気候変動対策:「パリの精神」をどう取り戻すか?

The Eiffel tower is illuminated in green with the words "Paris Agreement is Done", to celebrate the Paris U.N. COP21 Climate Change agreement in Paris, France, November 4, 2016. REUTERS/Jacky Naegelen - RTX2RZ42
Image: REUTERS/Jacky Naegelen
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イタリアが議長国を務める今、G7にはまたとない機会があります。気候リスクと私たちの行動が環境に及ぼす悪影響を軽減するため、断固たる行動を取り、「パリの精神」を取り戻す機会です。

パリ協定の署名から、まもなく2年を迎えます。残された時間は刻々と少なくなっています。今週末にタオルミーナで開かれる第43回G7サミットで、各国首脳は、企業がパリ協定の目標達成に向けて役割を果たすには、気候の現実に関する情報開示が不可欠だと強く訴えなければなりません。

イングランド銀行総裁で金融安定理事会議長のマーク・カーニーが、業界主導の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の設立を初めて発表して以来、気候データへのアクセスと気候リスクへの認識を高める方法について、多くの協力と議論が重ねられてきました。これは不可欠なことでした。TCFD議長のマイケル・ブルームバーグが述べたように、気候変動は今日、世界が直面する最大の脅威だからです。

私たちには、任意であるTCFDの提言があります。この提言は、投資家、融資機関、保険引受会社が事業における気候関連のリスクと機会を適切に評価し、価格に反映するために必要な情報を、組織が特定して開示できるよう支援することを目的としています。各業界でこの提言を採用すれば、市場の効率性を高め、経済をより安定し、強靱なものにできます。先延ばしにすることは、私たちの利益になりません。

気候の変化は企業に関わる問題であり、これ以上先延ばしにする余裕はありません。

技術革新と気候リスクが交わる場面ほど、このことが明らかなところはありません。企業としての競争力の将来を左右する選択に直面していますが、何よりも、個人の日々の暮らしにも影響する選択です。それは、私たちが呼吸する空気の質への懸念が高まっていることにはっきり表れています。

世界は今、技術変革のさなかにあります。それと並行して、エネルギー転換がもたらす変化の規模を、緊急の課題として認識する必要があります。

ビジネスモデルと気候リスクをめぐる私たちの考え方には、依然として大きな矛盾があります。風力発電所や太陽光発電所が前例のない速さで建設される一方、化石燃料の使用にいまだ補助金を出している人々もいます。

科学的証拠が示すリスクと環境への影響を前に、旧来のビジネスモデルに時間を費やさないことが極めて重要です。長期的には世界全体の脱炭素化が不可欠であり、しかもそれはビジネスにとっても有益です。再生可能エネルギーは建設が容易で、市場投入までの期間が短く、規模を柔軟に調整できます。大きな技術革新によりコストも急速に下がっており、補助金なしで世界各地で導入できます。これに対し、従来型技術は市場投入までにはるかに長い時間がかかり、償却期間も20年以上に及びます。それにより私たちは、座礁資産、ますます高まる環境リスク、価格変動の激しい商品への依存という、誰にとっても損失となる選択に縛られてしまいます。

この道の険しい区間を乗り越えるにあたり、企業は科学に基づく目標(SBT)イニシアチブに従うべきです。2015年に発足したこのイニシアチブは、2°Cの脱炭素化経路に沿った温室効果ガス排出削減目標の設定に関する指針を示しています。

新たな、そして強化された協調行動を盛り込んだパリ協定の精神に、新たな息吹を吹き込む必要があります。私たちが直面しているエネルギー転換は初めてのものではありません。過去2世紀にも多くの転換がありました。しかし、今回の転換は、世界がこれまで目にしてきたものと比べ、その速度が決定的に異なります。気候変動という課題に立ち向かうには、政府、産業界、市民社会を含むすべての主体による協調的かつ迅速な行動が必要です。

世界規模でリーダーシップを発揮する機会は、従来、国々や異なるステークホルダーグループを隔ててきた境界を越えた協力の中にあります。

透明性と情報開示は、説明責任と焦点をもたらすだけでなく、協力の機会を生み出すうえでも重要です。これが、資産総額4.9兆ドル、収益7000億ドルの企業を代表する経営者たちとともに、TCFDの提言への強い支持を表明した理由です。

すべての企業に、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言への支持を私たちとともに表明するよう促します。またG7には、気候変動への対応を主導する決意を世界に示すよう求めます。民間部門向けのTCFDの提言は、公共部門の行動を支え、後押しするうえで有効です。あらゆる経済部門に及ぶ気候変動の影響は、リスク軽減のために政府が計画する行動と併せて、公に開示されるべきです。2017年の気候リスクに関して言えば、この地球に暮らすすべての人が株主なのです。

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