銀行がブロックチェーン基盤を採用し、ブロックチェーンが規制対象の機関やグローバル企業のニーズに合わせて進化するなか、融合が形になりつつあります。
これまで、実験が行われることはあっても、ためらいが大半を占めていました。しかし今、機関が本格的に取り組むための条件がついに整いました。
業界の次の段階は、より明確なグローバル基準と、成熟した信頼性の高い基盤にかかっています。
金融システムの融合が形になりつつあります。これは熱狂的なブームより目立たず、はるかに持続性があります。銀行はブロックチェーン基盤を採用し、ブロックチェーンは規制対象の機関やグローバル企業のニーズに合わせて進化しています。その結果は、旧来のシステムの置き換えでも、新しいシステムへの無謀な飛躍でもありません。融合なのです。
私たちは、金融の中核的な基盤がリアルタイムで再構築される「システム段階」に移行しています。決済、カストディ、支払いは、バッチ処理から常時稼働するレールへと移行しています。ステーブルコインは今や、いつでも誰にでも、数秒で価値を世界中に移転できます。トークン化の実証実験はすでに本番環境で稼働しています。そして、資産運用会社、証券会社、大手決済企業、銀行など、グローバル金融を形作る機関は、いずれもデジタル資産の機能を大規模に展開しています。
銀行とブロックチェーンの間で実のある対話がなければ、こうしたことは何一つ実現しません。それぞれが相手にはない強みを持ち、どちらも単独では未来を築けません。
ここに至るまで:実験から基盤へ
暗号資産の採用の第一波は、機関投資家の世界の外で起きました。ビットコインのウォレットは使いにくく、暗号資産への入り口は脆弱で、最初に試していたのは消費者でした。機関が距離を置いたのは、明確な理由があったからです。規則が不明確で、保護が限られ、規制環境向けに構築された基盤もありませんでした。
規制当局がより明確な指針を示したことで、状況は変わりました。米国では、通貨監督庁(OCC)と連邦準備制度理事会(FRB)が当初発出した書簡により、銀行は慎重になりました。これに対し、最近の措置は、銀行がデジタル資産を安全に取り入れ、適切に監督する方法を示しています。欧州はMiCAの枠組みでさらに一歩進みました。4億5,000万人を対象とする単一の認可制度が整い、機関が複数年にわたる戦略を構築するために必要な規制の一貫性が生まれています。
規則の整備が道を開き、基盤を提供する企業がその道を大きく広げました。多くの銀行は、ブロックチェーンのレールをゼロから構築できる体制にありません。それは技術人材が不足しているからではなく、規制対象の事業は段階を踏んで慎重に進むからです。基盤企業は、両者をつなぐ役割を担うようになりました。カストディ、流動性、オンチェーン送金、コンプライアンス、決済を、銀行が安全かつプログラム可能な形で導入できるように整えています。
機関が今、動き出している理由
これまで、実験が行われることはあっても、ためらいが大半を占めていました。しかし今、機関が本格的に取り組む条件がついに整いました。
1. 顧客の需要はもはや無視できない
現在、米国では約5,500万人が暗号資産を保有しており、その数は増え続けています。当社の自社プラットフォームのデータは、パートナーネットワーク全体の600万人から得られたもので、ユーザーの購入頻度が高まり、初回購入までの期間が短縮し、ドルコスト平均法でこの資産クラスへの投資を進めていることを示しています。こうした行動は、一過性の流行では通常見られません。
富裕層もまた、ウェルスマネジメントに対する期待を変えつつあります。当社が最近実施した 調査では、61%がすでにデジタル資産を保有している一方、アドバイザーを通じて取引しているのはわずか25%です。また、純資産の大きい投資家の51%は、デジタル資産を扱わないアドバイザーから、すでに資産を移しています。
2. ステーブルコインは初の普遍的なブロックチェーンのユースケースとなった
ステーブルコインは、ブロックチェーン初の真に普遍的なユースケースとなり、技術的なブレークスルーを実用性の高いものへと変えました。複数の仲介業者を介さず、価値を単一の基準で国境を越えて瞬時に移転できます。顧客の行動にもすでに変化が表れています。低コストの国際送金、リアルタイムの証券口座への入金、迅速な加盟店決済が、日々の金融サービスでますます一般的になっています。
データもこれを裏付けています。zerohashのプラットフォームデータによると、ステーブルコインの入金額は2025年の月間平均を138%上回り、平均入金額は51%増加しました。ユーザーはステーブルコインを、世界規模で即時に利用できる決済レールとして扱っています。ステーブルコインの普及は、さらに大きな変化の兆しとなっています。金融の基盤となるレールが変わり始めているのです。
3. ドル以外のトークン化が次のフロンティア
考え方はシンプルです。現金以外の実物資産を、プログラム可能なデジタルオブジェクトとして表現します。機関がトークン化を評価するのは目新しさではなく、業務の迅速化、つまり即時移転とプログラム可能性です。銀行やフィンテック企業では、トークン化はもはや実験とは見なされていません。ブラックロックのCEO、ラリー・フィンクが最近、まさにこのテーマについて記事全体を 寄稿した先がエコノミストだったのも不思議ではありません。(開示:zerohashは、トークン化決済レールを提供し、ブラックロックのBUIDL商品の展開を支援しています。)
それぞれがもたらすもの
健全な金融システムは、互いを補完する強みに支えられています。この新しいシステムも例外ではありません。
銀行がもたらすもの:
リスク管理に関する深い専門知識
成熟したコンプライアンスおよび監督体制
数十年にわたって築かれた顧客の信頼
グローバルな流通網と規模
ブロックチェーンがもたらすもの:
プログラム可能性
常時稼働する決済
透明で検証可能な取引の流れ
グローバルかつ大規模な業務における低コスト構造
zerohashのような基盤企業は、両者をつなぎます。私たちは、機関がブロックチェーンのレール上で安全に運用できるようにする「実用レイヤー」を提供します。これには、オンチェーン分析、取引モニタリング、カストディ、流動性、機関の要件に合致した認可の枠組みが含まれます。
見えない未来:バックグラウンド基盤としてのブロックチェーン
視野を広げてみると、最も変革をもたらすテクノロジーは、やがて意識されなくなるものです。ブラウザーを開くとき、TCP/IPのことを考える人はいません。ただページが読み込まれることを期待します。配車サービスが到着するとき、GPSのプロトコルを意識する人はいません。地図上の点が正確だと思うだけです。ウェブサイトをスクロールするとき、HTMLやCSSを意識する人もいません。どの端末でもページがすぐに表示されることを望むだけです。
ブロックチェーンも、同じように意識されなくなる方向へ向かっています。ステーブルコインはすでにその一端を示しています。多くのプラットフォームでは、顧客がワンクリックで即座に口座へ入金できるようになりました。ユーザーはチェーンを選んだり、アドレスを確認したり、ガス代を考えたりしません。他のデジタルサービスと同じように、口座間の送金を完了するだけです。
チェーン抽象化製品が、このプロセスをシームレスにしています。トークン化も同じ道をたどるでしょう。資産の移転は速くなり、決済期間は短縮し、業務上の煩雑さは薄れていきます。顧客はブロックチェーンが使われていることを気にせず、体験が向上することだけを重視するでしょう。これが融合したシステムの姿です。従来のコンプライアンスの枠組みとブロックチェーンのプログラム可能性が並行して機能し、従来より速く、低コストで、グローバルな金融サービスを生み出します。
業界が次に注力すべきこと
業界の次の段階は、より明確なグローバル基準と、成熟した信頼性の高い基盤にかかっています。
MiCAは、統一された規則が普及を加速させ、機関が自信を持って大規模に構築できることを示しています。銀行には信頼できる基盤も必要です。そして、ユーザー体験はシンプルでなければなりません。直感的な認証、すっきりとした抽象化、摩擦のない利用開始が求められます。フロントエンドが無理なく使えると感じられれば、その根底にある変革がついに定着します。
金融は、銀行とブロックチェーンが連携して形作る共有の未来へと向かっています。機関の動きは確かなものであり、ステーブルコイン、トークン化、デジタル資産のレールは日常的な基盤の一部になりつつあります。顧客が実感するのは、両システムの強みを生かした、より迅速で連携の進んだ金融サービスです。



