食料生産に欠かせない土壌の健全性――よりよく守る方法

Technological solutions to keep soil healthy and monitor its quality can help combat land degradation.
Technological solutions to keep soil healthy and monitor its quality can help combat land degradation.Image: Unsplash/sweeksco
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  • 生物多様性の損失が、世界経済と世界の食料供給を脅かしています。

  • 国連によると、世界の食料の95%は土壌に依存していますが、その3分の1はすでに劣化しています。

  • 土壌を健全に保ち、その状態を監視する技術的な解決策は、土地の劣化対策に役立ちます。

生物多様性は世界経済にとって不可欠です。世界のGDPの半分以上(55%)は、自然界が健全に機能することに依存しています。スイス再保険研究所によると、その額は41.7兆ドルに相当します。同研究所の調査では、生物多様性の損失により、各国の5分の1で生態系が崩壊するリスクがあることが分かりました。

こうした環境の変化は、世界の食料安全保障も脅かしています。毎晩、8億人以上が空腹のまま眠りにつきます。これは世界人口のほぼ10人に1人にあたります。国連の推計によると、2050年までに、90億人を超える世界人口を養うため、食料生産を60%増やす必要があります。

世界の土壌が劣化している原因は何でしょうか?

私たちが食べる食料の95%は土壌から生産されます。しかし国連によると、世界の土壌の3分の1はすでに劣化しており、作物や食料の質と生産量が低下しています。土壌が劣化すると、動植物を支える力が弱まります。土壌に生息する何百万もの生物を支える化学的・生物学的な性質も失われます。

農産物の需要が高まるにつれて、農業用の畑や牧草地に転換される草原や森林が増えています。集約的な農業は土壌の構造を損ないますと、ロンドン自然史博物館(NHM)の研究者、シルヴィア・プレッセルは述べています。

「こうした農業は、地表流出や土壌侵食を加速させ、有機物と肥沃度を失わせるほか、水、有機炭素、植物栄養素の循環を乱します」と彼女は言います。さらに、「土壌が劣化すると、土壌内で起きているプロセスが損なわれます。その結果、土壌の健全性、生物多様性、生産性が低下し、多くの生態系のあらゆる段階で問題が生じ、洪水や大規模な移住など、深刻な環境上の影響につながります」と付け加えます。

EUの資金提供を受けた調査によると、過放牧や、同じ土地で一種類の作物だけを育てること(単一栽培)も、土壌に大きな損害を与える可能性があります。このような農業では、同じ栄養素が繰り返し吸収され、土壌が実質的に枯渇します。また、作物を破壊する害虫や病気にとって理想的な環境が生まれると、雑誌『Horizon』の記事は説明しています。これに対処するために化学薬品や肥料を過剰に使用すると、周辺環境が汚染され、さらなる問題を招くこともあります。

健全な土壌は、世界の食料生産に不可欠です。Image: FAO

土壌がもたらす多くの恩恵

NHMによると、土壌は食料を生産する以外にも、地球上の生命にとってさまざまな点で欠かせません。

  • 土壌中の鉱物や微生物は、水を浄化し汚染物質をろ過するうえで重要な役割を果たします。

  • 土壌は水の移動を調節し、雨水や灌漑用水が土壌の表面を流れるか、土壌に浸透するかを左右することで、洪水の防止にも役立ちます。

  • 土壌中の生物は有害な細菌を死滅させることができ、医療にも利用できます。ペニシリンを構成する抗生物質群は土壌に由来します。

  • 土壌は気候変動の緩和に重要な役割を果たします。海洋に次ぐ最大の炭素吸収源であり、大気中のCO2濃度の調節に役立ちます。

農業における土壌対策

急速に増加する世界人口を養うには、農業のやり方を変える必要があります。さらなる土地の劣化を避けながら、より持続可能な方法で食料を生産しなければなりません。技術の進歩はその実現を後押ししています。すでに変化をもたらしている農業の革新をいくつか紹介します。

1. 新しい農機具:プラウ(すき)のような伝統的な道具は、土壌の健全性に欠かせない微生物を露出させ、土壌を傷めることがあります。農機具メーカーのジョン・ディアは、土壌への損傷を軽減するよう設計された「不耕起」農業用機械を開発しました。一方、デンマーク企業のAgrointelliは、土壌をあまり乱さずに植え付けと除草の両方を行えるロボットを開発したと、BBCは報じています。

土壌への影響を抑えて農地を耕作する農業ロボットが開発されています。Image: AGROINTELLI

2. 土壌のモニタリング:BBCは、英国企業Harvest Agriの取り組みも紹介しています。同社は「マイクロバイオメーター土壌検査」と呼ばれる装置を開発しました。農家は土壌サンプルを採取し、モバイル端末のアプリを使って、どのような真菌や細菌の微生物が存在するかを調べられます。また、欧州各国の政府はEU土壌観測所を設立し、土壌データの収集と追跡を行っています。EUによると、これは研究や政策立案に役立ちます。

3. アグロフォレストリー:これは、樹木や低木を作物栽培や家畜飼育のシステムに組み込む土地管理の手法だと、英国のウッドランド・トラストは説明しています。樹木は独自の微気候をつくり、作物の生育を助け、水や風による被害から守ります。

4. 衛星による土壌監視:世界経済フォーラムのイノベーション・プラットフォーム「UpLink」に参加する2社は、衛星データとAI技術を活用して土壌の問題解決に取り組んでいます。SoilWatchは、低コストの自然を活用した解決策を技術で可能にし、東アフリカの劣化した土壌の再生を支援しています。

Soilifyは、土壌炭素の変化を監視して南アジアの劣化した土地の回復を促進し、より持続可能な方法への移行に伴う農家のリスク軽減を支援しています。

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