の概念は新しいものではなく、現在、食料および家畜飼料用に年間1兆~1.2兆匹の昆虫が農場で飼育されています。しかし、この取り組みは、これまでほぼ手作業のままでした。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)といった新技術のおかげで、私たちは転換点に立っており、ついに閉鎖された環境で昆虫の繁殖を工業化できるようになりました。昆虫の繁殖は、データ中心型のアグリビジネスであり、精密農業と多くの共通点があります。

食料生産のために世界で土地がどのように利用されているかImage: Our World in Data

屋内農業のスタートアップ企業がいくつも誕生しています。例えば当社Ÿnsectは、300件以上の技術特許と、完全にユニークなAI駆動型の農業プロセスを有しており、年間10万トンの昆虫製品を生産できる、世界初の完全自動化された垂直型昆虫農場を建設しています。

1日に10億以上のデータポイント(視覚、重量、温度、発育、速度、天候、組成)が取得され、独自の予測モデルに入力されて、昆虫の繁殖と飼育条件の最適化に用いられています。AIのおかげで、適切なタイミングで撮影された1枚の画像から、ミールワームの繁殖を日々管理するために必要な品質管理情報の最大80%を導き出すことができます。テネブリオ・モリトル(Tenebrio Molitor)の取り扱いは、すべてプログラムされたロボットによって行われています。機械が重労働を担っており、垂直農場から各種の容器を取り出して給餌エリアへ運び、別のエリアでは卵や幼虫を収集します。成熟した幼虫は加工段階へと送られます。

昆虫を大規模に繁殖・加工することには、次のような複数の利点があります。

1. タンパク質の供給源

昆虫は、従来の畜産に比べて少ない資源で済む、信頼性が高く効率的な代替タンパク質源です。研究によると、同じ量のタンパク質を生産する場合、昆虫、特にミールワームは、他の動物性タンパク質源に比べてはるかに少ない土地しか必要としません。コオロギに関する研究では、飼料を食肉に変換する効率は、鶏の2倍、豚の少なくとも4倍、牛の12倍と示唆されています。

現在、世界の野生の全魚類漁獲量の12%が、魚粉の形で養殖魚の飼料に使用されています。魚粉の代替としては、テネブリオ・モリトルなどの昆虫の加工によって得られる製品が考えられます。ミールワームを用いると、養殖魚の死亡率が40%低下することが示されています。

昆虫由来のタンパク質は高品質な特性を備えており、水産養殖の飼料から人間やペット向けの栄養補助食品の原料に至るまで、食物連鎖全体で代替タンパク質源として利用できます。すべての動物種は、食性に関係なく、自然の食事の中で昆虫を食べています。

ミールワームの生活環Image: Ÿnsect

2. 健康的な原料

マウスを対象とした最近の研究では、テネブリオ・モリトルなどの昆虫の加工によって得られる製品を与えられた被験体において、コレステロールの大幅な低下が見られることが示されています(ギーセン大学ユストゥス・リービッヒ校の研究によると最大60%)。さらに、タンパク質含有量が高いため、高齢者の栄養補給に用いることができる、消化吸収性の高い原料です。

3. より持続可能な生産

昆虫の飼育は、CO2、水、面積、原材料の観点から、従来の畜産よりも低コストです。さらに、昆虫の飼育は、他の形態の畜産と比べて汚染をほぼ99%削減でき、牛肉に比べてメタン排出量は80分の1です。また、昆虫は農業副産物、例えば人間の消費を目的としない作物由来の製品を用いて飼育することも可能であり、廃棄物を減らすことで農業生産を最適化します。最後に、水産養殖において魚粉の代替として昆虫タンパク質を用いることで、集約的な乱獲を抑制し、海洋生物多様性を強化することができます。

4. 天然肥料

昆虫の排泄物(排出された廃棄物)は天然肥料です。昆虫農場で生産された肥料は、植物や野菜作物に対する効果が実証されており、100%化学肥料を使用した場合と比べて、バイオマスと収量が大幅に増加しています。例えば、研究によると、菜種とブドウ栽培では収量が20%から25%増加し、小麦栽培ではバイオマスが40%増加することが示唆されています。

何千年もの間、昆虫は栄養価の高さ、土壌への好影響、そして生態系への低い負荷を証明してきました。最新の技術革新と、それらのAgTech(農業技術またはアグロテクノロジー)への応用により、環境を守りながら、食料システムにおける昆虫の中心的な役割をさらに高めることが可能になります。

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現在、私たちは残された大きな障壁を克服する必要があります。昆虫を食料源とすることに対する先入観と、昆虫由来のタンパク質の使用および消費に関する法規制です。欧州では、昆虫をタンパク質源とすることに対する禁止措置が見直され始めています。2017年には、昆虫タンパク質の使用許可が、ペットフードの飼料から水産養殖動物の飼料にまで拡大されました。今年、欧州食品安全機関(EFSA)は、ミールワームが人間の食用として安全であると報告しており、豚や家禽の飼料における昆虫の使用について決定が下される見込みです。

今年は、地球を守りながら、さらに20億人の人々を養うために、現代の課題に対応する、私たち全員にとって重要な年です。この大きな目標の達成に、これらの小さな生き物が果たせる力と役割を忘れないようにしましょう。

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