野生動物の肉を禁止すれば、病気の拡大を抑えられるのか?専門家が議論

Would banning the sale of wild meat really stop disease spread?
Would banning the sale of wild meat really stop disease spread?Image: Unsplash/ Thuyen Ngo
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  • 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、野生動物の肉の販売と消費を禁止するよう求める声が広がっています。

  • 人間と野生動物との接触を制限すれば、理論上、こうした禁止措置によって将来の感染症の発生リスクを最小限に抑えられる、というのがその根拠です。

  • しかし、野生動物の肉の消費を禁止すると、消費が地下に潜り、規制が難しくなる恐れがあると専門家は指摘します。

野生動物の肉の販売と消費を世界的に禁止するよう求める声が広がっています。2020年初頭に新型コロナウイルス感染症が拡大した後(コウモリに由来すると考えられています)、200を超える自然保護団体が、次の文書に署名しました。公開書簡世界保健機関(WHO)宛てのこの書簡は、すべての生きた野生動物市場と、伝統医療における野生動物由来製品の使用を恒久的に禁止するよう求めています。

自然保護活動家は、感染症が動物から人間に広がるリスクを根拠に、人間を「野生の」自然から切り離す必要があるという主張を正当化してきました。パンデミックが始まって以来、複数の国で野生動物の消費と取引が禁止されました。新型コロナウイルス感染症の流行以前にも、鳥インフルエンザやエボラウイルスの流行を受け、それぞれベトナム北部と西アフリカで野生動物の取引と消費が禁止されました。

人間と野生動物との接触を制限すれば、理論上、こうした禁止措置によって将来の感染症の発生リスクを最小限に抑えられるはずです。しかし、このような規制は、肉、魚、昆虫などの野生の食料を食事性タンパク質、脂肪、微量栄養素の供給源として頼ることの多い、農村部や先住民の人々への影響を見落としています。

私たちのこれまでの研究では、世界各地における「野生の食料」の重要性を記録してきました。また、インド北東部メガラヤ州のカシ族のコミュニティなど、先住民の人々の食生活を豊かにする上で野生動物の肉が重要な役割を果たしていることを示す証拠も見つかり続けています。(誤解のないように言えば、私たちは絶滅危惧種の消費を決して推奨していません。そうした行為は世界中で厳しく禁じられています。)

野生動物の肉:感染伝播事例を理解する

私たちの最新のレビューでは、1940年から2021年に発表された入手可能な科学論文から、野生動物の肉の消費や関連する行為(狩猟や解体など)に結びついた「感染伝播事例」(病原体が動物から人間にうつること)の証拠を抽出しました。そうした証拠は限られており、質も低いことが多いと分かりました。

もちろん、野生動物の肉を食べることにはリスクがあります。しかし、将来の感染症の発生を抑えるため、より的を絞った対策を立てられるよう、病気の原因となる具体的な消費行動や慣行を、さらに深く理解する必要があります。

低所得地域における野生動物の肉の採取慣行を非難すると、動物から人間にうつる人獣共通感染症のリスクのうち、西洋の食料生産や消費の慣行に関連するものを認識できなくなる恐れがあります。

科学論文で報告された感染伝播事例の件数が最も多かったのは米国で、主にレクリエーション目的の狩猟に関連していました。報告には地域的な偏りがあると考えられます(診断されない病気や、報告が不十分な地域もあります)が、別の研究によると、1940年から2004年に発生した新興感染症のうち、野生動物の肉に起因するものはわずか3%で、従来型の農業と食品産業に起因する17%を下回りました。また、31%は森林伐採や生息地の分断化を含む土地利用の変化に関連していました。

野生動物の肉の採取や消費による感染伝播リスクを高めるとみられる具体的な要因として、狩猟への参加や、皮剥ぎや解体を含む野生動物の肉の調理に関わることを挙げました。調理方法も重要で、報告では生肉や加熱不十分な肉の消費がしばしば指摘されていました。

より的を絞った政策対応に向けて

世界の一体化と相互の結びつきが進む中、野生資源に頼るコミュニティの消費慣行に偏見を向けることなく、人獣共通感染症の伝播がもたらす潜在的リスクから人々を守るには、よりきめ細かな対応が必要だと、私たちの研究は示しています。

どの動物が病原体を保有しているのか、誰がリスクの高い動物種に最もさらされているのかを把握し、曝露の季節変化を理解するとともに、安全な狩猟や調理の方法と危険な方法について周知することは、全面禁止よりも効果的で、予防行動の定着にもつながる可能性があります。

野生動物の肉の消費を一律に禁止するだけでは、消費者に偏見を向け、消費慣行が地下に潜って把握や規制が難しくなる恐れがあります。

新たな感染症の出現ペースが加速する中、より包摂的なアプローチが必要です。多様な地域コミュニティが抱える脆弱性や、野生の食料源を必要とし続けている実情に配慮しながら、野生動物の肉を食べることに伴う将来の感染伝播リスクを低減する必要があります。

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