次のテイクアウト料理が、2020年に施行予定の野心的な新排出目標を世界の海運業界が達成する助けとなる鍵を握っているかもしれない。
航空機の利用と有害な排出物との関係は、多くの人が認識している。航空業界の排出量は2020年までに2005年比で70%増加するとみられており、国際民間航空機関は、2050年までにさらに300~700%増加する可能性があると予測している。しかし、海上貨物輸送も汚染の大きな要因となっている。
「船舶による汚染の防止のための国際条約」(MARPOL条約)に基づき、国際海事機関(IMO)は海運からの硫黄酸化物(SOx)排出に新たな上限を導入している。SOx濃度は、質量比で3.50%からわずか0.50%へ引き下げなければならない。
IMOの海洋環境保護委員会(MEPC)に提出された調査によると、このSOx排出量の強制的な削減は大きなプラスの効果をもたらす。濃度が据え置かれた場合、2020年から2025年の間に57万人の早期死亡につながるとされる。
新たな排出目標を達成するため、海運会社は次のいずれかを選択しなければならない。
- 液化天然ガスを含む、硫黄分の少ない燃料を使用する
- 排ガスをろ過するスクラバーと呼ばれる装置を設置する
- バイオ燃料に切り替える
そこで、リサイクルした調理用の油脂が役立つ。バイオディーゼル、バイオメタン、バイオメタノールなどのバイオ燃料は、CO2排出量を最大80~90%削減できる可能性がある。バイオ燃料はSOxの排出量も大幅に少ない。

DHLの海運部門であるグローバル・フォワーディングは、海上貨物輸送でのバイオ燃料利用を推進する団体、グッドシッピング・プログラムと提携した。DHLグローバル・フォワーディングの顧客はバイオ燃料を選べるようになったため、貨物の輸送に化石燃料の代わりにバイオ燃料を指定できる。9月にはグッドシッピングも小型コンテナ船に22,000リットルのバイオ燃料を供給し、標準的な燃料と比べてCO2排出量を40トン以上削減した。
しかし、バイオ燃料が主流の選択肢となるには、いくつもの課題がある。
第一の課題は供給だ。油脂のリサイクルは少量のバイオ燃料を生産する有効な方法だが、生産量は供給量に全面的に左右される。大量処理に対応できる、堅牢で信頼性の高い世界規模のバイオ燃料収集・処理インフラは、現在存在しない。
既存のエンジンで使用できるバイオ燃料もある。しかし、海運会社やメーカーが必要なエンジン技術に投資し、船隊全体で安全かつ信頼できる選択肢としてバイオ燃料を使えるようにするには、十分な量を安定して確保できる保証が必要になる。

供給を増やすには、バイオ燃料への加工だけを目的に食用作物を栽培する必要が生じるかもしれない。しかし、それは土地や水などの天然資源に圧力をかけ、世界の食料価格を押し上げるおそれがある。
さらに、バイオ燃料には既存の世界的な供給インフラがない。世界規模で実用化するには、完全なサプライチェーンを構築する必要がある。これには、使用済み油のリサイクルや食用作物からの油の生産に加え、世界各地の海運港での輸送、物流、保管も含まれる。
これらはすべて、石油・ガス業界が数十年前に克服した課題だ。バイオ燃料業界に必要な投資は顧客向け価格に反映され、新燃料の経済的な魅力を損なう可能性がある。
排出規制が義務化される以上、海運業界は何らかの対応を迫られる。デンマークの海運大手マースクのサイモン・ベルグルフ氏はBBCに、スクラバーの設置には船1隻あたり約200万~300万ドルかかると語った。それでも、多くの企業が船へのスクラバー設置を選んでいる。燃料供給が不確実という問題を回避できるためだ。
バイオ燃料をより現実的な代替手段にするには、価格を低く抑える補助金やインフラ整備への資金援助など、政府レベルの一連の取り組みが必要になるかもしれない。




