1年前のロシアによるウクライナ侵攻は、世界的なポリクライシスの一因となりました。
800万人を超えるウクライナ難民が、安全を求めて住み慣れた家を離れました。
ロシアに対する国際制裁が続く中、世界のエネルギー価格は急騰しています。
食料価格も高騰しており、世界的な生活費危機に拍車をかけています。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が武装部隊にウクライナ国境を越えさせてから1年の間に、欧州での戦争の影響は世界中に広がりました。
スーパーマーケットのレジで、家庭のエネルギー料金の請求書が届いた時、あるいは勤務先が経費を削減し、雇用やキャリアが危うくなった時など、私たちの多くは何らかの形でこの紛争の影響を受けています。
ウクライナ戦争に起因する継続的な人道危機
この暗い記念日に、何よりもまず心に留めるべきは、突然戦火に巻き込まれた人々です。数百万人、主に女性と子どもたちが、ウクライナからの避難を余儀なくされ、戦闘地域の外での安全を求めました。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、1年が経過した現在、800万人を超えるウクライナ難民が欧州各地で暮らしていると報告されています。このうち480万人は、各国の一時的保護制度に登録された難民です。これらの難民の多くは、敵対行為の終結により帰国し、生活を再建できることを願っています。UNHCRの調査によると、12%が今後3か月以内に帰国する予定である一方、帰国を希望する人の65%は、具体的な時期を定めていません。
エネルギーコストの上昇により、数百万人が極度の貧困に陥る恐れ
ウクライナでの戦争の勃発により、世界の広範な地域がエネルギー危機に陥りました。
Nature Energy誌に掲載された新たな調査によると、燃料価格の上昇により、世界の家庭のエネルギーコストはほぼ2倍になりました。平和な時代には、ロシアは欧州への主要な天然ガス輸出国でしたが、ロシアのエネルギー部門を対象とした国際制裁により供給が制限され、価格が押し上げられています。
上のグラフは、2021年の平均価格と比較して、ロシアのウクライナ侵攻後に化石燃料の価格がどのように急騰したかを示しています。2022年2月24日から9月13日までの間に、石炭のコストは176%急上昇しました。原油および石油製品の価格は51%、天然ガスのコストは94%上昇しました。
エネルギー市場におけるこれらの価格上昇の結果、この研究は、世界の家庭のエネルギーコストが62.6%から112.9%上昇すると示しています。最も大きな打撃を受けるのは、サブサハラ・アフリカ諸国の家庭です。
圧迫される食料供給
ウクライナ戦争が食料の価格と供給に与える影響は、世界各国で大きく異なって感じられています。
豊かな国に住んでいる方であれば、その価格に驚かされるかもしれません。過去1年間で一般的な買い物かごの費用がどれほど急激に上昇したか、気づかなかった人はほとんどいないでしょう。ガーディアン紙は、英国の食料品価格のインフレーションが16.7%という過去最高を記録した(2023年1月)と報じています。
世界の富の分布の反対側では、食料価格の上昇や供給の途絶が、生命を脅かす事態になり得ます。両国は小麦の主要輸出国であり、この地域からの穀物に主食の大部分を依存している国々にとって、戦争は深刻な脅威となっています。
2022年に国連食糧農業機関(FAO)が発表した世界の食料安全保障に関する報告書では、「ウクライナ戦争は、貿易、生産、価格の経路を通じて世界の農業市場に多面的な影響を及ぼし、近い将来、多くの国々の食料安全保障と栄養の状態に暗い影を落とすだろう」と指摘されています。
世界の安定に対する大きなリスク
これらの複合的な経済的圧力が相まって、世界的な生活費危機となっており、世界経済フォーラムの年次『グローバルリスク報告書2023』において、世界の安定に対する短期的な最大のリスクとして特定されています。
上に示したした『グローバルリスク報告書』のデータは、低所得世帯が物価上昇による不釣り合いな負担を負っていることを示しています。
報告書が指摘するように、この危機の多くはウクライナでの戦争によって引き起こされており、戦闘が長引くほど、その負担は大きくなる可能性があります。
「世界的な生活費危機が長期化すれば、社会で最も脆弱な層が基本的ニーズへのアクセスから締め出される割合が増加し、不安や政治的不安定を助長する可能性があります。サプライチェーンの途絶が続けば、特に食料とエネルギーにおいて、根強いコアインフレを招く恐れがあります。」



