世界人口の4分の1が今なお銀行口座を持たない理由

A Buddhist monk uses an ATM in Bangkok, Thailand, May 3, 2016. REUTERS/Jorge Silva
Banks need to begin to help poor clients open accounts and access branches, instead of excluding them.Image: REUTERS/Jorge Silva
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トロント発――暗いニュースが続くなか、明るい話題が一つ見えてきた。世界銀行が来春公表する最新の個人銀行口座統計では、銀行やその他の正式な金融機関に口座を持つ人の数が増加したことが示される見通しだ。

世界銀行が前回、グローバル・フィンデックス報告書を公表したのは2015年4月だった。それによると、主に開発途上国で、推定7億人の成人がその前の3年間に金融サービスを利用できるようになった。これは、世界の「銀行口座保有者」の数が21%以上増えたことを意味する。金融サービスへのアクセス拡大は貧困から抜け出す道を切り開く助けとなるため、この指標の上昇は人間開発にとって明るい兆しだ。

しかし、新たな報告書が発表されても、私たちの組織が勝利を宣言することはない。世界銀行のデータがどのような結果を示そうとも、世界で最も貧しい人々を含むすべての人が金融サービスを利用できるようにするという目標は、依然として遠い。

現時点で、約20億人の成人が正式な金融サービスから排除されている。過剰な書類要件、高額な口座手数料、銀行支店へのアクセスの限界、そして金融機関は「富裕層のためだけのもの」という認識が、克服すべき根強い障壁となっている。

マスターカード財団は、世界で最も貧しい人々のために、こうした障壁を取り除く支援に取り組んでいる。今月、ガーナのアクラで第5回年次金融包摂シンポジウムを開催し、数百人の金融サービス提供者、政策立案者、研究者、開発専門家を集め、金融包摂をいかに広げ、深化させるかを検討した。

私たちは2013年からこの国際会議を開催しており、毎年おなじみの懸念が浮かび上がる。金融機関は、最も貧しい顧客のニーズにもっと目を向けることができるはずだ。銀行は貧しい顧客の行動や願いを考慮しないことが多く、そのため、彼らが必要とする商品やサービスを必ずしも提供していない。業界の優先事項が変われば、金融包摂への障壁は低くなるだろう。

この傾向を逆転させるのは、現状より容易であるはずだ。結局、人々が豊かになれば、銀行も潤う。銀行口座を利用したり、モバイル決済をしたりできると、貧しい人々は貯蓄を増やす傾向がある。貯蓄が増えれば、全体的な繁栄も高まる。親が学費を容易に支払えると、子どもは学校でより良い成果を上げる。女性は事業を始める力をより得やすくなる。貧困世帯は、凶作や病気、自然災害といった深刻な打撃にも、よりうまく対処できる。

経済への好ましい波及効果は明らかだ。銀行口座があれば、新たな起業家は信用力を築き、責任ある正式な融資機関から資金を得られる。そして資本を得ることで、小規模企業は事業を拡大し、とりわけ若者を含む人々を雇用できる。

近年、テクノロジーはこの格差の縮小に貢献してきた。デジタル決済プラットフォームの成功は、その一例である。M-Pesaのケニア向けモバイルアプリは、利用者のニーズを踏まえて設計された手頃な商品やサービスであれば、脆弱な立場にある顧客がいかに速やかに利用を始め、使いこなすかを示している。

さらに、アフリカやアジアのフィンテック企業は、貧しい人々の活動から生まれるデータを分析する革新的な方法を見いだし、そのデータを活用して、より良い銀行サービスを設計し提供している。すでに利用し、信頼している小規模な独立系事業者を通じて、銀行口座を持たない貧困層にサービスを届けるなど、従来とは異なるアプローチも登場している。

しかし、包摂を実現する責任の多くは、今後も金融機関にある。私がよく耳にするのは、金融サービス業界はリスクを避ける傾向があるという主張だ。顧客に対する銀行の受託者責任を考えれば、これは全面的に悪い性質ではない。それでも銀行やその他の金融機関は、リスクから顧客を守ることと、貧しい顧客にサービスを提供することは十分に両立すると認識すべきだ。

貧しい人々のニーズを無視することで、金融機関は巨大な潜在市場を見落としている。何億人もの新たな顧客にサービスを届けるため、世界の金融機関に必要なのは、比喩的に、貧しい人の立場に立ってみることだけだ。そうすれば、不正確で時代遅れ、あるいは不公平な思い込みを理由に、誰かを排除すべきではないと分かるだろう。

今日、これまで以上に多くの人々が、現代的で責任ある金融サービスを利用できる恩恵を受けている。来年の世界銀行のデータが、さらなる進展を示すことは間違いない。しかし、誰も排除されない世界を実現するには、業界は貧しい顧客のニーズを事業戦略の中心に据えなければならない。そのとき初めて、金融包摂に関する良いニュースは、素晴らしいニュースとなる。

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