パートナーシップが食品バリューチェーンの脱炭素化にどう役立つか

We need to reduce emissions in the food system, while maintaining yields and supply chain reliability.
The food system contributes significantly to global greenhouse gas emissions.Image: Reuters/Luisa Gonzalez
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  • 世界は、栄養への需要増に応えながら、食品システムが環境に与える影響を減らすという二重の課題に直面している。

  • こうした課題への対応には協働が必要であり、農業における排出削減を加速するため、的を絞った対策が求められる。

  • ある協働事例は、収量とサプライチェーンの信頼性を維持しながら、食品システムの排出を削減できることを示している。

世界の食品システムは前例のない課題に直面している。農業は世界の温室効果ガス(GHG)排出に大きく寄与しており、その多くは肥料生産や農場での養分利用といった上流工程に関連している。一方、需要の増加、気候変動の圧力、地政学的不安定さが、食料サプライチェーンのレジリエンスを脅かしている。

こうした課題への対応には、産業や国境を越えた協働が必要だ。食品バリューチェーンの中でも特に難しい領域で排出削減を加速するには、的を絞ったパートナーシップが求められる。

ヤラとペプシコのパートナーシップは、収量とサプライチェーンのレジリエンスを守りながら、食品システムの排出を協働によって削減できることを示している。

その考え方はシンプルだった。従来型肥料を単に置き換えるのではなく、再生可能エネルギー由来または二酸化炭素回収・貯留(CCS)を用いたアンモニアから製造される低炭素肥料や、亜酸化窒素(N₂O)の触媒的削減技術など、低炭素の投入資材を、土壌診断やデータに基づく養分管理と組み合わせる。

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これにより、作物の収量を損なうことなく養分を効率的に利用し、上流の生産工程と圃場での排出の双方を削減できる。

「集団的な行動がなければ、世界の食品システムは必要な速度と規模で変化できません。ヤラとの協働は、必要な変革を推進するうえで役立つ力強い事例です。農家を中心に据え、再生型の農法の拡大、排出削減、農業コミュニティ全体のレジリエンス構築を支援しています」と、ペプシコの持続可能で再生型の農業担当バイスプレジデント、マーガレット・ヘンリー氏は述べる。

「低排出肥料ソリューションを導入し、イノベーションを活用することで、この協働は農家の生計を支え、食料安全保障を強化しながら、ネットゼロの食品システムに向けた進展を加速します。この事例をはじめとする協働は、企業、政府、市民社会が連携してシステム全体の変革を実現できることを示しています。」

ヤラにとって、この合意は、食品企業に低炭素肥料の選択肢を提供し、より持続可能な農業慣行を可能にするという、より広い目標を反映している。

「食品システムを変革するには、食品バリューチェーン全体で協働する必要があります。ペプシコのような先駆的な企業と連携し、これを実現できることを楽しみにしています。食品生産の脱炭素化はパリ協定の目標達成に不可欠であり、そこに至るうえで農家が重要な役割を担います」と、ヤラの大陸欧州・製品戦略担当シニアバイスプレジデント、ブノワ・ラメゾン氏は述べる。

2025年半ばまでに、ペプシコとヤラはこのモデルをメキシコ、コロンビア、チリ、アルゼンチンに拡大し、当初はペプシコのサプライチェーンに属するジャガイモ生産者を対象とした。

ラテンアメリカのプログラムは、低炭素肥料に農学的支援とデジタル農場モニタリングを組み合わせる点で、欧州での協働を踏襲している。初期プロジェクトでは、作物システムや肥料の種類に応じて、排出量を20~40%削減できる可能性が示された。対象はジャガイモ1トン当たりの排出量である。

導入地域の地理的・気候的な多様性は、高い再現可能性を示唆しており、これは世界の食品システムを変革するうえで重要な要件だ。

排出削減に肥料が重要な理由

肥料は排出の大きな要因だが、その寄与は見過ごされがちだ。従来、肥料の生産は化石原料に依存し、圃場で窒素を利用する過程では、強力な温室効果ガスである亜酸化窒素が放出される。

しかし、肥料は食料安全保障に不可欠である。現在、世界で生産される食料のほぼ半分は鉱物肥料に依存している。そのため、農業・食品バリューチェーンが気候目標の達成に貢献するには、食料生産のこの分野の脱炭素化が極めて重要だ。

ヤラとペプシコのモデルは、低炭素アンモニアとN₂Oの触媒的削減技術を用いて製造した肥料を提供すると同時に、農場レベルで効率的なデータ主導型の養分管理を促すことで、二つの方法から排出に対処する。

明確な需要シグナルは、低炭素肥料の生産への投資を正当化する助けとなる。一方、供給側は投資を採算に乗せるため、大規模な購入を約束する顧客を必要としている。こうした買い手と供給側の連携は、農業サプライチェーンではしばしば欠けているが、脱炭素化の拡大には欠かせない。

農家にとって、この転換は農学面でも経済面でも合理的でなければならない。炭素排出を減らすために、収量の低下やコストの増加を受け入れることはできない。低炭素肥料をモニタリング、助言、既存のサプライチェーン関係と組み合わせることで、生産者のリスクを抑えられる。低炭素肥料の使用に、農法の変更は必要ない。

バリューチェーン全体を変えるための青写真

これまでの経験から、世界の食品システムに関わる人々にとって明確な教訓が得られる。

  • 調達の確約は、上流工程の排出削減を加速する助けとなる。農業分野での事業規模が大きい企業は、供給業者や農家と協力して低炭素投入資材に共同投資し、現実的な移行を後押しできる。このアプローチは、負担を転嫁するのではなく、共通価値の創出を支える。

  • 製品だけでなく支援も重要。肥料を提供するだけでは不十分だ。導入と効果を確かなものにし、時間の経過とともに窒素利用効率(NUE)を改善するには、農学的助言、土壌診断、デジタルツールが不可欠である。

  • 透明性とデータが信頼性を支える。適切に設計された作物・土壌のデジタル監視システムは、信頼できるデータを生み出し、実際の排出削減を評価する助けとなる。これは気候目標に向けた進捗を追跡するうえで欠かせない。

  • 拡張性は再現可能性に左右される。このモデルが、作物、気候、規制環境の異なるラテンアメリカへ欧州から迅速に広がったことは、適切な仕組みがあれば広く適応できることを示している。

このような取り組みを成功させるには、次の点が重要だ。

  • 農家にとっての負担可能性:移行支援と経済的インセンティブが引き続き不可欠である。

  • クリーンなアンモニア生産:再生可能水素、CCS、そしてそれを可能にする政策への投資が必要である。

  • 地域間の政策調整:規制枠組みの違いは、世界的な普及を遅らせる可能性がある。

  • システム全体の参加:システム全体の変革には、企業、政府、市民社会を含む複数の関係者が協力して取り組む必要がある。

  • 市場ベースのアプローチ:ブック・アンド・クレーム方式による生産の脱炭素化を通じて、規模拡大と普及を促す。

持続可能な食品システムは、世界の排出削減の鍵となる

ペプシコとヤラ・インターナショナルの協働は、食品システムの脱炭素化がパイロット事業にとどまらず、体系的で拡張可能な協働へと進めることを示している。

購入の確約、低炭素投入資材、農学的支援、データ主導型モニタリングを組み合わせることで、この協働は、工場や物流だけでなく農場にも深く根付く排出に対処している。

気候面の制約が強まり、食料需要が増加するなか、生産性を損なわずに排出を削減するこうしたアプローチは、持続可能な世界の食品システムにとって、ますます中心的な役割を担うだろう。

他の関係者もこれに続き、政策、技術、経済などの実現条件が整えば、世界の食品システムの脱炭素化と排出削減に向けた相乗効果は大きなものとなり得る。

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