従来型の畝作農業は世界各地で依然として主流であり、深刻な汚染と環境破壊を引き起こしている。
最近、この記事の著者はミネソタ州で再生型農業と土地の保全管理がどのように行われているかを確かめに出かけた。
こうした持続可能な取り組みは、地球とそこに暮らす人々の健やかさを守るうえで欠かせない。
大手食品企業の間では、再生型農業が大きな注目を集めている。各社のサステナビリティ担当チームは、数十万エーカーの土地を再生型の保全管理へ転換し、土壌に相当量の炭素を貯留するという意欲的な目標をよく語る。しかし、期待される移行を農家がどう捉えているのか、話を聞く機会はあまりない。
そこで先週、畑で何が起きているのかを確かめるため現地へ向かった。4日間で、ミネソタ州の農家5軒とさまざまな保全プロジェクトを訪ねた。また、再生型農業の実践を広げるため現場で取り組むThe Nature ConservancyとTruterraの関係者にも話を聞いた。ミネソタ州は、米国で農業生産高が5番目に大きい州だ。Land O’Lakes、Cargill、General Millsなど、大手食品企業の本社が置かれている。
州の中部から南部にかけて、ミネソタ州の農地の中心部を何百マイルも車で走った。今週アトランタで開催されるGreenBizのCircularity 22会議に向かうまでの短い時間では消化しきれないほど多くを学んだが、印象が新しいうちに共有したいと思った。得られた知見の詳しい分析は、今後の記事で紹介する。
再生型農業は、聞こえよりも複雑
まず、これまでとは違うやり方に挑む農家に、心から敬意を抱いている。私のように、持続可能な食料について抽象的なレベルで仕事をし、トラクターよりIPCCの報告書に詳しい人間には、なぜ変化がこれほど遅いのか理解しにくいことがよくある。しかし、従来型農業が根付いた地域の生産者にとって、移行は障害だらけの道のりだ。
たとえば、被覆作物の栽培を始めたいだけでも、農家は何十もの問いに答えなければならない。土壌の種類や気候、輪作に合う被覆作物はどれか。植え付けに最適な時期はいつか。どんな機材が必要か。機材は借りられるのか、それとも購入が必要か。種子はどこで買えるか。冬の間、被覆作物を傷めずに堆肥を散布するにはどうすればよいか。いつ、どうやって処理するのか。農薬を散布するのか、耕起するのか、それとも生育させて収穫するのか。被覆作物が肥料の一部を吸収することを踏まえ、主作物への施肥量をどう調整すればよいか。収量に影響するのか。誰の助言を信頼できるのか。
すぐに複雑になるが、これでも再生型農業の実践例の一つにすぎない。あれこれ調べて被覆作物を育て始めると、今度は近所の人に「変わり者」と呼ばれる。周囲からの圧力は現実にある。一方、上乗せ価格が支払われるという話は、どちらかといえば神話のようだ。差し迫った必要も、取り組む動機もないのに、これほどの手間をかけ、余分なリスクを引き受けるには、特別な覚悟がいる。現時点では、保全の取り組みをせず従来どおりに続けても、ほとんどの農家にとって十分うまくいっているように見える。
ミネソタ州に生まれた進歩の小さな島々
こうした特別な人々は少数ながら存在する。ベン・マーゲン氏もその一人だ。ミネソタ州オールバニー近郊で、500エーカーの土地を持つ5代目の農場を経営している。主に大豆を栽培し、牛を飼育するほか、畑全体の表土を反転させず、植え付け部分だけを細く掘り起こす保全手法、ストリップ耕を試している。被覆作物も栽培し、輪作を多様化しており、これまでのところ順調だという。「経営面でも環境面でも理にかなっています」と話してくれた。
マーゲン氏は、米国農務省(USDA)の天然資源保全局とThe Nature Conservancyから支援を受け、Ecosystem Market Consortiumの試験プログラムにも参加している。最初のきっかけは、1990年代から保全に取り組んでいる郡内の別の農家だった。ほかの近隣農家は、まだ動き出していない。現在、マーゲン氏は近隣農家向けにストリップ耕の請負サービスを提供しており、知識や機材のハードルをいくらか下げ、取り組みへの入り口を広げられることを期待している。
トム・パイフェロエン氏も、よく似た話をしてくれた。パインアイランドで50年間農業を続け、現在は約1,200エーカーを管理している。近隣の再生型農業の実践者に触発されたそうで、周囲の農家に助言し、取り組みを勧めるには、近隣の農家が最適な立場にあると考えている。知見を共有するため、時折、農場で見学会を開く。好奇心を持った生産者が60~70人ほど自宅に集まるという。
パイフェロエン氏は、可能な限り多くの農地に被覆作物を植え、耕起を行う畑の割合を約5%まで減らした。こうした取り組みに対して作物の買い手から報酬は受け取っていないが、明確な付加価値があるという。「以前は1エーカー当たり約166ポンドの窒素を使っていました。今年必要だったのは107ポンドだけです。収量は伸び続けています」と話した。リンとカリウムの使用量も3分の1減らすことができた。
かつて緑豊かだった草原に、不毛な畑が広がる
パイフェロエン氏やマーゲン氏のような農家と、その活動を支える組織は、地域の中で進歩を示す貴重な存在だ。しかし、農家同士の自発的な学び合いだけでは、気候危機が求める速さで必要な変化を実現できない。
情熱を持つ農家たちと話した一方で、旅の間、深い悲しみも感じた。何時間も運転する中で目にした風景は、全体として荒涼としていた。果てしなくまっすぐな道の先には、耕起が繰り返された不毛な畑がどこまでも続く。1時間以上走っても、被覆作物や省耕起、その他の再生型農業を実践する畑は、片手で数えられるほどだった。数週間後に作物が芽吹くと、ほとんどの農地には従来型のトウモロコシか大豆が植えられる。これらの作物は何十年にもわたって地域経済を形作ってきた。
社会全体で、原料としてトウモロコシや大豆を必要とするエタノールや畜産物への依存を減らせば、この土地の多くを、かつての豊かな草原へと戻せるだろう。在来の草原を再生すれば、かけがえのない生態系サービスをもたらす多様な植物や動物を呼び戻すことができる。残る農地では、より多様な食料を育て、土壌を豊かにし、地域の人々を養える。だが今日では、私が出会った最も先進的な環境保護活動家でさえ、これを実現するのは想像しがたいと感じている。
農業による汚染が蔓延
自然を再生する農業への転換が進まず、ミネソタ州では従来型の畝作農業が依然として主流であり、深刻な汚染と環境破壊を引き起こしている。私が現地を訪れた時期には大きな嵐があり、出発前夜に5.5インチの雨が降った。これは前年の夏の降水量をすべて合わせた量を上回る。農家が今年の種をまくはずの時期に、深刻な洪水が発生した。
嵐から3日後、保全された小さな草原とそのバイソンの群れを見るためミネオパ州立公園を訪れた。畑から地元の水路へ流れ込んだ土砂を含む、濁った茶色の滝を目にした。公園内に点在する看板は、農業汚染のさまざまな形態を説明していた。そこから分かるように、これは一度きりの出来事ではない。被覆作物や耕起の削減といった取り組みは、土壌浸食や肥料の流出を抑えるのに役立つ。
再生型農業に取り組む農家との会話や、私が目にした実践は、州内どころか地域や国全体で起きていることを代表するものではない。しかし、ミネソタ州で目の当たりにした変化の速度と規模が、再生型農業への移行の進み具合を示すものだとすれば、状況は芳しくない。





