気候変動から紛争まで:世界の食料価格が過去最高水準に達している理由

Food prices around the world have soared to record levels
Food prices around the world have soared to record levelsImage: Unsplash/Boris Dunand
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  • 世界各地で食料価格が急騰し、過去最高水準に達しています。

  • 気候変動、紛争、広範な貧困により、食料の生産が難しくなり、その結果、価格が上昇しています。

  • 食生活や政策の変化に加え、より多様な作物を栽培することも、食料を手頃な価格に保つのに役立ちます。

今年、ロシア・ウクライナ戦争によって両国からの小麦や肥料の主要輸出が大幅に減少する一方、気候変動に起因する干ばつ、洪水、熱波が収穫をさらに奪い、世界各地で食料価格が過去最高水準に急騰しました。

国際持続可能な食料システム専門家パネル(IPES)は、3月に小麦価格が14年ぶりの高値を記録し、トウモロコシ価格は記録上最高に達したと、報告書で述べました。この報告書は金曜日に公表されました。

その結果、多くの国の家庭、とりわけ最も貧しい家庭にとって、基本的な主食が高価になり、あるいは入手しにくくなっています。

気候変動、広範な貧困、紛争が重なり、世界の食料安全保障に「慢性的かつ広範な」リスクをもたらしています。脅威を抑える対策が取られなければ、食料価格の高騰が新たな常態となる可能性があるとIPESは指摘しました。

IPESは、気候変動を抑えるための迅速な排出削減だけでなく、商品投機への対処、債務救済、化学肥料への依存低減、貿易の再構築、各国の穀物備蓄の強化も提案しています。

こうした対策を怠れば、世界は「将来の壊滅的かつ組織的な食料危機へ、無自覚のまま進んでいく」ことになると、IPESの専門家らは指摘しました。

今、食料価格がこれほど高いのはなぜでしょうか?

ロシアとウクライナは世界の小麦輸出の約30%を供給していますが、紛争の結果、その輸出量は減少しました。

小麦の国内在庫は比較的高い水準を保っています。小麦の大半は生産国で消費されると、米国気候・安全保障センターのブリジット・ヒュー氏は述べました。

しかし、ロシアとウクライナからの輸出減少により、世界市場に残る小麦をめぐる競争が激化し、輸入に大きく依存する貧困国や債務に苦しむ国々にとって、とりわけ深刻なコスト上昇を招いています。

アフリカの小麦輸入のほぼ40%はウクライナとロシアから来ています。また、世界的な小麦価格の上昇により、レバノンのパン価格は70%上昇したとIPESは述べました。

しかし、ロシアとウクライナからの小麦輸出の混乱だけが価格高騰の原因ではありません。買い手が代替穀物を求めるなか、値上がりはトウモロコシ、コメ、大豆の市場にも波及しています。

G7の農相らは、紛争を受けて金融投機家が穀物先物取引に殺到し、市場の不確実性から利益を得ようと価格を「人為的に」つり上げていると批判しました。

カナダのウォータールー大学で食料安全保障を専門とするジェニファー・クラップ教授は、2007~2008年と2011~2012年の前回の食料価格危機以降、「政府は過度な投機を抑え、食料備蓄や商品市場の透明性を確保できていない」と述べました。

気候変動、紛争、その他の脅威によってリスクが高まるなか、今後数年間により安定した食料価格を実現したいのであれば、この問題に「緊急に対処しなければならない」と同教授は付け加えました。

世界の供給を増やすために、もっと食料を生産できないのでしょうか?

すでに小麦生産国の一部は作付けを増やしており、インドは需要に応えるため小麦輸出を拡大すると表明しました。ただし、現在の熱波で収量が減る恐れがあると、ロンドンに拠点を置くエネルギー・気候インテリジェンス・ユニットは警告しています。

しかし、世界的な生産拡大の取り組みは、化学肥料の不足によって妨げられています。昨年、ロシアとベラルーシは国際カリ輸出の40%を生産しており、その取引も戦争の影響を受けています。

干ばつや熱波から洪水、新たな害虫まで、気候変動の影響により、世界各地の農家は安定した収穫を得ることが難しくなっています。地球温暖化を進める排出が増え続ければ、この問題はさらに悪化する見通しです。

さらに、小麦、トウモロコシ、コメの作付けに利用できる土地は限られています。特にブラジルなどでは、農地の拡大が気候の安定に欠かせない森林を犠牲にして進むことも少なくありません。

食料生産、自然保護、再生可能エネルギーの導入、炭素貯留を目指す人々からの圧力が強まる一方で、利用可能な土地は限られています。今世紀、土地は世界の戦略的資産となる可能性があると、シンクタンクのチャタムハウスで環境・社会プログラムの研究責任者を務めるティム・ベントン氏は述べました。

ウクライナの農地をより多く支配し、将来の世界の食料市場をより多く掌握したいという願望も、ロシアの侵攻を促した要因の一つかもしれないと同氏は指摘しました。

食料価格を手頃に保つには、何が役立つでしょうか?

世界の穀物の大部分は家畜の飼料に使われているため、肉や乳製品の消費を減らすよう人々に促せば、穀物供給を大幅に増やせる可能性があると、フランスの持続可能な開発・国際関係研究所の農業専門家、ピエール=マリー・オーベール氏は述べました。

今年、輸出市場における世界の穀物不足は2,000万~2,500万トンと予想されています。しかし、欧州だけで畜産物の消費を10%減らせば、需要を1,800万~1,900万トン削減できると同氏は指摘しました。

食料専門家らによると、特に輸入への依存度が高い国で穀物の貯蔵を改善し、そうした国々が国内でより多くの主食を生産できるよう支援することも有効です。主食に取って代わることの多かった輸出向け換金作物ではなく、主食の生産を促すことが重要です。

また世界全体で、少数の輸出国が市場を支配するなか、わずかな種類の穀物だけに依存しないよう、より多様な作物を栽培すれば、食料安全保障を強化できる可能性があります。

アフリカ大陸自由貿易圏の新設のような政策転換は、将来的に一部の貧困国が遠隔地の生産者や脆弱なサプライチェーンへの依存を減らす助けになる可能性があると、食料・農業・天然資源政策分析ネットワーク(FANRPAN)のシテムビレ・ムワマカンバ氏は述べました。

さらに、地球温暖化が進むなかで収穫を守る気候変動に配慮した農業への投資は、世界の食料供給を支える助けになります。また、債務救済によって最貧国の財政余地が広がれば、食料価格の変動に対応しやすくなります。

食料価格が上がり続けると、何が起こるでしょうか?

世界市場で食料価格が急騰するなか、人道支援機関はアフガニスタン、イエメン、南スーダン、シリアなど、紛争の被害を受けた地域で飢える人々に配る穀物の調達に苦慮しています。

ロシア・ウクライナ戦争が始まる前から、国際援助体制はニーズの高まりと資金不足で「対応しきれない」状態でした。今では価格高騰により購入できる穀物が減っていると、国連世界食糧計画で気候・災害リスク削減部門の責任者を務めるゲルノット・ラガンダ氏は述べました。

「これほどひどい状況はかつてありません」と同氏はトムソン・ロイター財団に語りました。気候変動が既存の食料安全保障上の脅威をさらに深刻化させるなか、価格高騰は「止められない暴走列車」になると懸念しています。

さらに、高価な食料が政治的不安をあおり、政府の財源を圧迫すれば、気候変動の抑制やその影響への強靱性を高める取り組みが頓挫しかねません。その結果、貧困、不安定、飢餓がさらに深刻化する悪循環を招く恐れがあると同氏は警告しました。

チャタムハウスのベントン氏は、ロシア・ウクライナ戦争が食料価格に画期的な変化をもたらす可能性があると述べました。

「一部の人々にとって、安価で豊富に入手できる食料の時代は終わり、それが現実となるでしょう」と同氏は指摘しました。

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