目的にかなう食料システムの構築――より注目すべき5つの分野

A slew of geopolitical factors is tipping the political scales in favour of real transformation in global food systems.
A slew of geopolitical factors is tipping the political scales in favour of real transformation in global food systems.Image: REUTERS/Andrew Biraj
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  • 数々の地政学的要因が、世界の食料システムを真に変革する方向へ政治の流れを傾けています。

  • しかし、現行の政策枠組みでは食料システムの改善は不十分です。より連携の取れた政策が必要です。

  • 食料危機に長期的に対処するには、貿易戦略、公共支援、信頼性の高いデータについて、よりきめ細かなアプローチが不可欠です。

広範な景気後退と迫り来るインフレ、パンデミックの影響の長期化、そして気候変動の影響がますます具体化しているという複合的な危機により、食料システムを改善する緊急性が浮き彫りになっています。

2021年の国連食料システムサミットでは、より強靱な食料システムを構築し、健康的な食生活を持続可能な形で実現する必要性が、変革に向けた政治的支持を集める基盤となりました。

サミットの目的は解決策を特定し、実行することでしたが、真の変革へと政治の流れを傾ける可能性があるのは、食料システムを取り巻く現在の地政学的要因です。食料を容易に入手できる人々の間でさえ、すべての人に健康的で手頃な食事を提供するには、現在の食料システムの持続可能性や強靱性が不十分であることが、ますます明らかになっています。しかし、危機はすべて機会を生み出します。

改善に向けて重点を置くべき食料システムの5つの分野

では、意義ある変化を実現するために、この機会をどう生かせばよいのでしょうか。私が考える、より注目すべき点は5つあります。

1)統合的な思考

ここに、変革の最大の可能性があります。異なる分野にまたがるあらゆるレベルのガバナンスを組み込んだ、より効果的なアプローチを見いださなければなりません。

各国が政策を策定する枠組みとなる現在の国際協定は、貿易、栄養、気候など個別の分野に焦点を当てる傾向があり、食料システムの変革を支えるには不十分であることが明らかになっています。さらに、こうした協定の変更が食料システムの他の構成要素に及ぼす影響はほとんど考慮されず、それが妥当な食料政策の妨げとなることも少なくありません。

残念ながら、この問題は国内レベルでも繰り返されています。私は東部・南部アフリカの複数の国々と緊密に協力してきましたが、貿易戦略が意図せず国内の主食を損なっていた事例がありました。主な理由の一つは、政策間の連携不足です。通常、貿易戦略は商業省が決定し、援助機関や開発パートナーの支援を受ける一方、農業開発戦略は農業省が別の政策策定プロセスを通じて、異なるパートナーとともに策定していました。

地方レベルでは、比較的課題が少ないことがよくあります。リマ、ダッカ、ナイロビを含む複数の自治体を支援した際、食料問題を市の議題に載せること自体が一つの難題となり得るものの、いったん議題に上がれば、食料政策評議会のような組織が生まれ、人々が手頃で健康的な食料を入手できるよう支援することが分かりました。

必要なのは、各ガバナンスレベル内での連携だけではなく、すべてのレベルをまたぐ連携です。

2)補助金の活用に焦点を当てる

農業向けの公共支援を、より健康的な食生活の供給に役立つ形へと見直すことは、食料システムをめぐる議論の重要な焦点であるべきです。柔軟性が鍵となります。複数の先進国が合わせて数十億を食料補助金に費やす状況に適した施策が、すべての途上国でも機能するとは限りません。国際協定の変更は、各国の開発戦略と相いれないものであってはなりません。

3)自立の利点と課題

戦略的自立へと向かう新たな動きに、改めて注目する必要があります。これは、国や地域が戦略上重要な分野で自らの資源に依拠し、必要に応じてパートナーと協力する考え方です。世界のサプライチェーンが引き続き課題に直面する中、その目的は理解できます。

しかし、生産の多様化を促したり、地元での供給拡大を可能にしたりするための農業・食料システムの変更は、避けられない競争力の低下とのバランスを取る必要があります。既存の国際協定の枠内で貿易政策を変更すれば、その影響をどこまで緩和できるでしょうか。

4)データ、データ、データ

驚くべきことに、情報主導の時代に生きているにもかかわらず、根拠に基づく政策立案の土台となる食料関連データが、いまだに不足しています。

潜在的なトレードオフをより適切に考慮し、意思決定の透明性を高める解決策を見いだすには、信頼性の高いデータが不可欠です。また、変革を妨げる政治経済上の障壁を乗り越えるうえでも重要です。

真のコスト会計のような不可欠なツールを有効に機能させるには、それらが依拠するデータや指標を対象国に適したものにする必要があります。たとえば、太平洋島嶼国の食料市場データに取り組んだ経験から得た重要な教訓は、根拠が政策を改善できることを示すことで、データの収集と活用への投資を最も効果的に促せるということです。

5)食料システムの視点

最後に、危機の再発を避けるため、食料供給だけでなく食料システムを優先しなければなりません。システム全体を捉えるアプローチによって、政策立案者が直面する複数のトレードオフに、より注意を払えるようになります。ここ数カ月、数年にわたって見てきたように、食料バリューチェーンのボトルネックは、外部からのショックが原因であることが少なくありません。

たとえば、エネルギーシステムと輸送システムの相互連関に着目することが不可欠です。そうすることで、食料の入手可能性や価格の手頃さをめぐる新たなリスクに対し、より体系的で広範なアプローチを取れるようになります。

SDGsの達成期限まで8年を切っていますが、解決策が常に明快とは限らないことを認識すれば、食料システムを変革する時間はまだ十分にあります。

しかし、現在の一連の要因が生み出した変革の機会を活用できなくするおそれのある、ガバナンスや政治経済上の重大な制約を、これ以上見過ごし続けることはできません。

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